老チェロとチェリスト
先日「徹子の部屋」を見ていました。
ゲストは著名なチェリスト。
私は隣に置かれていたチェロに目を惹かれました。
チェリストのお話によれば、チェロは290歳。おばあさんかもしれないけれど、私にはチェリストと同志のおじいさんに見えました。
良く見る著名演奏家の所有するピカピカの楽器とは異なり、その自然体な風貌が「生きている」ように見えたからです。
チェリストがそのチェロを胸に抱き、演奏を始めると、それはそれは息を飲む程の素晴らしい音色が響き渡りました。
弾かれていると言うよりは、歌っているよう。
演奏が終わり、徹子さんとチェリストが会話を始めると、胸に抱かれたままのチェロも一緒に話を聞いたり、頷いたり、演奏が終わった時は一緒にお辞儀をしているように見えました。
その様子を見ていて、何故だか「大きなのっぽの古時計」を思い起こし涙が出そうになりました。
チェリストは、この老チェロと何処へ行くのも一緒で、良く話しかけているそうです。
80歳のチェリストと290歳のチェロ。
長い年月をかけて築いて来た歴史は、その佇まいだけでも、こんなにも温かい気持ちにさせてくれるものかと感じました。
そのチェリストは堤剛さんという著名な方です。
素晴らしい演奏と、愛らしい同志を見せてくださりありがとうございました。