女子アイスホッケー『スマイルジャパン』対チェコ戦 展望
『スマイルジャパン』はついにここまでたどり着きました。
いよいよ今日2/8 17:30- 北京オリンピック予選リーグB組の最終戦、
チェコとの決戦に挑みます。
どんな形でも勝った方が1位通過。
まさにここまで4年間、『スマイルジャパン』が待ちわびた試合です。
最高のパフォーマンスを持って、選手のみならずベンチ、裏方のスタッフ1人ひとりまで100%以上の力を出し切ってほしいと思います。
チェコとの決戦は今日も17時30分から、NHK総合で放送
中国=NCAA2軍。思わぬ強さに僅差で敗戦も
読者のみなさんもご存じの通り、女子アイスホッケー日本代表『スマイルジャパン』は、2/6の試合でまさかまさか、中国に足元をすくわれました。
↑日本vs.中国戦のハイライトはこちら
侮っていたわけではないでしょう。
しかし、元カナダU-18代表も多く擁する中国との試合展開は、序盤からガツガツとチェックをしてくる大柄の選手への対応に苦労します。
しかし、苦しみながらも堅い守りと運動量でしのぐと、パワープレーのチャンスを得た18分2秒。細山田茜選手↓のファインゴールで先制。試合の主導権を引き寄せます。
ところが第2ピリオド以降は膠着状態。中国は日本の体力を削る作戦に出ました。ゴール前の守りをがっちり固め、徹底的に日本の得点源であるファーストラインの3人に狙いを定めチェックの雨を降らせ動きを封じると、1点差のまま食らいつきます。
そして、第3ピリオド開始直後の1分6秒。中国にとびっきりの幸運が訪れます。ハーフスピードの、シュートともパスとも取れない前方へほおりこんだパックが跳ねながらGKの前へ。キャッチしに行こうとGKがグラブを差し出したところでイレギュラーしゴール前に転がるパック。そこを突かれて日本は1-1の同点に追いつかれます。
中国戦では「運動量」と「早い状況判断」を封じられた
でも、第3ピリオド最後まで走りきるスタミナには自信がある日本。
ここから攻勢に出て相手ゴールを攻め立てますが、そこには周嘉鷹、英名キンバリー・ニューウエルというU-18 カナダ代表経験のあるゴーリー(GK)が立ちはだかりました。この大舞台で、GKのミスは失点したときの1回だけ。
↑周嘉鷹=キンバリー・ニューウエル選手のインスタから。なんと米国大学学業ランキングでトップ、プリンストン大学の卒業生。
日本は中国に徐々に体力を削られた戦術、そして連戦の疲れからか、頼みの運動量が落ちてきます。必死に相手陣へ攻め込もうとするも、途中でパックを奪われたり、パックをキープされたりすることも増えてきます。
第2ピリオドと第3ピリオド序盤で追加点を奪えなかったことが大きくあとで効いてきました。
↑「嵐」のHapinessをチェコ戦でも聞きたい! 何度でも♪
最終的に日本は運動量が落ちたために、延長戦では本来ならチャンスなのに、効果的な攻撃を展開することができず。延長>ゲームウィニングショット(GWS)戦にもつれた試合を落とし、勝ち点1を得るに留まりました。
中国のおかげで「弱点の洗い出し」ができた日本
中国は日本に照準を合わせ、相当戦略を練ってきたのでしょう。見事なまでに「ロースコアの展開からGWSに持ち込んででも勝つ」というミッションを完了させました。また、中国は試合開始直後からフィジカルの優位を生かして日本にどんどん身体をぶつけプレッシャーをかけてきました。
そのため、
・日本の良さであるスピードある攻め出しを封じた
・日本選手が対応に追われ思った以上に体力・スタミナを奪われた
・そして、早いプレッシャーを受けることで日本の、とくに経験の少ない若い選手がメンタル的に焦りを感じ、状況判断が遅れるようになった
という中国の狙い通りに試合展開を持って行かれた、というのが1点しか取れなかった理由と分析しています。
ただ、これら弱点がチェコ戦の前に発見できたことはある意味幸運でした。休養日なので飯塚監督はじめスタッフも万全の準備と対策ができたはずです。
↑中国に敗れはしたものの、本来は1-0で逃げ切れる内容。勝ち点1で準々決勝進出はもぎ取った。
中国戦の思わぬ敗戦の影響は…… プラス!
