誰もが知っておくべき年金を増やすという考え方
年金という制度
日本人で年金制度に関係ない人はいない。20歳以上60歳未満であれば公的年金に加入する。公的年金には2種類あり、会社勤めや公務員の人であれば厚生年金、その他の人は国民年金に原則加入している。公的年金は人によって貰える金額が変わり、しっかり加入して納付していなければ減額されるし、逆に受け取る年金額を増やすこともできる。国民年金であれば、加給年金や国民年金基金に加入することで受け取る年金額を増加できる。一方で会社勤めの人は任意で加入するような手続きをせずとも増やすことが可能である。
公的年金を増やす
会社勤めの人で年金額を増加するには4つの方法がある。
1.収入を上げる
2.長く働く
3.夫婦で厚生年金に入る
4.年金の受給開始年齢を遅らせる
上記のことは特別なことではなく制度を知っていれば当然となるだろう。
1.報酬比例部分を増やす
厚生年金には定額部分と報酬比例部分があるが、給料が上がると報酬比例部分の支給額が上がる。厳密には標準報酬月額によって計算することになる(標準報酬月額65万円が上限)が、給料が上がると将来の年金支給額が上がるならば、今の頑張りが将来にも影響するわけだから、今を頑張って昇給することも重要なことだと思えるだろう。
ちなみに定額部分は、金額が決まっていて、加入月数に比例する。収入の大小は関係ない。
2.厚生年金に加入し続ける
基礎年金は原則60歳までしか加入することができない。20歳から60歳までの40年間、月数で480カ月という加入期間が上限となる。一方で、厚生年金の上限は原則70歳で、上限年齢を超えても受給資格期間を満たしていない場合などは一定の条件を満たしていれば任意加入可能で、60歳以降も働くことで厚生年金に加入し続けることができる。できるだけ長く働くことで年金を増やすことが可能となる。
3.共働きで厚生年金に加入する
個人ではなく家計という考え方にはなるが、生涯賃金の話がでると【専業主婦は2億円の損をする】と聞くようになった。恐らく橘玲氏による本の影響かと思うが、共働きと片働きでは生涯賃金にそれぐらいの差があるという意味である。これは年金の場合でも大きな差が出てくる。妻がずっと専業主婦だった場合のモデル年金額は夫婦二人で月額約22万円ぐらいだが、単身なら15万円。仮に厚生年金にパートナーが加入しており、年金支給額が12万円だとすると夫婦合計で27万円となる。
令和4年10月からも改正があるように、短時間労働者(パート・アルバイト等)の厚生年金保険の適用範囲が細かく変わっているが、夫婦共働きで厚生年金の受給資格があることは将来の年金額増加につながる。
4.繰り下げ受給制度を利用する
国民年金や厚生年金に加入していて条件を満たす人は、原則65歳から年金を受取ることができる。年金の支給開始年齢は65歳からだが、これはあくまでも「支給開始年齢」であって、この年齢にならないと受け取れないとか受け取らなければならないというわけではない。本人が希望すれば年金の支給開始を66歳以降好きなタイミングで、1カ月単位で遅らせることができる。これを【繰り下げ受給】というが、繰り下げ受給の上限は、2022年4月1日以降75歳までに引き上げられた。
仮に70歳まで5年間遅らせると42%受取額が増える。これは65歳から受取る年金額とくらべて1カ月ごとに0.7%増額されたことになる。ちなみにFP資格の試験ではほぼ毎回出る必須の知識。同様に75歳からなら84%受取額が増えるが、どうしても生きている間に受け取れるのかといった損得の話がでてくるので、これはこれで難しい選択ではある。
年金額増加は可能
公的年金は工夫次第で増やすことができる。当然公的年金だけでは老後は厳しいとの話はあるが、それでもまずは国が作った年金制度を利用しない手はない。個人のライフスタイルを考慮しつつも、まずは給料を上げる努力をすることは間違ってはいないのではないだろうか。