【院試解説】令和元年度 東京工業大学 理学院 化学系 問題6 有機化分野(選択問題) b
こんにちは やまたくです。
今日は院試の解説として
令和元年度 東京工業大学 理学院 化学系 問題6 有機化分野(選択問題) b
を解いていこうと思います。
大学院の講義が始まってしまった関係で一問ずつしか解説記事をかけなくて申し訳ないのですが…少しずつ積み上げていこうと思っています。
優先して解いて欲しい問題があれば問題番号を指定してお教えいただければ幸いです。
問題自体は著作権の問題で載せることはできないので、大学のホームページからご覧になってください。
b カルボカチオンの転位反応 (メチル基移動)
アルケンへのハロゲン化水素の付加反応に関する問題です。
この反応は求電子付加反応がカルボカチオン機構によって進行することを理解しているかどうかを聞いているものと思われます。
答えとなる反応機構は下記のようになっており、第2級カルボカチオンよりも第3級カルボカチオンが安定であるという性質に由来したメチル基転位が生じます。
そのため、得られる化合物が二種類となるのです。
本問題では、3,3-ジメチル-1-ブテンに関する現象でしたが、類似の現象は3-メチル-1-ブテンの場合にも観測されることを覚えておくと良いでしょう。
この場合はメチル基ではなくヒドリドが移動し第3級カルボカチオンが生成します。
上記の転位反応が生じることが反応が1930年代にペンシルベニア州立大のF. C. Whitmoreによって発見されたことによってカルボカチオン機構がもっとも有力な反応機構であることが示されました。
終わりに
今回は過去問解説の第一弾として令和元年度 東京工業大学 理学院 化学系 問題6 (選択問題) bを解いていきました。
間違った反応機構については観測されるデータに基づいて、データを満足に説明できないことを示せば良いのですが、
正しい反応機構を完全に証明することはなかなか難しいですね。
昨日から問題解説が一問ずつになりましたが、リクエストがあれば優先して解きたいと思っているので是非是非教えてください。
また質問やコメントがあれば残していってもらえれば嬉しいです。
(この記事は100%合っていることを保証する解答ではないので間違いがあるかもしれません。もし間違い等があればコメントで教えて頂ければ幸いです)