イギリスで家を探してイスラム教徒と同居した話。
僕は大学４年時にワーキングホリデーでロンドンにいた。
日本で手配したのは、３か月の語学学校と、往復の航空券、１ヶ月のホームステイだ。
今回は、ワーホリ先での家探しと同居人について、紹介したい。
①家を探す
僕がいた2009年のイギリスはとにかく物価が高く、一人暮らしは到底不可能であった。貧乏学生だけではなく、いわゆる普通のイギリス在住者は大概ルームシェアをしていた。
語学学校で情報収集した限りでは、二つのホームページが住居探しの定番だった。
GumtreeとMixBの二つだ。Gumtreeは現地の方向けで、MixBはサイトに使用される言語も日本語で、日本人でも気軽に物件を探せた。
ああ、家探しの前に必ず現地で携帯電話を獲得するのを忘れてはならない。金がなかった僕は、VODAFONEのプリペイド携帯を使用していた。
【使ったサイト】
★MixB（https://uk.mixb.net/）
使用言語：日本語、物件数は少ない。
★Gumtree（https://www.gumtree.com/）
使用言語：英語、ただし物件数がとにかく多い。
二つともまだ健在であることに驚いた。
☆MixBで家を探す
渡英して間もない僕は、家賃交渉の煩雑さを考慮して、MixBで家探しをしていた。語学学校がHolbornにあったため、central line沿いの物件を探していたところ、丁度Bethnal Greenにとても良い部屋を見つけた。物件を見に行っても非常に良い感じだった。同居人もアメリカ人とその他諸々で日本人は僕一人であることから、英語学習的にも非常に良い環境だった。しかし、他にも良いと思った物件の内覧を複数予約していた僕は、その場で即断即決ができなかった。結果、他の内覧者が即断即決をしたときに、その部屋を取られてしまったわけだ。ちなみに、家主は義理立てして携帯に電話をしてくれたのだが、プリペイド分を使い切っていた僕は電話を取れなかった。無念。即断即決とプリペイド分の重要さを知った日だった。
☆Gumtreeで家を探す
自分のミスではあるもののMixBにはつらい思い出があったので、2回目はGumtreeを使用した。慣れれば意外と使い勝手がよく、色々な方と連絡を取った。外国の方相手の家探しについて、最初はとにかくドキドキしたものの、回数をこなすと徐々になれる。フルタイムで働くつもりでいた僕は、そもそも住環境に重きを置いていなかった。「とにかく安価で便利な場所であること」これが唯一最大の条件だ。最終的に僕は、central line沿いのMile endという駅から徒歩10分程度の物件に住むこととなった。家賃は「200ポンド/2W」。2週間当たりの家賃を提示している物件自体かなり少なく、最初は戸惑ったものの内覧に行った。そのフラット（シェアハウス）には6人ほどが住んでおり、大家さんはバングラデシュ人だった。というか、全員がバングラデシュorインドのコルカタ出身のイスラム教徒だった。奇跡的に僕はバングラデシュが大好きだった。バングラデシュは僕が初めてバックパッカー旅行をした特別な土地であり、彼らとともに暮らすのはもはや運命とすら感じた。結果、僕は即断即決をした。
☆Mile endに住む
この駅は複数の地下鉄が通っているため、非常に便利な場所だった。しかも近くには大学や運河も流れている。しかし、家賃は比較的安いエリアだったと思う。それは、この辺が地域の中でもかなり大きな南アジアコミュニティが存在する場所だったからだろう。バングラデシュの通貨の両替もできたし、インドのサリーも買えた。駅と自宅の間のハンバーガー屋は英語とベンガル語が併記されており、店内のBGMは英語ではなかった。しかもバーガー＋ポテト＋コーラでたった2ポンドだ。ちなみに、その辺で遊んでいる子供も英語をしゃべっていなかった。街も暗いが、そんな治安が悪い印象はなかった。
②イスラム教徒と住む
イスラム教徒と同居するのは気を遣う。当然のことだが、共用の冷蔵庫にハムを入れてはいけない。ある時、大家から呼び出しを受けた。冷蔵庫内の「ハムらしきもの」について、質問された。
大家「これなに？」
ぼく「これってどれ？」
大家「このハムだよ。」
ぼく「あー、これはチキンハム大丈夫だよー。」
大家「良かった。僕たちはイスラム教徒だから、質問したんだ。気を悪くしたらごめんね」
謝られた気がするが、彼らは悪くない。見た目が豚ハムと変わらないチキンハムを冷蔵庫に入れておく僕の配慮不足だ。これ以後、チキンハムを僕は食べなくなった。同居人は真面目なイスラム教徒で、お酒も飲まなかったため、非常に健康的な暮らしをすることができた。
そういえば、ラマダンのタイミングも気を使った。平日は僕も働いていたので顔を合わせないが、週末は同じ家なので顔を合わせることになる。同居人たちは陽が出ている時間帯はご飯を食べないので、僕は部屋にこもってお菓子等を食べていた。ラマダン明けの食事会は非常に豪華で楽しかった記憶があるな。相手を尊重するとてもやさしい人々だった。異国文化にガツっと触れるには、異国の人と生活を共にするに限る。
偏見などなしに目で見たものを信じたい。
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