【院試解説】令和2年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 高分子科学 (1)
こんにちは やまたくです。
最近、全く更新できておらず申し訳ありませんでした。
本日は
令和2年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 高分子科学 (1)
を解いていこうと思います。
問題自体は著作権の問題で載せることはできないので、大学のホームページからご覧になってください。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンラインでの筆記試験という前代未聞の試験形式になったこともあり、例年よりも解きやすい問題が並んだ印象でした。
(1)の内容としては重合反応に関する基礎的な問題なので、高分子系の研究室を志望している方にとっては簡単すぎたかもしれません。
ということで今回は解説抜きでいきなり解答を列挙させていただきます。
ア:連鎖
イ:開始剤
ウ:ラジカル
エ:初期
オ:比例
カ:逐次
キ:後期
とは言ったものの、これだけだとなんの役にも立たない記事になってしまうので少しだけ説明をさせていただきます。
この問題で問われていたのは高分子生成の基礎様式を理解しているのかということです。高分子の合成反応は一般に下記のように分類することができます。
おいおい、これだと問題の答えになっているリビング重合がどこにも分類されていないじゃないか!!
という話になりますが、基本的にリビング重合は連鎖重合に分類されます。しかし、近年、逐次重合によるリビング重合も報告されているので、リビング重合を分類表に載せるのが難しいというのが実情です。
ただ、この問題で重要なのは下記の3点です。
・一般的なフリーラジカル重合は重合初期から高分子量のポリマーが得られること
・リビング重合ではモノマーの転化率に比例してポリマーの分子量が増加すること
・逐次重合では重合後期に分子量が急速に増加すること (高分子量体を得るためには反応率を100%近くにする必要があること)
このことをグラフにまとめると下記の通りになります。
このグラフさえ頭に入っていれば1分もかからずに次の大問に進めたと思います。
ちなみに今回の問題は高分子の化学 (三共出版) の21ページをもとに作られた問題だと思うので、細かい点が気になった方は是非、本を参照してみてください。
次回は令和2年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 高分子科学 (2)を解いていこうと思います。
質問やコメントがあれば残していってもらえれば嬉しいです。
(この記事は100%合っていることを保証する解答ではないので間違いがあるかもしれません。もし間違い等があればコメントで教えて頂ければ幸いです)