「バスロケーションシステム」と「見守りシステム」で地域課題を解決!【愛媛デジタル推進グループ】
管理画面イメージ少子高齢化が進み、地方では様々な地域課題が深刻化している。なかでも「地域交通ネットワークの減少」と「子どもや高齢者の安全の確保」、この2つの大きな地域課題を解決すべく、株式会社ハートネットワーク、愛媛大学の教授、ソフトバンク株式会社、瀬戸内運輸株式会社がタッグを組み新たなプロジェクトが動き出した。
事業の2つの目的(チャレンジー:愛媛デジタル推進グループ)
地域課題の中でも、地域交通においては輸送人員の低下や不採算経路撤退などにより、公共交通のネットワークが減少。これにより、特に自身で交通手段を持たない高齢者の交通難民化が懸念されている。さらに、地域の子どもや高齢者の安全の確保が重要な課題となっている。
愛媛県新居浜市に本社を持つ情報通信インフラ企業「株式会社ハートネットワーク」。同社はこれまでのノウハウを活かし、下記の方法で地域課題の解決に挑む。
(1)「バスロケーションシステム」で過疎地における交通インフラの効率化
「バスロケーションシステム」の導入をはじめ、誰もが容易に利用できるモビリティ体系を構築。複数のサービスをワンストップで利用できる交通インフラの最適化を目指す。
(2)「見守りサービス」で地域の安全を確保・地域の負担を軽減
少子高齢化の時代において、地域の子どもや高齢者の安全を確保するために、「見守りサービス」を提供する。
それぞれのプロジェクトについて、より詳しく紹介していく。
(1)「バスロケーションシステム」で過疎地における交通インフラの効率化(実装フィールド:今治市・西条市・新居浜市・四国中央市)
【地域交通(バス)が抱える課題】
●利用者側
・バスの路線が複雑化しているため利便性が低下し、利⽤者数の減少に繋がっている
・時刻表が電⼦化されておらず不便
・交通渋滞等による運⾏の乱れを把握する⼿段がない
・バス利⽤者の減少により路線、本数が減る悪循環となっている
●事業者側
・バスロケーションシステムを導⼊したくてもランニングコストが⾼価なため、地⽅交通事業者は導⼊を躊躇
・路線バスの運⾏状況の管理システムが構築できておらず、無線システムなどアナログ管理を⾏っている
・運⾏状況の⼀括管理ができないため、時刻表通りの運⾏ができず、利⽤者への情報提供が出来ない
・運⾏ログ等のデータ収集ができておらず、ダイヤ改正等への必要データが反映できていない
特に、今回の実装フィールドの一つである新居浜市は愛媛屈指の工業地帯。通勤時間と場所が集中しており、渋滞やCO2排出など環境への影響も不安視されている。
これらの課題を解決するために新たに構築するのが、「バスロケーションシステム」だ。
バスロケーションシステムの概要とメリットがこちら。
●安価なシステム
⇒スマートフォン等の市販の端末を利用することで導入コストを抑えることができる
●プラットフォーム型
⇒システムのアプリケーションはクラウド上で動作させ、県内及び全国でバスロケーションサービスに利用することができる。
●データの取得・活用が可能
⇒運行履歴(通過地点と通過時刻の履歴)の蓄積保存機能を実現
既に数台のせとうちバスで、通信用のスマホ端末を乗せたテスト運行がスタートしている。本部でバスの運行情報をチェックし、路線のデータを可視化。路線変更を効率的に行っている。
(2)「見守りサービス」で地域の安全を確保・地域の負担を軽減(実装フィールド:新居浜市)
続いて、少子高齢化による地域の安全性の確保について。
下記のような課題が挙げられる。
【課題】
・⼈⼝減少、⾼齢化により地域住⺠による⼦ども・⾼齢者の⾒守りが困難
・少子化による集団登下校人数の減少
・⼈⼝減少、⾼齢化により、家族やボランティア等の団体だけでなく、地域全体で対象者を⾒守る必要がある
・⾼齢者の⾏⽅不明捜索など⾼齢化がもたらす弊害による地域の負担が増加
これらの課題を解決するために、新居浜市で既に実装検証を進めている無線タグを使用したセンサー方式による見守りシステムをユーザー目線で再設計し、センサー基地局の増設等拡大構築する。
使用イメージは下記の通り。
無線タグ(ビーコン)を所持した人が、通信中継器(ノード)またはアプリが稼働しているスマートフォンに接近すると、ビーコンIDと位置情報を検出して見守る保護者のスマートフォンの地図上に位置を表示させる。
蓄積されたデータを利活用し、さらに使えるアプリを開発
「バスロケーションシステム」と「見守りサービス」どちらも共通するメリットは、新たなシステムを構築することで、データを蓄積することができるということだ。
蓄積したデータを利活用することで新たなアプリケーションの開発に役立て、今起きている課題の解決だけではなく、この先に起こり得る地域課題の解決に繋がるはずだ。
また、「バスロケーションシステム」については、今後バス利用者向けのアプリも構築予定。地域の人々の生活の中にデジタル技術が浸透し、より便利な暮らしが叶う日はそう遠くないかもしれない。