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ビジネス改革×昭和芸術⁉ コンサルタントが選んだ“写真家アップデート”の舞台裏
写真家の作品プロデュースを第一原理思考で再構築する方法と、レガシー企業(既存の大企業など)を再生・新規事業開発する方法は、一見すると全く違うテーマのようですが
「古い常識や慣習にとらわれず、本質を見極めて新たな価値を生み出す」
という点で共通しています。
写真家の作品プロデュースとレガシー企業の再生・新規事業創造は、テーマは違いますが
「既存の常識や前提」を剥ぎ取り、「本質的にやりたいこと・提供したい価値」を基点にしてイノベーションを起こす
それぞれの目指すゴールの“コア”を抽出
ゼロから最適な手段を設計・検証する
という流れが同じで、結果として、新たな市場やファン、ビジネスモデルへとつながりやすくなるのです。
レガシー企業の企業再生や新規事業創造のコンサルティングを長年実践してきた人材が、昭和世代の写真家をプロデュースできる理由は?
「求められる根本的なスキルセットと考え方が共通している」
からなのです。
では、具体的な根拠を示す前に、「昭和の価値観」と「レガシー企業の慣習」の類似点を考えてみましょう。
「昭和の価値観」と「レガシー企業の慣習」の類似点
レガシー企業の慣習・企業文化
長く続く組織特有の“やり方”や“決まりごと”が根深く、変化に抵抗感がある。
「過去の成功体験」や「上層部の意向」で新しい方法が取り入れにくい。
昭和世代の写真家が持つ価値観
フィルム時代からの撮影スタイルやプロモーション手段に慣れ、デジタルシフトやSNSなどに対して抵抗がある。
「写真は実際に見てもらわなければ」「人脈で繋がらなければ広まらない」といった固定概念が強い場合がある。
レガシー企業コンサルタントは、「慣習にとらわれた組織を変革する経験」を積んでいます。
この経験を活かして、次のことができるのです。
「昭和時代からのやり方に固執する写真家の意識を、どのように新しい時代のプロデュースへ誘導するかを考え、具体的なプランへ落とし込む」
「現状分析」と「価値の再定義」のスキルが共通しています。
「ブランディング」や「マーケティング戦略」の立案スキルが共通
企業の製品・サービスをブランディングするスキルは、写真家個人のブランド力を高める際にも本質は同じです。
「顧客(ファン)に対して、どう価値を訴求するか?」
の設計は、すべてのマーケティングに共通する技術です。
「組織化」や「プロジェクトマネジメント」
企業コンサルタントは多数のプロジェクトをハンドリングしてきた経験から、「人・モノ・金・情報」を的確に動かす力を持っています。
これは写真家個人の活動でも、チーム体制やコラボを拡張する際に大いに役立つスキルです。
「第一原理思考」での再構築が同じプロセス
レガシー企業での第一原理思考
既存の常識や当たり前そして古いビジネスモデルを疑い、根本的に何が価値を生むのかを検証します。
写真家プロデュースでの第一原理思考
従来の「ギャラリー個展」「出版社・エージェント頼み」などの常識を疑い、写真家が本当に実現したいことは何かを問い直します。
コンサルタントが企業で培った「前提を疑う姿勢」「コアとなる価値を見抜く力」「新しい事業モデルの構築力」は、写真家プロデュースでもそのまま活かすことができます。
「自分の知らないものはまず否定する」という思考パターンは、日本のレガシー企業や昭和世代のアーティストにかぎらず、多くの組織や個人が新しいアイデアや方法論を受け入れるときに陥りやすいものです。
これは、かつて成功を収めたやり方に固執してしまう心理や、未知なる領域への抵抗感から生まれます。
過去の成功体験があるほど、
「これで間違いない」「新しいことはリスクが高い」
と感じやすくなり、自然と現状維持を望む保守的な姿勢になります。
しかし、このような「まず否定から入る」姿勢は、結果として自分自身のアップデートやイノベーションのチャンスを失わせる要因にもなります。
