ただの大学生が海外で日本代表として日の丸を背負ったハナシ
この話は、
ただの大学生が海外で日本代表の日の丸を背負ったような気持ちで、戦った話です。無謀だと思われたりするかもしれませんし、怖くなかったと言えば嘘になりますが、後悔はありません。
温かい気持ちで読んでいただけると、幸いです。
大学2年生の時、アイルランドに留学する前、隣の国・イギリスを旅行することにした。
私の初めての海外旅行だ。
イギリスに到着しホテルに向かうが、イギリスに着く便が3時間遅れたため、ロンドンに着いたのが予定時刻を過ぎた深夜0時頃だった。
日本から予約したホテルにチェックインしなければいけないため、急いで電車でホテルへ向かう。
ホテルにようやく着き、チェックインを済ませようとカウンターに行った。
「予約していた○○ですが、チェックインお願いします。」と話すと、向こうはどうも様子がおかしい。
チェックインの準備をする様子がない…
コソコソと、2人の△☓系の顔立ちのカウンターの男性がなにやら話込んでいる。
少し待たされ、呼ばれてカウンターに戻ると、
一人の受付の男性が私の方にやってきて、奥にいる男性に目配せをした。
何か様子がおかしい。
すぐに変な雰囲気を察知した。
そうすると慣れた様子で、その受付の男性はイギリスではない△☓系の国なまりの英語で悪巧みの不気味な笑みを浮かべながら、私にこう言った。
ロンドンでは、△☓系の国の方たちが経営するホテルが多くある。
(△☓系の国の方でも、きちんと経営されている方もいるので、偏見を避けるために国名は明記せず、△☓としています。)
「チェックインの時間が大幅に過ぎているので、あなたの部屋はもう他の人に泊まらせた。
だからその値段の3倍はするが、他の部屋なら用意できる。」とのことだった。
それならば、どうして私が到着した時点で、すぐにそう言ってこなかったのかと不信感が出てきた。
私はこう言い返した。
「でも、私はキャンセルすると言っていませんでしたよ!もしキャンセルになるならば、チェックインが何時間遅れだったらキャンセルしますという規約があるはずですよね?!」と言った。
2人は「どうする?」という感じでまた目配せし始め、またコソコソ話を始めた。
「高い部屋なら、空いている。」とまた言い返してきた。
日本人なら、NOが言えないし、3倍するホテル代でも払えるだろうとでも思っているのか?
日本人を完全にバカにしている。
これはいつも使っている、常套手段だなと思った。
今まで、何十人のいや何百人の日本人がこの手で騙されてきているのか?
私は決めた。
もし、「私がそれなら3倍のホテル代を払いますので泊まらせてください。」
と言えば、この後も、同じ手で騙していくと思った。
絶対に許せない!
私は曲がったことが大嫌いだ。
このホテル代も、自分がアルバイトして貯めたお金で、しかもお世話になった家庭教師先の渡辺さんが、私が英語を学びたいという思いで留学したいということを知っていて、臨時授業まで入れてくれた留学協力金だった。
絶対に、1円も無駄にしたくない!
そして、私はこういった。
「ここには泊まりません。」
そして、そのホテルを後にした。
カウンターの2人は、えっ?!という表情を浮かべていた…
真っ暗な路地に出たはいいものの、他のホテルを探さなければいけない…
夏休み中ということもあって、どこもホテルも混んでいた。
とりあえず、その辺にあるホテルという看板が出ているところを片っ端から当たった。
学生が泊まるような安いホテルは、なかなか空きはなかった。
数件回って、先ほどのホテルの前を通り過ぎ、その先にありそうなホテルに向かっていると、一人の日本人らしきおじさんが声をかけてきた。
タバコを吸いに路地に出てきていた。
私がスーツケースを持ってうろうろしているので、おかしいと思ったのだろう。
「日本人?どうしたの?」
私は、「はい、そうです。」と答え、さっきのホテルであった出来事をおじさんに話した。
このおじさんは、あの問題のホテルの近くのホテルに長期滞在しているということだった。
あー…そういうことね…と意味深な顔をして、私の話を聞いていた。
そのおじさんは、「そしたらこの先にある△△ホテル行ってみたら?たぶん、一部屋ぐらいは空いてるけどね。」と、教えてくれた。
私はそのホテルに向かった。
そうすると、感じのよいイギリス人の若い女性が対応してくれ、何部屋か空いているとのことだった。
価格も良心的だったので、部屋を事前に見せてもらってからチェックインした。
シャワーも付いているし、部屋はそれほどではなかったが許容範囲だった。
とりあえず深夜ということもあり、贅沢は言えない。
仕方がなかったのでその部屋で手を打った。
部屋に荷物を置くと、長時間の日本からの移動と、先程のホテル騒動でどっと疲れが出た。
ただの大学生が海外で日本代表の日の丸を背負ったような気持ちだった。
シャワー浴びてすぐに寝てしまったが、心の中はすっきりと晴れやかだった。
あのまま、ぼったくられてあのホテルに泊まっていても、怒りで一睡もできなかったはずだ。
次の日の朝、目が覚めてから冷静に昨日のことを思い出した。
たとえこれが、知らない国ではじめての深夜の野宿となっていても、私は後悔しなかっただろう。
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