古代建築技術
1. 古代エジプトの建築技術
ピラミッド建設: エジプトのピラミッド(特にギザの大ピラミッド)は、巨大な石材を正確に積み上げて構築されたものです。石材は何トンもありましたが、引き上げの技術や、斜面を使った建築工法が使われました。天文学的な知識も駆使し、非常に正確な方角と配置がなされていた点が特徴です。
石材加工技術: 花崗岩などの硬い石材を精密に切断し、磨き上げる技術は驚異的です。石材の切断には、銅製の工具や、砂を用いた研磨技術が使われました。
柱構造: 巨大な柱を使った寺院建築(例: カルナック神殿)は、エジプト建築の象徴です。柱には宗教的な意味が込められ、また装飾彫刻が施されました。
2. 古代ギリシャの建築技術
ドーリア式、イオニア式、コリント式の柱: ギリシャ建築は美しさとバランスを追求し、異なる柱のデザインを発展させました。パルテノン神殿に見られるような、厳密な比例やエンタシス(柱の真ん中がやや膨らんで見えるデザイン)は、その優れた建築技術の証です。
石材アーチとアーチの利用: ギリシャ建築では初期段階でアーチ技術が発展しており、石材を組み合わせたアーチを使った構造が見られます。
3. 古代ローマの建築技術
アーチとドーム: ローマ人はアーチやヴォールト、ドームの建設を発展させました。パンテオンの巨大なドームは、特に注目すべき例で、コンクリートを用いて軽量化しつつ、完璧な半球形状を実現しています。
コンクリートの使用: 古代ローマは現代に近いコンクリートの製造技術を持っていました。火山灰や石灰、砂利を混ぜて作られたローマンコンクリートは耐久性が非常に高く、これにより大規模な構造物を建築することができました。
水道橋: ローマの水道橋(アクアダクト)は、都市に水を供給するために高度な土木技術を駆使したもので、アーチ構造を生かした長大な橋が建設されました。
4. 古代中国の建築技術
木造建築: 中国では木材を主要な建築材料として使用し、柱や梁を組み合わせた木造建築技術が発達しました。榫卯(ほぞとほぞ穴)という技法を用い、釘を使わずに堅固な構造を実現しました。
長城(万里の長城)建設: 長城は、土や石、煉瓦などを使って築かれ、地形に応じた複雑な防御システムが組み込まれています。巨大な防御壁や監視塔を連ねる技術は、高度な組織力と施工技術を必要としました。
瓦屋根: 曲線を描く瓦屋根は雨水を効率的に流す工夫がされており、建物の美観を高めました。
5. 古代メソポタミアの建築技術
ジッグラト: メソポタミアでは、泥レンガを積み上げた巨大な階段状の塔「ジッグラト」が宗教施設として建てられました。レンガを焼いて強化する技術や、防水のためのアスファルトの使用も行われていました。
6. インカ文明の建築技術
精密な石積み技術: インカ文明の建築は、巨大な石を一切のモルタルを使わずに積み上げる技術で知られています。マチュ・ピチュなどに見られるように、石の形を精密に加工し、地震に耐えうるような構造を実現していました。