アクセス権について
【カレイドスコープ・オブ・ケオス】#10 を読んで、だが長いので独立記事。
前置きが長い。
フマー・ニンジャについて
ニンジャソウルの自我は憑依後ほどなくして溶解する。しかしフマー・ニンジャのソウルは特に悪質であった。単なるストリートギャングのリーダーに過ぎなかったアナイアレイターはこの強大かつ暴虐なイービルスピリットに容易に侵された。熱せられ再び冷やされた飴細工じみて、彼の自我は歪んだ。33
彼の中には既にフマー・ニンジャの意志は無い。粗暴な若者の自我をベースにした、キメラじみた混乱が在る。(後略)34
【デス・トラップ、スーサイド・ラップ】#2
けっこう古いので忘れられたり認識されていないが、アナイアレイターの中に「フマー・ニンジャの意識」は無い。無かった。
ソウル由来の力を強く振るうと、フマー・ニンジャ然とした言動をとってしまっていただけなのだ。
一部の方の実況にもあった通り、サツガイの力の何らかの作用によって、「フマー・ニンジャの意識」が生み出された、という印象がある。
ヒャッキヤギョよろしく、キンカクのオリジナルを引っ張って来たのか、ニンジャキラー的に、ニンジャソウルの中から浮かび上がらせたのか、もっと別の方法か。
(前略)……歪ではあるが確かに此奴はフマー・ニンジャよ。我を忘れ、なんと情けなき有様か!殺せ!))) 15
【カレイドスコープ・オブ・ケオス】#8
ナラク・ニンジャの言葉通り、如何にしてかはともかく、紛れもなくフマー・ニンジャそのものが存在していた。
サツガイの力について
フマー・ニンジャの件から、サツガイの力がある程度明らかになった気がする。説明は難しいがこうだ。
通常のディセンションは、ニンジャソウルの意識が失われる。
INW方式(ヨクバリ計画、ズンビーニンジャ)であっても、ニンジャソウルの意識は多分失われている。
ニンジャスレイヤーは、ニンジャソウルの意識がある。
ここから、ニンジャスレイヤーと他の違いを考えると、ギンカクという可能性が考えられる。
シーズン2で「力」と「ナラク・ニンジャ」を失い、それがギンカクに存在したことを考えると、「ナラク・ニンジャの意識」は常にギンカクにあるのではないか。
とすると、マスラダ・カイ含め、ニンジャソウル憑依者に、ニンジャソウルの意識を「保存」しておく余地が無い、ということではなかろうか。
そして、この「保存」する容量を提供するのがサツガイの力ではないか。
第4部が現代~風なので、個人的にはクラウドストレージイメージだが、外付けハードディスクという可能性もある。
また、この記憶領域はストレージ利用権、アクセス権という考え方もできる。
つまり
サツガイによって、キンカクないしゾーイの領域のようなコトダマ的空間へのアクセス権(記憶領域)を割譲されると、そこにあるニンジャソウルのジツを使えたり、ニンジャの意識にアクセスできる or 被憑依者内で圧縮ファイル的なニンジャソウル意識を解凍できるようになる、のではないか。
アナイアレイターに、サツガイは何かを為そうとした。(中略)10
(中略)サツガイは己の意図の通らぬ事に気づき、ますます笑った。「BWAHAHAHA!MWAHAHAHAHAHA!オカシイ!」13
【エリミネイト!アナイアレイター!】#7
キンカクへの直接アクセス権が一番説明し易いが、アナイアレイターが「サツガイの力」をある程度拒絶した、ということから、「サツガイの刻印」と「サツガイの力」は別物だとすれば、結構ややこしい。
ナラク・ニンジャについて
キンカク同様、ギンカクにこそナラク・ニンジャの本体が存在し続けるなら、なんらかの方法で、ニンジャスレイヤーはギンカクに常時接続している、ということではないか。
フジキドがアグラして待つのは、タタミ10枚程度の広さの浮き島だった。島の周囲には幾つか、シメナワを巻かれた逆円錐形の岩塊が浮遊している。頭上には黄金の太陽……否、立方体が輝き、一方、遥か下の雲海は、さらにその奥底から放たれる光を受けて、断続的に銀色に光るのだった。12
「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」#6
描写的にも、ギンカク(表出部)でナラク・ニンジャを近く感じたり、深くナラク・ニンジャに接続しようとすると、地の底のギンカク(本体)のイメージを伴ったりする。
複数人がギンカクの力を使えたのも、ナラク・ニンジャというニンジャソウル単体ではなく、「ギンカクへのアクセス権」こそがナラク・ニンジャの力の正体ということかもしれない。
