VUCA時代に必要な「即興力」と「融合力」
平時におけるリーダーシップは、計画的な戦略や組織的なアプローチに基づいて行われることが多く、比較的安定した状況下での意思決定や問題解決に重点が置かれます。
想定できる事態への対処は、頭のいい誰かが考えているものです。
想定外の事態が起こった有事には、迅速で正確な判断力が求められます。
そのため、リーダーは状況に応じて臨機応変に行動し、リスクを適切に評価し、適切な対応策を練る必要があり、組織やチーム全体を鼓舞し、励まし、指導する能力も必要です。
そして、リーダーにはストレスやプレッシャーに打ち勝つ力、判断力、指導力、協調性など、多くの能力が求められますが、
一番重要なことは、
想定外の事態で臨機応変に対応して、最適解を導く
『即興力』と『融合力』です。
『即興力』とは、自分が置かれた状況に応じて臨機応変に柔軟かつ創造的に対応する力のことです。
VUCA時代に生き延びるには、予期せぬ状況で瞬時に決断し、迅速に行動する能力が欠かせません。
リーダーもフォロワーも、状況の変化に冷静に対処し、『即興』で行動しなければなりません。
『融合力』とは、様々な知識や技能、バックグラウンドを融合させ、新たな解決策を生み出す力のことです。
知識や情報を、瞬時に知恵や工夫に変換し、 「本質を理解して見抜き,それらを整合的に組み合わせて構築する」思考方法であるともいえます。
それぞれのチームメンバーを理解し、整合的に関係性を構築して、協力して問題を解決することに導く力です。
ジャズやヒップホップのアーティストたちが行う「即興演奏」や「フリースタイル・ラップ・バトル」には、その場で即座に対応する『即興力』が求められます。
彼らは、リスクを冒しながらも、新しいアイデアやサウンドを生み出し、それを他のメンバーと融合して、一つの素晴らしい演奏や楽曲を創造していきます。
ビジネスの世界でも、計画通りに進まない時には、視点を変えて、アイデアを出し合って、新しいアプローチを見出す必要があります。
ここには、『融合力』が必要不可欠です。
また、ビジネスにおいては、異なる部署や分野の人々と協力することが必要です。しかし、異なるバックグラウンドを持つ人々が集まっても、意見が食い違ってしまうことがあります。
そこで、アーティストたちのように、異なるアイデアや観点を融合して、新しいアプローチを生み出す『融合力』を身につけることが重要です。
ジャズやヒップホップのアーティストたちが持つ『即興力』と『融合力』と、彼らの各種アプローチ方法は、ビジネスの世界でも応用でき、新たなアイデアや解決策を生み出すことができる身近で最高の教材です。
もちろん、これらの能力は、平時から養われ、磨かれていくものであって、有事になってから獲得することは難しいです。
つまり、有事のリーダーシップは、平時の準備とトレーニングによって磨かれたものなのです。