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協働ロボット導入を導入したモデル工場設置!中小製造事業者の生産性向上を拡大するプロジェクト【港産業株式会社|実装報告】

近年、人材不足が常態化している中小製造業界にとって、単調作業や重労働作業など手作業工程の自動化、省力化は早急に取り組まなければならない課題である。しかし中小製造業者とシステムベンダーをマッチングさせる機会が少なく、また社内にDX人材が不足しているため、課題解決が思うように進んでいない現状があり、それらを総合的に支援する仕組みが必要となってきている。ロボットやDXを実現する最先端技術の商品の提案から販売までを一貫して行なう「港産業株式会社」は、業界を代表するメーカーやエンジニアのバックアップのもと、ものづくり企業の課題を解決できる新しい商材やソリューションを見つけて総合的に支援する取り組みを行なっている。
 
本プロジェクトは、港産業株式会社がアルミ、ステンレス、インコネル、チタン、モリブデン、銅などあらゆる材質の精密加工を得意とする「ツウテック株式会社」をモデル工場とし、協働ロボットを実装。そこから得られるナレッジを愛媛県産業技術研究所はじめ、えひめ東予産業創造センター、愛媛大学、株式会社ディースピリットと連携しながら「ものづくりの自動化・省力化コンソーシアム」を通して中小製造事業者のDX化や生産性向上の課題を解決しようとするものである。さらにそこから得られる知見を愛媛県内のものづくり企業に情報発信していくことで、愛媛県全体のDX化に貢献することを目的としている。この記事では、協働ロボットの実装結果の成果と今後のプロジェクトの実装計画を紹介する。


中小製造事業者の人手不足の現状

我が国の15〜64歳の生産年齢人口は、1995年の8,716万人をピークに減少し続け、2020年には7,449万人となり、総人口の59.3%にまで低下した。少子高齢化が進む中で、あらゆる産業で高齢化による人手不足が深刻となっている。製造業界においては、人材不足の常態化により、残業時間などにも影響があり、生産性向上を妨げている傾向にある。この現状をふまえて発足したのが、産官学のメンバーが連携する「ものづくりの自動化・省力化コンソーシアム」。プロジェクトリーダーである港産業株式会社を中心に独自性を持った共同事業体だ。

【プロジェクトリーダーである港産業株式会社の優位性】
●物品販売、システム設計から工事、保守までワンストップで提供可能な港産業。各種センサー類からロボット、バルブ、大規模制御用コンピュータなど現場機器からERP(基幹系情報システム)まで幅広い製品を提供できる。
●エンジニアリング部署があるため、システム設計・製作ができる。
●サービス部署があるため、納入後の修理・校正・保守ができる。
●協力会社とともに工事が行える。
 
【本事業の優位性】
●中小製造事業者の工場DX化への取り組みについて、分かりやすい事例をもとに目に見えるカタチで示すことができる。
●産官学の工場DX化に関する知見を集めたコンソーシアムで組織されており、工場のDX化への着手から取り組み、事業評価まで一貫した取り組みの支援ができる。
 
工場DX化を協働ロボットにフォーカスする理由

協働ロボットの世界出荷台数と世界市場規模の推移と予測

世界的にみても、協働ロボットによる自動化ニーズの高まりから、市場規模は拡大し、参入する企業が増えることでコストが削減され、さらに導入業界や需要分野が拡がり、出荷台数は増大すると予測されている。2021年には44,716台であった出荷台数が、2031年には326,397台(予測)になると見込まれている。高齢化が進み、人手不足が課題となっている愛媛県内のものづくり企業にとって、工場DX化のモデル要素を協働ロボットにフォーカスすることが事業の成果に繋がる最善のアプローチと考えられての事業展開となった。

