見出し画像

名菓ひよ子はなぜ上を向いている

ちょっとモノづくりのお話です。
なぜひよ子が上を向いてるかなんてデザインに決まってるだろと思うかもしれませんが、それだけじゃない事がモノづくりの観点からわかります。

和菓子職人が一点づつ手で作っていらこうならなかったかもしれないのです。それは大量に効率よく、同じもの、同じ品質のものを作るがためでもあります。
これ大量に同じ形のものを作るために「型」を使っています。
ほとんどの樹脂の物がそうであるように型と言う形状をうつすための製品の反対の形をしているものを使うのです。
簡単に言うと判子の立体版ですかね。
あと例えば、自分の手の形を石膏などで作る時などゴムの固まっていないのに手を突っ込んで固まったら手を抜いてその中に石膏を流すと手と同じ形の石膏が出来ますよね。そのゴムが型です。

型と言っても色々な物がありますが、ひよ子の場合は何となく丸めた材料がベルトに流れて上からひよ子の形をした型が降りてきて材料をつぶすようにして型がまた上がるとその型の形に材料が変形していると言うものです。

画像1

上の写真で右から左へひよ子の材料が流れています。
真ん中の上に白い四角いのが「型」で、内側がひよ子の形で彫られています。

そこでなぜ上を向いているか、、、
くちばしが重要なんです。上下に型が動いているので、もしくちばしが横に向かって出ていると型が上がる時引っかかる部分が出てきます。
くちばしの下側に型が来ないと形状が出来ないのですが、その下側がぶつかって強引に持ち上げるときっとくちばしがもげちゃいます。。。

この様な形状をアンダーと言うのですが、この単純に上下する型だと作れない形状なのです。
ひよ子はそれを無くすためおそらく上を向かせてくちばしが上に付いていれば、アンダーは出来ないので上手く型が上がって綺麗に材料から離れるのです。

この様になんでも作れそうで作れない形が型を使うと出てきます。
もちろん型を左右に分けて左右からつぶして左右に離れれば横向きのくちばしも作れますが、その場合真ん中に左右の型の合わせの線が出来てしまいます。
またくちばしの下の部分を別の型にして横にはずれて、それから上に離れると2段階にしても横向きのくちばしが出来ますが、かなり複雑な装置が必要になるかと思います。

いつもの生活の中にあるモノにも色々と工夫して作られています。
この様にある制限の中でモノづくりって行われるんです。
でもその中で上手く良い形を作れるように出来た時はとても楽しいです。
制限の中で工夫してモノを創り出すことが面白そうと感じた方はきっとモノづくりが好きな方です。
モノづくりの楽しさをすこしでも伝えられると良いのですが。

いいなと思ったら応援しよう!

DB100
宜しくお願い致します。