敗戦直後は悔しさを噛みしめていたスマイルジャパンの面々。
その時点では、チェコとの最終戦で60分のレギュラータイムで勝たなければB1位にはなれない状況でした。
しかし、日本が休養日の2月7日。思わぬところから素晴らしいアシストパスが送られます。
チェコ2-3デンマーク。
デンマークがチェコに勝つという予想もしない大判狂わせ!
日本が6-2で勝った相手が恩返ししてくれるなんて。
『ありがとう、デンマーク』
これで、「どんな形でも勝った方が1位」という元の状況に戻ったのです。ブラボー。
これ、日本の選手村での様子を想像すると、かなり体力もメンタル的にも回復できたのでは。なかでも、
・映像、または実地でチェコのプレーを確認できた
・デンマークの攻め筋、相手DFやGKのクセが確認できた。とくに失点シーンは情報の宝庫。
・先にデンマークと戦っているために、チェコの当たりの強さをある程度イメージして試合に入ることができる
こういった面が日本にとってプラスに働くのではないかと思います。
チェコ戦における、日本のストロングポイントとは?
そして最後に、筆者が考える日本のN0.1ストロングポイントとは?
それは、中国戦でアメリカカナダ並みの体格が良い選手にガンガンぶつかられたことで、チェコのボディチェックは案外耐えられるな、と選手が感じるのでは、ということ。
“NCAA2軍連合軍”よりチェコのチェックは間違いなくソフトに感じるはずです。それは体力的にも楽ですし、状況判断の速さを取り戻せることにもなります。若手選手が中国戦で積んだ経験は、スマイルジャパンの将来に向けて大きな糧となるでしょう。
個人的には、日本が持ち前の運動量で勝り、チェコの動きが鈍くなってきた第3ピリオドでかなり優勢に試合を運べるのでは、と期待しています。
そしてそんな時には。
ここまで動きが良く、どんどんフォアチェックに行けるサードライン。
FW/27小山-18高-12大澤、DF/7川島-6鈴木のラインから貴重な得点を奪ってくれるようなそんな気がしてなりません。
↑編集部としては、走力とスタミナのある高涼風と小山玲弥に期待しています。パックを持っている相手にどんどんぶつかって、チャンスを呼びこめ!
チェコのゴーリー(GK)であるクララ・ペスラロバ、あるいはヴィクトリア・スレイドバを中国のK・レイチェルと比べると、サイズがやや小さい。
また相手の弱点は研究もできているので、その点でもプラスです。
はたしてこの予想は当たるか、そしてスマイルジャパンがチェコとの激戦を制して、みごとB組1位での準々決勝進出をはたすのか?
そんなポイントに注目して、みなさまもますます盛り上がっている、
北京オリンピック『スマイルジャパン』の試合をぜひ楽しんでいただければと思います。
【北京オリンピック 女子アイスホッケー 放送予定】
スマイルジャパンの試合はすべて地上波で放送!
<予選リーグB組>
2月8日17:30- vsチェコ(NHK)
文・写真/ポタやん(IcePressJapan編集長)
写真/千葉修太郎(IcePressJapan)
↓より詳しい『スマイルジャパン』&アイスホッケー情報は
アイスプレスジャパンへ。
「アイスプレスジャパン」では北京へ出発する直前に行われたリモートインタビューでの選手&監督の声もたっぷりとお伝えしています。