ツウテック株式会社をモデル工場に、協働ロボットの実装

愛媛県東温市に工場を持つ、ツウテック株式会社は、アルミ、ステンレス、インコネル、チタン、モリブデン、銅などあらゆる材質の精密加工を得意とする企業だ。切削や研削などの機械加工をするマシニングセンタへのワークの挿入や搬出がすべて手作業だったために、待機時間が生じていた。休日出勤や残業時間の削減や、休日の自動運転を実現させたいなどの課題があり、それらを解決すべく、マシニングセンタと連動した協働ロボット1台を実装した。

実装後の効果として、人件費換算で省力化効果があり、生産性の向上が図れた。結果、労働環境の改善や機会損失の改善にもつながった。DX化プラットホームには問い合わせが6社、実際のマッチング件数も3社に至った。

本事業の収益モデル

そもそもDX化をしたいと思っている中小製造業者がいても、どこに相談したら良いか、どう進めていけばいいのかわからないというケースがほとんど。本事業では、課題を抱えている中小製造事業者とシステムベンダーのマッチングサービスをコンソーシアムが提供し、本コンソーシアムの運営費をベンダーがシステム導入時の成功報酬として仲介料を負担することで賄い、コンソーシアムの継続性を保つ。その循環により、愛媛県のものづくり企業の生産性が向上し、発展することで、三方よしの収益モデルが実現する。

資料:日本機械工業連合会2018年度生産設備保有期間実態調査(ビンテージ調査) 出典:経済産業省「2019年版ものづくり白書」より抜粋、IoTNEWSにて編集

港産業株式会社は、“ものづくり”の現場で必要となる、制御機器、計測機器、検査機器をはじめ、ロボットやDXを実現する最先端技術の商品の提案から販売までトータルで行っている。また四国内で多岐にわたる業種との関係性を築いていて、今回の成果を直ちに水平展開できる強みもある。総企業数の大部分を占める中小製造事業者の工場DX化はまさに時流の中にあり、生産性向上、競争力強化、付加価値向上により、ものづくり企業の底支えが可能となる。

勉強会の実施概要

より多くの中小製造企業にDX実装事例や最新デジタル機器を知ってもらうことを目的に、今年度は「ものづくりDX勉強会」を2回開催した。

第1回勉強会
第2回勉強会
最新デジタル機器展示の様子

■参加人数
 1回目:59名 2回目:62名 (いずれもWeb参加者含む)
■勉強会の内容
本コンソーシアムの概要説明からはじまり、ツウテック株式会社からは抱えていた課題の紹介。港産業株式会社からは、その課題に対して分析・検討した上で最適な協働ロボットを選定。協働ロボットを実装し、導入の取り組み内容説明、成果報告、意見交換を行った。

本プロジェクトの振り返り

ツウテック株式会社は、手作業で行なっていた作業を協働ロボットに導入することで省力化と労働環境の改善が図れ、生産性アップに繋がった。この検証成果は「ものづくりの自動化・省力化コンソーシアム」の先駆的なモデルケースとなった。本事業はDX化への着手から取り組み、事業評価まで一貫した取り組みの支援ができるという強みもある。少子高齢化による人手不足が進む中、中小製造業の工場DX化のニーズはさらに増していくと予想され、本事業で積み上がるノウハウは港産業株式会社の独自性と共に、更なる競争優位を持つものと考えられる。勉強会に参加した中小製造事業者からも、実装した協働ロボットに関する問い合わせ、引き合いも数多くあり、今後の展開が期待できる。

今後の展望について

今回の実装プロジェクトによるスマート工場化効果については引き続き効果測定を継続していき、知見やノウハウを蓄積し、情報発信していく予定である。
今後3年間で、県内の製造事業者約2000事業者をターゲットに、今回実装したツウテック株式会社と同規模のDX化を20事業者実装することを指標にすると、約8億4千万円の効果が見込まれると推測される。港産業株式会社としては更なるDX化、協働ロボット導入を掲げ、愛媛県産業技術研究所やえひめ東予産業創造センターと連携しながら、引き続き愛媛県内の製造事業者に情報発信や情報共有を行なっていく予定である。

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