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愛媛県のカメムシ発生個数は前年の80倍!防除DXアプリ「TENRYO(天領)」の活用で病害虫から農作物を守る【ミライ菜園|事業紹介】

2024年、愛媛県の果樹栽培において大きな問題となったカメムシの大量発生。県によると、2023年の冬から2024年の春にかけて、越冬したカメムシの個体数は前年の80倍近くにもなったという。夏には、1996年以来の果樹カメムシ類の警報が発令され、生産者は農作物をカメムシから守るための対策に追われた。農業における病害虫被害は、収穫量の約25%に影響を与えるとされており、農家にとって大きな損失となる。

カメムシが柑橘類に吸汁すると、果実の表面に黒く凹みのある斑点が生じたり、色ムラができたり、果実が落果するなどの被害が出る。

しかし、近年の暖冬の影響で病害虫の発生傾向は予測しづらく、県からの病害虫発生予察情報や生産者の経験と勘を頼りにしても、防除のタイミングが遅れてしまう場合がある。そこで、期待されているのがカメムシをはじめとする病害虫から農作物を守る、ミライ菜園のDXアプリ「TENRYO」である。


収穫量の約25%の影響を与える病害虫被害

先述したように、農業における病害虫被害は、平均で収穫量の約25%にものぼると言われ、農家にとって大きな損失となる。特に愛媛県では、キャベツや柑橘類に被害を及ぼすアオムシやハダニ、カメムシなどが問題となっている。
 
【病害虫対策における課題】
●      気候変動の影響により病害虫発生のタイミングが変化し、従来の経験則が通用しなくなっている。
●      若手農家や新規就農者にとって、適切な防除タイミングの判断が難しく、被害拡大の要因になっている。
●      防除作業の負担が高く、適切な対策が遅れることがある。
 
また、日本政府は2050年までに農薬使用量を50%削減する目標(みどりの食糧システム戦略)を掲げており、肥料ロスを削減することが農業の現場においてもミッションとなっている。

病害虫リスクを 最小化するアプリ「TENRYO」

これらの課題解決に挑むのが、AIによる病害虫発生予測や画像診断サービスの開発を行う株式会社ミライ菜園だ。同社は、「農業の経営リスクを最小化する」をミッションに掲げている。なかでも農家にとってとくに大きな経営リスクである「病害虫被害」に着目し、AIをはじめとするテクノロジーの力で、農家の所得向上と持続的可能な農業の両立を目指している。
 
作物の病害虫被害を軽減し、より効率的な防除を実現するためのアプリとして開発した「TENRYO」は、病害虫発生を事前に予測するAI、発生可視化マップ、適用農薬の提案機能を通じて、県内産野菜および柑橘類の病害虫被害を抑制し、省力化を実現するサービスである。

「TNNRYO」の機能

(1)発生可視化マップ

農家や指導員が、直感的な操作で発生情報を記録・共有することで、地域全体で病害虫の発生状況をリアルタイムに共有できる。

(2)病害虫発生予測AI

各地の気象データと独自の病害虫ビッグデータを活用し、AIが毎日病害虫の発生リスクを予測する。これにより、農家は高リスクの病害虫を事前に把握し、適切な防除対策を講じることが可能。

(3)防除アドバイス

予報された病害虫に対応する農薬を表示する機能を備えている。農家は適用のある農薬を簡単に確認でき、効果的な防除計画を立てることができる。

2024年10月にリリースされ、日本有数のキャベツ、ブロッコリーの産地であるJA豊橋にて実際に導入されており、高い効果を発揮している。愛媛県でも2024年から柑橘類を対象に試験導入を行っている。現在、開発中も含め9種に対応しており、その品目を増やしている。

JAえひめ中央と中予の生産者で試験導入開始!

HAPPの定例会に参加し、アプリの説明をする株式会社ミライ菜園の代表取締役 畠山 友史さん

試験導入を開始したのは、JAえひめ中央、OCファーム、そして複数の生産者で構成される松山市青年農業者連絡協議会北条支部 HAPPの3事業者。
 

HAPP 会長 三島 早稀さん コメント

「防除については、普段から愛媛県が発表する病害虫発生予測情報を参考にしてHAPPの会でも情報共有を行っています。しかし、ハウス栽培と路地栽培では病害虫の発生タイミングに若干のズレがあるため、アプリで栽培環境の違いを考慮した予測ができると助かります。2024年は、極端な降雨による裂果やカメムシ被害で収量が減少したため、アプリを活用して早めの対策を行い、来年の被害を最小限に抑えられることを期待しています。」

新規就農者 三島さんコメント

「2023年に愛媛へUターン移住し、北条市で柑橘農家をしていた親戚から農園を譲り受け、新規就農者としてスタートしました。まだ1年目ということもあり、経験豊富な農家の方々からアドバイスをいただける機会が多く、ありがたい環境です。そこにAIのアドバイスも加わることで、経験や勘だけでなく、データを基にした判断ができるのは大きなメリットだと感じています。」

他県で導入した際には、高いAIの判定精度が確認された「TENRYO」だが、愛媛県でも同様の精度を発揮できるのかを検証する。2024年から2025年にかけて、AI予測と地域ユーザーの記録を比較しながら、実際に防除を行う生産者の意見を取り入れ、さらなるアプリのブラッシュアップを進める予定だ。

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