ジャズの歴史で最も重要な演奏家ではない人物ジョージ・ウェイン
『真夏の夜のジャズ（JAZZ ON A SUMMER’S DAY）』
1958年に開催された第5回ニューポート・ジャズ・フェスティバルを記録したアメリカのドキュメンタリー映画
まずは このトレーラー映像を観て頂きたい
客の”おしゃれ”なカジュアル・ウェアと 出演アーティストは 男性はスーツ 女性はフォーマル・ウェアーに身を包んでいる
このフェスティバルのプロデューサーが ジョージ・ウェイン
ジョージ・ウェイン
ジャズの歴史で最も重要な演奏家ではない人物
最も有名な興行監督
ジョージ・ウェイン
【1950年】
ボストンの有力ホテル「コプリー・スクェアー」内にジャズ・クラブ『ストーリーヴィル』を開店（1960年までの10年間、ボストンのジャズのメッカ）
『ストーリーヴィル』レコード・レーべルを設立 数々のライブ盤を作成
トラデイショナル・ジャズ専門の『ホガニー・ホール』を別にオープンした時期もあった
【1953年】
『ストーリーヴィル』に 全米3大タバコ会社のひとつを経営する米国有数の大金持ちロリラード夫妻をつれてやってきた ボストン大学教授から
「来年の夏、ニューポートでアメリカで最初の野外ジャズ・フェスティバ〃を開きたいので プロデュースをお願いしたい」 と依頼された
これで イベントに企業スポンサーを付ける手法が生まれた
【1954年7月17日】
ニューポート・ジャズフェスティバル（Newport Jazz Festival）
が開催された
初日のヘッドライナーは ディジー・ガレスピー＆ジェリー・マリガン
2日目のトリは エラ・フィッツジェラルド
さらに ジョージ・ウェインの凄いところは？
第5回目で チャック・ベリー を出演させたこと
ジョージ・ウェインは 後年 自署の中で 以下のように書いている
ステージ上のチャック・ベリーが「スクール・デイズ」を歌いながらダックウォークをやりはじめたとき、私は文字通り、泣いてしまった。なぜなら、批評家たちが私にナイフを投げつけてくると思ったからだ。しかし、観客たちはチャック・ベリーのパフォーマンスを支持した
【1961年】 マディ・ウォータース を出演させている
【1965年】 ボブ・ディラン が出演
【1978年6月18日】
ジミー・カーター大統領が『ホワイト・ハウス・ジャズ・フェスティバル』を主催
ジョージ・ウェインとニューポート・ジャズ・フェスティバルの25周年記念を祝った
【1980年】
フランスから文化勲章を贈られた
ボストンのバークリー音楽大学からは名誉博士号も贈られた
【2021年9月13日】 逝去（享年95歳）
ジョージ・ウェインが音楽界に与えた影響
“ロックンロール” の創始者の一人である チャック・ベリー を舞台に立たせたことで 会場で多くの若者たちに ”ロックンロール” を体感させた
これは 1960年代のイギリスのロックやポップ・ミュージックをはじめとするカウンター・カルチャー『ブリティッシュ・インヴェイジョン』がアメリカを席巻させることにつながった
1961年８月 ロンドン西部郊外のリッチモンドで 英ジャズ連盟 が英国版ニューポート・フェスとして
第1回ナショナル・ジャズ・フェスティバル が開催された
1963年の第3回には ローリング・ストーンズ が出演
マディ・ウォーターズは 後年こう語っている
ザ・ローリング・ストーンズが登場する前は、誰も俺のことを知らなかったし、何も知ろうとしなかった。俺は‘レイス（黒人）・レコード’と呼ばれるレコードを作っていた。俺のレコードを買ったキッズに大人たちが何て言っていたかを教えてやろう、『それは何だ？ ニガーの音楽などかけるのは止めろ！』。それからザ・ローリング・ストーンズが登場し、ブルースを演奏すると、キッズは俺のレコードを買い、俺のレコードを聴いているんだ
人種差別が激しい時代に
奴隷貿易（三角貿易）の上でも重要な港町でもあった
上流階級の白人の保養地・別荘地である
ロングアイランド州 ニューポート で
初めての 本格的な野外音楽フェスティバルを 開催し
黒人の音楽である ジャズ ブルース そして ロック を
世界中に広めた 偉大なる功績は 計り知れない
ニューポート・ジャズフェスティバルでの名演
1955年
マイルス・デイヴィスが ♬’Round Midnight♬ 歴史的名演でカムバックを果たしたフェスティバル
1956年
デューク・エリントンの名演
1957年
『Ella Fitzgerald and Billie Holiday at Newport』
エラ・フィッツジェラルド
ビリー・ホリデー
ディジー・ガレスピー ＆ リー・モーガン
『真夏の夜のジャズ』にマイルス・デイヴィスは登場しない
1958年 マイルス・デイヴィス・クインテットは
マイルス・デイヴィス（tp） キャノンボール・アダレイ（as） ジョン・コルトレーン（ts） ビル・エヴァンス（p） ポール・チェンバース（b） ジミー・コブ（ds）
最強のメンバーであるが、、、
しかし この当時のマイルス・ディヴィスは メイン・アクトであるデューク・エリントンの”サポート・バンド”程度の出演者ランク
1960年
ニーナ・シモン『Nina Simone at Newport』
1963年
セロニアス・モンク
『Miles & Monk at Newport』（二人が共演したわけではない）