第一原理思考が変革の近道になると考えられるのは、この思考法が新しい手法を単純に肯定したり、既存の方法を全面的に否定したりするのではなく、まずは物事の本質を問い直す点にあります。
第一原理思考を取り入れる際に大切なのは、過去の成功体験を「失敗」や「不要なもの」と決めつけないことです。
むしろ、豊富な経験や技術こそが大きな資産です。
ただし、それを「こうするしかない」「これしか通用しない」という形で手段に閉じ込めてしまうと、未知の技術やアイデアを試すきっかけを奪うことにつながります。
そのため、大切なのは、「なぜそうしてきたのか」「本質的に大事なのは何か」を見つめ直す作業です。
まとめ
固執した考え方から抜け出すには、過去の実績や栄光を否定するのではなく、それらを大切にしつつも「本質は何か」を再確認し、新しい可能性を試すプロセスを取り入れることが重要です。
自分や組織がいま抱えている「誇り」や「アイデンティティ」を改めて言語化してみる
たとえば、かつて撮影した作品で受賞した写真家であれば、その作品のどこに自分らしさがあり、どんなメッセージを伝えたかったのかを明確に言葉にしてみるのです。
レガシー企業なら、過去に成功を収めたビジネスモデルのどこが顧客の課題解決や社会への貢献につながっていたかを洗い出します。
これにより、過去の実績の“手段”ではなく“本質的な価値”にフォーカスしやすくなり、「自分たちは何を大切にしてきたのか」が再認識できるでしょう。
小さくてもよいので新しい方法論やテクノロジーを“実験的に”取り入れるステップを設ける
大きく舵を切る前に、まずは小規模なプロジェクトや短期的なイベントで試してみて、成果や反応を観察します。
たとえば、オンラインでの作品販売やSNSでの発信に対して強い抵抗がある写真家であれば、まずは一部の作品だけを限定公開し、小さなターゲットに向けてフィードバックをもらう。
レガシー企業なら、主力事業とは切り離した“実証実験”の場を用意し、既存顧客とは異なる層に向けてサービスをテストしてみる。
こうした小さな成功体験が積み重なると、「未知の手法も十分に成果を生み得る」という実感が湧き、過去の成功モデルだけに固執しなくなるのです。
新しい視点や知見を得るために、社外や異なる業界との接点を増やすこと
写真家であれば、他ジャンルのクリエイターやエンジニアと定期的に情報交換したり、コラボレーションを企画してみると、自分のスタイルにない要素を気づかされるきっかけになります。
レガシー企業なら、スタートアップ企業との共創プログラムやオープンイノベーションの仕組みに参加し、自社にはない新技術やスピード感を体験するのです。
未知の世界に飛び込むことで、「これまでのやり方」以外の成功例や思考法を直接学ぶ機会が生まれ、自然と意識がアップデートされていきます。
変化を持続させるためには、組織や個人の評価基準を見直すこと
過去の実績や受賞歴のみを評価する仕組みのままでは、どうしても新しい取り組みに対して保守的になってしまいます。
新しい方法を試みたこと自体や、そこから得られた学び、あるいは小さな成功を積極的に評価することで、メンバーの意欲が高まり、イノベーションに向けたモチベーションが保たれます。
これは写真家個人においても同様で、「過去の栄光」と比較するのではなく、新しい作品や技術の習得を一つひとつ“前進”として肯定的に捉える姿勢が必要です。
過去の成功が形づくったアイデンティティを尊重しながらも、その本質的価値をしっかり見極め、新しい取り組みを“小さく始める”ことや“他分野との交流”を通じて広げていく。
そして、“評価の仕組み”を見直すことで継続的なアップデートを図る。
こうした一連のプロセスを回していくことで、レガシー企業や昭和世代のアーティストが陥りがちな固執から抜け出し、次なる飛躍へつなげることができるはずです。
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