物書きとホロスコープ
毎日論文を英語で書くかたわら、ホロスコープの勉強をしてる。
自分の9室には乙女座の水星と火星に加え、天秤座の金星はほぼMC付近でPoFと合。日本を離れて海外で外国語を使いながら研究する道を選んだことはとてもしっくりくるし、かなり心地がいいと思う。
でもそれはスラスラ葛藤もなく物を書けるということではなく、むしろ書くということをかなり意識的に日々鍛錬している。鍛錬しなきゃ使い物にならない。論文を書くレベルの英語は特に問題ないのだけれど、書くときのスタイル、文章の美意識、論理的流れの美しさ、読者の興味の引き寄せ方などを考えながら何度も何度も推敲を繰り返して磨き上げなきゃとても人様に読ませられる論文にはならない。時間がかかる地道な作業。
日々物を書くという作業をしながら、物書きとホロスコープについてふと考える。コミュニケーションや知性を司るのはもちろん水星だけど、物を書く時に多分人は他の星もかなり無意識的に使ってるんじゃないだろうか。自分の場合は9室の文章の美意識に関する天秤座の金星とか、知識欲の塊みたいな乙女座火星とか。そして、つまらない文を書けばすぐに飽きてうんざりしてくる双子座の月とか。きっと人はいろんな星の葛藤をコントロールしながら物を書いてるんだと思う。そうじゃなきゃ、それぞれの星をうまく調停するやる方をマスターしなければ、書いてて心から満足できる文章は書けない。
自分の中の星の葛藤を意識する前は、9室乙女座火星の無限の知識欲を満たすことができずかなり苦労した。貪欲な知識の吸収に常に意識が向い、文章によって知識をアウトプットする作業がひどく億劫になるのだ。自分の既知の情報を他者のためにわかりやすく説明し直すという作業にあまりモチベーションが上がらないというか。そして、火星に意識が向いすぎて美意識の金星を使って推敲する作業を怠れば、自分の文章の美しさやバランスに自信が持てずに無駄なコンプレックスを抱く。それに加え、軽やかな皮肉なウィットを加えなければ双子座の月がその書く作業にうんざりし始める。書きながら最悪な気分になることもしばしば。
最近は火星以外の星たちを意識しながら存分に使って、推敲という作業の中でいろんな星の葛藤を統合してる。これがとても調子がいいのだ。まるで書くという作業自体が分裂した星を統合するセラピーのような感じで全然嫌にならない。文系の研究論文にはよくあることだが、書きながらわかってくる発見も多く存在する。その意味において知識欲の9室の火星のモチベーションを刺激して意識的に書く楽しみに持っていくのだ。そうすれば文章を書きながら、9室にある金星の美意識も余裕を持って発揮でき、双子座の月は読者の視点でのワクワク感を自由に教えてくれながら書くことを手伝ってくれる。今はロールモデルになるような美しい論文を書く学者の書き方を参考にしながら日々どんどん鍛錬していくのが楽しくて仕方がない。
ハードアスペクトの統合やマレフィックの星の扱い方は多分そんなに難しくないんじゃないか、と最近思う。何かの作業をやりながらうまくいかない時は、必ず何かの星が内的に葛藤してるはずだから、それぞれの星の本来の美しさや欲望を素直にすくいとってバランスよく発揮する練習をすればだんだんうまくなってくるじゃないかな。自分にしか書けない文章がきっとあるし、そのスタイルを確立しながら心が満たされるまで唯一無二の自己表現ができるようになれば、それはきっと物書き冥利につきるんだろうな。