R&Bとソウル・ミュージック⑰ドゥーワップ~ソウル・コーラス誕生
R&Bヴォーカル表現の原点となった「ドゥーワップ(Doo-wop)」
楽器演奏が出来なくても、仲間が集まれば可能であった「ドゥーワップ」は、都市の黒人の少年たちのストリート・カルチャーとなっていきました。
1930年代~1940年代
「ドゥーワップ」のはじまりは、ゴスペル・コーラスの伝統を元にミルズ・ブラザーズやインク・スポッツあたりの黒人ジャズ・コーラスグループにさかのぼります。
The Mills Brothers
The Ink Spots
1946年
レイヴンズ(The Ravens)の“My Sugar is so Refined”がヒット
このヒット後
オリオールズ、フラミンゴズ、ペンギンズ、ロビンスなどがデビュー。
(それぞれに鳥の名前を冠していたので「バード・グループ」と呼ばれた)
1950年代
1951年のR&Bチャートは、コーラス・グループの楽曲が第一位獲得
The Dominoes - Sixty Minute Man
The Clovers - Don't You Know I Love You
The Five Keys - The Glory Of Love
1953年
Clyde McPhatter and the Drifters - Money Honey
1954年
Hank Ballard And The Midnighters - Work With Me Annie
1955年
Otis Williams and The Charms - Hearts Of Stone
1956年
The Penguins - Earth Angel
The Five Satins - In The Still Of The Night
美しいハーモニー、独創的なコーラス・リフレイン、ユニークなベース・パート、切ないファルセット
1955年~57年が「ドゥーワップ」の全盛期
イースト・コーストのストリートから何百というグループが出てきました。
The Heartbeats - A Thousand Miles Away
The Harptones - Life Is but a Dream
The Moonglows -Sincerely
The Dells - Oh What A Night
ウエスト・コースト
Vernon Green & The Medallions - The Letter
Don Julian & The Meadowlaeks - Heaven & Paradaise
「ドゥーワップ」ブームの長くは続きませんでした。
1955年「Only You」が大ヒットしたプラターズ(The Platters)
続く「ザ・グレート・プリテンダー」は全米ポップチャートでも1位となり、その後も「トワイライト・タイム」、「煙が目にしみる」など数々のヒットを飛ばしましたが、”ドゥーワップ”感は無くなり、白人受けするポップス・コーラス・グループになっていました。
ソウル・コーラスの誕生
1958年にジェームス・ブラウンがリリースした「Try Me」
新しいコーラス・スタイルの提案と考えられます。
ドゥーワップ~ロックン・ロール風味コーラスからソウル・コーラスへの大きな転換点となった楽曲は?
Jerry Butler & The Impressions - For Your Precious Love
しかしながら、レコード会社側のジェリー・バトラーをソロ・デビューさせたいという思惑もあり、インプレッションズのソウル・コーラス・スタイルの完成は、1960年代の3人時代まで持ち越されることになります。
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