あと、マスラダ・カイの無線LAN描写もこれに関わるのかもしれない。
うまい説明が浮かばないが、「ナラク・ニンジャ」と「ギンカクの力」が完全にはイコールでないとすると、「ナラク・ニンジャ」は、オイランマインドにとってのウキヨめいて、ギンカクに生じた統括意識体というか、ヨモガハマの力をシ・ニンジャが独占しているのに近いものを感じる。
アクセス権と考えると、サツガイもナラク・ニンジャもリアルニンジャクランの長も、同じ仕組みの延長かもしれない。
また、YoTHや黄金の林檎もアクセス権が関わるなら、インクィジターが守るキンカクの経路を通れるとか、そんな感じだろうか。
ネザーオヒガンについて
主な説明は
シャード・オブ・マッポーカリプス(75):〈ネザーキョウの暴君〉明智光秀
シャード・オブ・マッポーカリプス(79):狂気の英雄ザンマ・ニンジャとネザーオヒガン
「アイエエエ!」悲鳴が聞こえた。ジェイソンがそちらを見やり、呻いた。見下ろす崖下、赤い川のほとりで、痩せ衰えた奴隷達が泣きながら小石を積み上げていた。 13
「奴隷?よく運ばれる連中か?」「他にねえだろう」「何の仕事をしてる」(中略)14
【エスケープ・フロム・ホンノウジ】#3
(前略)(((マスラダ!此奴はビッグニンジャ・クランのニンジャであるが、コシャクにもオヒガンのオファリングで増強されておる)))ナラクの声が湧いた。 12
(((如何にしてか、嘆きを盗んで力に替えておる。一筋縄ではゆかんぞ。(中略)13
【カレイドスコープ・オブ・ケオス】#9
ネザーオヒガンの成り立ちと、ナガシノのインターネット最終処分場描写からすると、ネザーオヒガンにいた奴隷たちは、ネザーオヒガンの燃料供給源ともとれる。
彼らの嘆きがネザーオヒガンを拡張させ、「使い切って」しまったら新たな奴隷を補充するのではないか。
過冬のオマークの正しい(?)姿、かもしれない。
エメツの完全な解説がなされていないので、仕組みが似ているだけかもしれないが。
コクダカ
タイクーンに関わる何らかのジツ、と思っていたが、別の可能性を感じた。
単純に、ネザーオヒガンへの「アクセス権」だ。
コクダカ≒帯域幅のようなもので、より多いコクダカの持ち主ほど、一度に消費できるネザーの力が多くなる。
そして、アクセス権となるとクラン独自のネットワーク、というイメージもあり、アケチ・ニンジャ(あるいはオダ・ニンジャ)クラン所属ニンジャがいれば、コクダカ無しでも触れられる力なのか、分かったかもしれない。
ネザーオヒガンの力
ネザーオヒガンの力は無限(のように見える規模)なものの、現世とネザーオヒガンの境界でしか、本来行使できない。
作中の五重塔理論の通りだが、キキョウ・ジツにより、領域内にネザーオヒガンの力を満たすことで、帯域の理論値付近の消費速度を実現しているのでは。ベストエフォートな。
(前略)サクタは境界を貫き、ネザーキョウの電子的領域に突入した。 32
最初に感じたのは恐ろしい寒さだった。トラフィックが殆ど発生していない、異様な領域だ。しかしその電子的世界は確かに実在し、どこまでも広がっている。呼吸もできる。カナダに存在するネットワーク網はそのまま生きている。行き交うエネルギーがあまりにも少ないだけで……否!光だ! 33
【カレイドスコープ・オブ・ケオス】#9
この描写からすると、電子的領域≒コトダマ空間と、ネザーオヒガンは明確に異なる。
ネザーオヒガンの力は、コクダカによりネザーキョウ内で使われ続けているが、その流れは電子的領域に表れない。
「何、何を言って……」チェックメイトは頭上を見上げた。黒い空に亀裂が生じていた。アラートを生じていたのはその亀裂だった。コトブキとジョージが手をかざすと、キラキラ光る糸が伸び、亀裂の向こうに繋がった……KRAAACK……空の蓋が割れ、オヒガンが、黄金の太陽が、あらわになった。 61
「なんだ?一体どういう事だ……!?」「かりそめに乱暴に塞いで、外に通信できないようにしていただけですよね。わたしには、亀裂、見えていましたよ」コトブキが言った。チェックメイトは狼狽した。「バカな!?設定が書き換えられて……」『そうだ。頂いたぞ』デジタルオーディンが見下ろした。 62
【カレイドスコープ・オブ・ケオス】#9
ナガシノのイントラネットの描写と、ネザーオヒガンが同じならば。
ネザーオヒガンの空が割れ、オヒガンに力が漏出してしまったら、コクダカは使えなくなってしまうのではないか。
また、各リアルニンジャクランのネットワーク領域も、オヒガンを区切っているだけかもしれない。