消防団改革を自治体へ提言する
自分の自治体へ消防団の改革を訴える為、新規入団者確保が難しいという切り口から改善を提案すべく作成。同じ思いの方々が居ればどうぞお住まいの自治体用に流用していただいて結構です。
消防団員の新規入団者確保が非常に難しい
勧誘しても様々な理由で断られ、親が子供に引き合わせないなどのケースもあり、「けんもほろろ」といった状態である。
入団者確保には在住者や移住定住者、男女問わず自分の住んでいる地域の為に進んで入団したいと思える魅力ある消防団でなければならない。魅力ある消防団とは団員が自発的に活動に参加したいと思える状態であり、少なくとも苦痛だ、負担だ、など活動にストレスを感じる状態では魅力的だとは言えない。
原因
主な消防団活動は式典への出席とポンプ操法大会への出場という形骸化【活動内容】
防災組織である消防団は地域に起こり得る災害の影響の大きさから必要技能を定め、その習得と維持に必要な訓練をすべきだがそのようになっていない。東日本大震災の教訓は当町の消防団にどのように生かされているのか。式典はなぜ年3回行うのか、操法要領通りのポンプ操法大会は実際の火災現場と条件がまるで違うのになぜ必要なのか。大会の為の練習は長期に渡り練習するがなぜそんなに長時間の練習が必要なのか。
拘束時間と報酬が見合っていない。その報酬も支払い方法が適正ではない。【報酬・対価】
式典出席に対する費用弁償と報酬が個人に支払われずに班にプールされ、参加不参加問わず飲み会と旅行になんの同意もなく使われてしまう実態。また、訓練や出動などにより招集拘束されても費用弁償する条例が無い。
一般の方には見えない消防団活動【町民の理解】
先の町内断水の際に非常用水を消防団員が全戸手渡し配布した事により町民が消防団に好意的な感情を抱いている。消防団の活動が住民の生活不安に寄り添う活動だったのが見えたからで、裏返せば平時においては活動実態が知られていない状態ではないか。町の広報に消防団の活動が掲載されるのは平時であれば式典開催と操法大会の様子のみであり、広報が入団する動機に全くならないばかりか逆効果の可能性も。
働き方の多様化により特定曜日・時間に活動しにくい。また消防団活動が家族へ負担をかける【社会の変化】
通勤を伴う会社員など被雇用者の団員が殆どでありその勤務体系も交代勤務や不特定の平日が休みという団員も居る。全体訓練は日曜日に行われており勧誘対象者の休みが合わなければ入団を勧めにくい。
また若年層の家庭環境も核家族化が進み、昔は家庭内で主に女性が負担していた家事や育児を男性も同様に担うのが当たり前の時代であり、長時間・長期間の活動を柱としていては新入団員の確保はより一層難しくなる。
解決に向けて
妥当な訓練と活動に見合った対価の支払い
[訓練]訓練計画作成し提出→承認→訓練実施→活動報告書提出→承認し報酬支払い
[招集出動]活動後に報告書提出→承認し報酬支払い
対価支払いの為には訓練計画書を管理監督者が確認することで時間(=人件費)を掛けて行うべき活動か判断する。報告書は時間報酬支払いの根拠になる他にも、訓練実績や、参加人員、資機材の状態、公務災害発生の有無、活動地域の気づき事項などの報告が得られると考えれば重要かつ必要である。この仕組みにより団員は必要な訓練に参加した時間分の対価を得ることができ、自治体は管理すべき団員の実態を詳細に把握することができるようになる。
直近は紙ベースでも仕方が無いが、団員管理システムは全国的に必要とされる可能性が高く、県や国、消防協会などに対し様々な方法で積極的に働きかけ早期実現する事が公益に資する。
個人報酬や弁済費用、警備費名目の金を消防団が管理する事を禁止し対価を公平に
支払う費用は個人口座への振り込みとする事で、自身が参加しない飲み会や旅行など同意なく交遊に使われてしまう実態を解消し、団員誰もが等しく対価報酬を得ることができるようにする。
また、特殊な事情無く自治会から警備費名目の金を毎年受け取る事や、団員が住民から集金するなど条例違反状態があるのであれば禁止を徹底し、法令や良し悪しの事例などコンプライアンス教育を行う。
団員全員参加で訓練を企画し地域特性にあった訓練内容へ
これまでの消防団運営は前例ある訓練様式(ポンプ操法、通常点検、小隊訓練など)を使っていかに団員を順応させるかが消防団運営であったが、役に立つか疑問の多い訓練を無理に押し付ける側面があり、現代では全く歓迎されない。まずは自分たちが住んでいる地域に発生しうる災害を想定すること、次に想定した災害にどう対応するのが良いか、対応するためにどんな訓練をすべきか、団員が考え訓練を実行する事で防災力の向上になると共に団員はやりがいを感じ、真の士気高揚になる。
住民が消防団を理解し、より身近に感じてもらえる広報
地域貢献している消防団の活動や、防災のアドバイスなど、住民にとってメリットのある情報を目に見える形で広報する事で消防団活動への理解を得ると共に距離を縮めてより身近な存在に。
終わりに
総務省で行っている消防団員の処遇等検討会や、国会総務委員会での質疑、それに伴う新聞報道。先日もNHK全国ニュースで消防団員の減少問題と報酬のあり方についての放送がありました。
団員減少に端を発し、今まで変わることの無かった報酬のあり方と訓練内容の適正化は避けて通れません。常備ではない消防団に求められる機能とは何か。住民の付託とは何か。時代に合った消防団とはどんな姿なのかを皆で考える機会であると思います。