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AIで多言語対応研修ツールを効率的に生成!造船・船用工業におけるスムーズな外国人研修を実現!【株式会社ビースポーク|事業紹介】

深刻化する人手不足を背景に、外国人労働者の受け入れが加速する日本の造船・船用工業。一方で、言語の壁や文化の違いにより、技能伝承や人材育成に苦心する企業は少なくない。株式会社ビースポークは、生成AI技術を活用した多言語対応の研修用AIソリューションで、この課題解決に挑む。スマートデバイス等で撮影した動画を最先端のAI技術を応用して多言語化し、効率的な人材育成を実現。既に、愛媛県の造船・船用工業2社での実装実験がスタートしている。


外国人労働者の早期育成を実現する「BeTrained(ビートレインド)」

まず、株式会社ビースポークはAIソリューションサービスを展開する企業で、世界品質のAIチャットボット「BEBOT」などで知られる。トライアングルエヒメにおいては、造船・船用工業における外国人労働者の早期育成を実現するため多言語対応の研修用AIソリューション「BeTrained」を活用し、その課題解決に挑戦する。

同ソリューションの特徴は、スマートデバイスで撮影した作業風景の動画をAIで処理し、多言語対応の教育コンテンツを効率的に作成できる点だ。さらに、作業者視点で撮影することにより、実際の様子をリアルに伝えることができる。

外国人労働者の受け入れに関する課題

ここで、造船・船用工業における外国人労働者の受け入れ課題について見ていきたい。

課題①多言語対応の難しさ

1つ目は、多言語対応における正確性の課題だ。一言に外国人労働者と言っても、出身国はさまざまであり、コミュニケーションをとるためには多言語対応が必要となる。ChatGPTやGeminiなどの会話系AIツールを使用すればある程度の翻訳は可能だが、業界特有の専門用語や文脈を正確に理解し、適切なニュアンスで伝えることは難しい。そのため、高品質な専門的コミュニケーションの実現が求められている。

課題②日本における生活習慣の適応

2つ目は、日本での生活習慣への適応である。ゴミの出し方や部屋の使用方法といった基本的な生活ルール、さらには騒音への配慮など、近隣住民と良好な関係を保つための生活マナーの習得が必須となる。外国人労働者を受け入れる企業は、日本の生活様式に沿った規律ある生活を送れるよう、支援体制の整備に課題を抱えている。実際、採用時に接した日本人担当者に、外国人から問い合わせが集中してしまうという例もある。

課題③適切なコミュニケーションの実現

3つ目は、職場での適切なコミュニケーションの実現だ。具体的には、会議での発言タイミングや質問の仕方がわからない。日本特有の文化的な要素を含むコミュニケーションが理解できないといった問題が挙げられる。さらに、各業界特有のコミュニケーションスタイルへの適応も求められる。

どうやって解決するのか

同社のサービスは、これらの課題に対する包括的なソリューションを提供する。業務内容、日本で生活する際の注意点などについて、視覚的にわかりやすく解説したコンテンツを生成していく。

サービスの特徴的な機能として、マルチモーダルなアプローチを採用している。単なるテキストベースの説明では十分な理解を得ることは難しいため、動画、音声、テキストを組み合わせた複合的な学習方法を提供する。

具体的には、作業の様子を収めた動画に対して、音声と字幕を柔軟に組み合わせる。例えば、音声は学習者の母国語で再生しながら日本語の字幕を表示したり、逆に日本語音声に母国語の字幕を付けるなど、学習者のニーズに応じた設定ができる。これにより、作業の視覚的な理解と同時に、日本語での表現方法も自然に身につけることができる仕組みとなっている。マルチモーダルな学習環境により、作業内容の理解度を高めると同時に、実践的な日本語コミュニケーション能力の向上も期待できる。

また、コンテンツについても非常に効率的に生成することができる。まず、身近にあるスマートデバイス、例えばスマートフォンなどで実際の作業を撮影する。それをAIに取り込み、研修ニーズに合った動画コンテンツを作成。学習プラットフォーム上で、試聴、理解度チェック、テストまでが実施できるよう整備する。

これらのコンテンツはWeb上で視聴できるため、来日前から学習することも可能だ。これにより、来日時点である程度のスキルを習得した状態での着任も期待できる。

実装先企業からの期待感

BEMAC株式会社(船舶の総合電機メーカー/今治市)
 今回、愛媛県内では2社で実装実験が進められている。BEMAC株式会社では、外国人労働者向けの生活指導から安全教育まで、幅広い内容の教育コンテンツ作成を目指している。これまでも動画教材の作成を試みてきたが、編集に時間がかかり、多言語化も難しく、結果として十分に活用されていない状況だった。また、今後さらに外国人労働者の採用を増やしていく中で、その教育をいかに効率的に実施するかが課題となっている。特に、日本特有の生活ルールや職場でのコミュニケーション方法など、文化的な側面での必要性が高まっていた。「BeTrained」の活用がこれらの課題解決に繋がることを期待している。
 
村上秀造船株式会社(造船業/今治市)
 村上秀造船株式会社では、ベテラン技術者の高齢化が進む中、その技能を若手外国人労働者に効率的に伝承することが喫緊の課題となっている。特に、技術者特有の暗黙知や経験則を伝えることにハードルを感じるベテランスタッフも一定数いる。今回の実装実験では、マルチモーダルな研修ツールの強みを活かし、細かいニュアンスの違いが重要な会話や、専門用語の多く含まれたコミュニケーションにおける言語の壁を取り払えることを期待している。

既に「安全教育」に関する動画コンテンツが完成している

ビースポークとしての意気込み


喫緊の課題解決はもちろんのこと、同社はさらなる機能強化を進めている。

株式会社ビースポーク プロダクトマネジメントリード
田中大幸氏

特に注力しているのが「特定技能2号」の取得支援だ。特定技能2号の取得は、外国人労働者にとって大きな意味を持つ。在留期間の更新上限が無くなり、家族同伴で暮らすことができるようになる。実際に、特定技能1号(最長1年ごとの更新/通算5年まで)従業員の約95%が2号の取得を目指す企業もある。ただし、取得には日本語での技能検定試験に合格する必要があり、支援ニーズも高い。これに対応するため、技能検定の試験対策コンテンツをAIで生成する機能など、キャリアアップを支援する新機能の追加を予定している。それにより、外国人労働者の満足度を高め、定着率の向上にも繋げたい考えだ。

教育支援ツールの提供にとどまらず、技能実習生から特定技能へのステップアップ、永住を視野に入れた長期的なキャリア形成まで、包括的なサポートを実現していく。日本の造船・船用工業の持続的な発展には、外国人材の活躍が不可欠であり、技術とAIの力で、人材育成の新しいスタンダードを作ることを目指している。また、特定技能の制度は2025年1月時点で16業種が対象となっているため、「造船・船用工業」以外の分野(例:建設業、宿泊業)のコンテンツも随時拡充していく予定だ。

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