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【院試解説】平成30年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 9A (1)
こんにちは やまたくです。
今日は院試解説として
平成30年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 9A(1)
を解いていこうと思います。
著作権上の都合から、問題は大学ホームページのリンクからダウンロードしてください。
今回は問題自体は簡単だったので、解答を示した後、少しコメントを残していこうと思います。
①スチレンのラジカル重合
①の解答は以下のようになると思われます。
![スクリーンショット 2020-06-07 午後0.50.15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27690479/picture_pc_4b313e5aaffc303016727931c7a75018.png?width=1200)
N,N-ジメチルアニリンはここではここでは還元剤として作用し、過酸化ベンゾイルの開裂反応を促進しています。(通常より開始反応の温度を下げることに利用されることが多いです)
この問題ではN,N-ジメチルアニリンはラジカルカチオンまででストップさせていますが、一般には以下の反応が進行しラジカルになることも知られているので覚えておくと良いかもしれません。
![スクリーンショット 2020-06-07 午後0.55.21](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27690773/picture_pc_da0bff7e2d7ab3311a2cbb020c920cf9.png?width=1200)
②メチルビニルエーテルのカチオン重合
②の問題のリビングカチオン重合に関する問題ですね。
解答は以下のようになると考えられます。
![スクリーンショット 2020-06-07 午後1.07.51](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27691656/picture_pc_eca2dce6c96744307c087be4ceb51631.png?width=1200)
カチオン重合はアニオン重合に比べて連鎖移動反応や停止反応が生じやすく高分子量のポリマーを得にくいことが知られていますが、
上記のようにカチオン源と金属ハロゲン化物の組み合わせからなる開始系を用いることで分子量分布の狭い高分子量のポリマー合成が実現されました。
金属ハロゲン化物のアニオン種は通常のハロゲンイオンよりも立体的に大きいため、カルボカチオンとの相互作用が小さくなります。その結果停止反応が生じにくくなり、高分子量のポリマーがカチオン重合でも得られるようになると考えられています。
終わりに
今回は基礎的な内容が中心で比較的解きやすい問題だったのではないでしょうか?東工大の高分子合成関連の問題は物性系に比べて解きやすい問題が多いので院試本番では落としたくない問題になってくると思います。
次回は(2)を解いていこうと思います。
最後に、質問やコメントがあれば残していってもらえれば嬉しいです。
(この記事は100%合っていることを保証する解答ではないので間違いがあるかもしれません。もし間違い等があればコメントで教えて頂ければ幸いです)
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