女子アイスホッケー『スマイルジャパン』日本対フィンランド戦展望(前編)
来ましたよ、ついにこの日が。
2月12日 17:40- 日本vs.フィンランド
日本の女子アイスホッケーでも歴史上最大のビッグゲームがやってきました。
北京オリンピック女子アイスホッケーの準々決勝で、我らが女子日本代表『スマイルジャパン』はフィンランドと対戦します。
↓※フィンランドチームの分析は「後編」で。弱点も書いてみた
準々決勝で2強(カナダ・アメリカ)の対戦を避けられるよう予選リーグB組で1位を勝ち取ったのも、すべてこの試合のため。
『スマイルジャパン』が大会前に願っていた通りに、ここまできました。
あとは、選手スタッフともに培ってきた力を120%出し切るのみ。
「絶対に勝つ」という気迫のもと、レディーライオンズと呼ばれるフィンランドにどんな形でも良いから勝ってほしいと思います。
※フィンランド代表の愛称は男子も女子も「レイヨナット(Leijonat)」=ライオン軍団。国章がライオンであることから来ています。
正直に申し上げると、フィンランドは女子アイスホッケー界でもかなり「強国」の位置にいます。2019年に自国エスポーで開催された女子世界選手権では、”最強アメリカ”をあと一歩まで追い詰めました。
↓その時の様子はこの記事で書きました。フィンランド監督交代の話も
カギは「パワープレー」。磨いたフォーメーションで守備の壁を突破せよ
そんな強い相手に『スマイルジャパン』が勝つためには、やはり先に点を取って相手を焦らせ、優位に試合を進めるという形が必要。
そのためにカギとなるのが、ここまで絶好調なパワープレー(PP)での得点です。
パワープレーとは、反則で相手が1人少ない状態のこと。
幸い、ゴーリー(GK)の藤本那菜選手がいつも通りに最高のレベルのプレーを見せてくれており、失点はここまで最小限に抑えられています。日本は序盤の相手の攻勢を藤本那菜選手を中心にしっかり耐え、相手の反則があったところで一気に反撃と行きたいところ。そんな戦略で臨むのではないかとお思います。
現在、世界3位。高いパワープレー成功率
北京オリンピックでの日本はここまで、パワープレーの成功率は30.77%。
B組ではもちろんトップ。アメリカより上で全体3位の良いデータです。
パワープレーでは、相手を取り囲んでパスを回しながら崩す形を取れるため、フォーメーションのパターンがいくつも用意されています。飯塚監督は昔からその攻撃フォーメーション作りも担当。ピョンチャン五輪までの山中武司監督時代は、コーチの立場から攻撃コーディネーターとしてチームに関わり続けてきました。
国内合宿では男子高校生を相手にそのパターンをひたすら練習し磨き上げてきました。合宿では練習試合で、2018ピョンチャンの前には勝てていなかったインターハイ8強クラスの相手を軽く4、5点差でくだすこともしばしば。その原動力は、パワープレーをはじめとしたスペシャルプレーの成熟度にあります。
おそらく今回のオリンピックでも、まだ相手に見せていない攻撃パターンがあり、相手も疲れてきた試合後半のタイミングで飯塚監督がカードを切ってくる可能性があります。
日本の大チャンス! パワープレーでのキーパーソンは?
例えば、初戦のスウェーデン戦の先制点のようにDFがゴール前に入り込んでシュートするといったパターンを隠し持っているのかも??
その時には、小池詩織選手や細山田茜選手の動きが重要になってきますが、
国内女子リーグを見る限り、この2人は……。
「攻撃大好き!」
2人ともけっこう高いシュート力を持っており、なにか1発やってくれるような雰囲気がプンプンします。
小池詩織選手は所属チームでもガンガンゴール前に上がってくる、攻め好きなプレイヤー。スウェーデン戦の先制ゴールは記憶に新しい↓
細山田選手は中国戦で先制ゴール。シュート力もあります↓
「アイスホッケー人生の集大成」久保英恵のプレーを見逃すな
そして、パワープレー(PP)といえば、この人を紹介しないわけには行かない。
久保英恵選手。
久保英恵選手の報道の数々↓
彼女のシュートの威力と正確性は20代の頃から世界の女子アイスホッケー選手には恐れられており、39歳となったいまでもチーム……いや、世界でもトップクラスでしょう。
ゴール近くのスペースで久保選手がフリーになったら、世界のどの強豪でも失点を覚悟しなければならないでしょう。それほどの存在です。
おそらく、「久保さん、クロスバー当ててみて」とお願いしたら「オッケー(笑)」といって、カッキーン、と1発目で当ててくれると思います。
それだけ正確なシュート力があります。
パワープレーでは、通常のラインにこだわらない編成ができますので、
志賀紅音-床秦留可-浮田留衣
床亜矢可-久保英恵
という夢のような超攻撃的フォーメーションを日本は駆使してくると思います。この組み合わせになったら、ぜひ画面により集中して応援してください。
フィンランド戦のパワープレー、
今大会でついに世界クラスの才能が開花した感のある“久保英恵の後継者”床秦留可選手のパス能力&攻撃力に“氷上のスナイパー”久保英恵のシュート力が組み合わされば、きっとフィンランド相手にも、我々サポーターがあっと目を丸くするようなファインゴールを見せてくれるはず。
この北京オリンピックを最後に代表引退を示唆し、「北京はアイスホッケー人生の集大成」と公言している久保英恵選手。
最高のプレーで、女子アイスホッケー界の多くの後輩たちにそのプレーの記憶を焼き付けてほしいと願っています。
相手にとってフィンランドは不足なし。予選リーグ最終戦の対チェコ戦を上回る歴史的な試合になることは間違いないでしょう。
『スマイルジャパン』の戦いぶりをぜひテレビの前で応援していただき、この「スマイルジャパン史上、最大の挑戦」を楽しんでいただけたらと思います。
後編では、相手フィンランドを紹介&分析。弱点も突いてみたいと思います。
【北京オリンピック 女子アイスホッケー 放送予定】
スマイルジャパンの試合はすべて地上波で放送!
<準々決勝>
2月12日17:30- vsフィンランド(テレビ東京系)
ネット中継→ gorin.jp
文・写真/ポタやん(IcePressJapan編集長)
写真/千葉修太郎(IcePressJapan)
↓より詳しい『スマイルジャパン』&アイスホッケー情報は
アイスプレスジャパンへ。
「アイスプレスジャパン」では北京へ出発する直前に行われたリモートインタビューでの選手&監督の声もたっぷりとお伝えしています。もちろん久保選手も。
ポタやんです。基本的にはライター&編集者ですが、最近は映像制作も精力的に行っています。現在アイスホッケー&アイスクロス情報サイト「IcePressJapan」を運営中。冬スポーツ色々を盛り上げるべく頑張ります!