九十歳。何がめでたい
90手前で断筆したはずの直木賞作家が化石みたいな古い価値観に縛られた編集者に説得され週刊でエッセイを書く羽目になったんだけどその切れ味によって本人含めてさまざまな人々が救われる話です。
90歳の主人公(実在する佐藤愛子先生の役)を、今年90歳の草笛光子さんが演じているのですが、まあこれが素晴らしかったです。姿勢も滑舌も威勢もよい。最近すごくお元気な90代の方をさまざまなメディアで見る気がするけど、これは気のせいじゃないですね。ほんとに人生100年時代が到来しつつある。
そんな中、旧態依然としたおじさんたちはありとあらゆる場所、場面で断罪されており、この映画でもそうで、若い部下に「アップデートしてかないと~~」なんて言われたり、娘に面と向かって「お父さん大嫌い」と言われたり、まぁそれはそれは散々な目にあわされます。
ただ、そういう世代のおじさんたちだって一生懸命生きてきたわけで、「不適切にもほどがある」もそうかと思うのですが、揺り戻しのような感じで評価すべきとこは評価しようというムードがあるのかなと。
この映画では、佐藤先生との仕事を通じて自分の過去を振り返り、過ちを認め、そこから前に進もうとあがく編集者の姿が描かれます。いい歳の大人が自分を変えていくのは結構大変な作業だと思うんだけど、90歳の佐藤先生からしてみれば「若造」なわけで、やろうと思えばなんだってまだまだできるよね、と思いました。面白かったです。
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