言葉は意図の推測を促すもので、意思を伝えるものではないと認識しないと、あなたの元から人が離れていく
言葉は意図の推測を促すもので、意思を伝えるものではない。
人は話すときにどの程度説明するか見積もる。
そして言葉を選ぶが、この能力にはかなりばらつきがある。
表情や喋り方の変化や仕草といったリアクションをもとに見積もりを行う。
これらが乏しい場合見積もりが困難になる。
見積もりに必要な情報は以下
背景情報:相手の理解度、経験
文脈:状況
目的:何が言いたいのか
感受性:興味や反応の出やすさ
時間の制約:どの程度の時間で伝えるのか
適切な言葉:背景や感受性に基づいた言葉を選ぶ
確認:会話の途中や終わりに伝わっているか確認。
人は過去の経験をもとに見積もりを行う。
能力が高い相手の場合は問題ないが、その見積もりよりも低い相手に伝えようとした時意図が伝わらずに問題が起こる。
意図をくみ取る力が低い人に説明する経験を積むことで対応できるようになっていく。
家庭教師など子供に伝える経験を積むと見積もりがうまくなっていく。
逆に高いレベルの間のみで行う場合、簡単に伝わってしまうためうまくなりにくい。
また、交流が極度に少ない場合もうまくなりにくい。
背景の違う人に意図を伝えるというのは思っているよりも大変で疲れる。
いつものメンバーでいる方が楽。
背景の違う人と関わる機会を積極的に増やすことで能力が鍛えられる。
いわゆる言葉の筋トレである。
生まれつきこの能力が低い人もいて、一般的に発達障害と呼ばれることが多い。
一文で表すなら。
感受性が偏っていて反応が薄く注意がそれやすい、あるいは特定分野に過剰な反応をして集中しすぎる。
この特性により偏った意図の推測をすることで本人が生きづらさを感じていれば障害となる。
より正確に言うならWAISという検査と医師の判断によって認定される。
発達障害は15人に1人(6.5%)くらいいると言われている。
つまり15人以上の組織ではかなり高い確率で接することになる。
もしあなたが会社でマネジメントをすることになったなら、あるいは子供を育てる予定があるのなら対応が求められる可能性が高いため対応を学んでおいた方がいいだろう。
人は生まれつき脳の特性があり興味か関心の対象が偏っているので、様々な趣味嗜好がある。
多様であるからこそ様々なものが発明されたり研究されたりしてきた面もあるので一概に偏ってるのが悪ともいえない。
ここからわかることは同じ人間でも趣味嗜好と同様に能力や判断・見積もり能力にはかなり偏りがあるということだ。
趣味や嗜好が多様なのと同じくらいには、○○さんはできるのに△△さんはできないといったことは当たり前のように起こる。
またこれはやっていいのか?悪いのか?、相手がどんな反応をするかといった推測の仕方もまた多様だ。
多くの人は自分の過去の経験をもとに推測を行う。
ここでタイトルの「言葉は意図の推測を促すもの」という部分を思い返してほしい。
言葉は意図の推測を促すもの、推測は過去の経験をもとに行う。
→自分の意図が伝わるかどうかは相手の背景情報と推測の癖に依存する。
言葉選びは相手の背景情報と推測の癖を考慮しないと誤った見積もりをしてしまうということだ。
特に対象が子供⇔大人や新人⇔ベテランである場合背景情報に合わせて見積もる能力が通常よりも高いレベルで求められる。
同じ子供や新人であっても意図をくみ取る能力にはばらつきがあるので柔軟な対応をする必要がある。
これを理解できていないと「使えない」、「子供にはわからない」といった結論にいたってしまい、解決の困難な課題としてイライラしやすくなる。
イライラという感情は自分にとっては容易にできることが相手にできない場合に起こりやすい。
自分ができることは同様に相手にも出来るものだと思い込んでいる場合にイライラしやすい。
他人に対してイライラすることはあなたの得意分野かもしれない。
「こうやればできるのになぜやらないんだ?」、「なんでこんな簡単なこともできないんだ?」、「え、なんでこんなこともわからないの?」といった感情になったときは「ああ、これは自分が得意なことなんだな」と思うようにすると良いでしょう。
わかりやすい例を将棋の名人が語っていたので引用します。
そもそも他人を責めたところで自分がイライラしなくなるわけではない。
自分のイライラ解消にならず、人間関係が悪化する。
誰も得しないどころか組織(家族・会社)に損失を与えてしまう。
この問題は関係が悪化し離れていくことにある。
結婚相手や子供であれば家を出て行ってしまうだろうし、会社であれば離職率が上がる。
新人~中堅の離職は教育循環の問題が発生し組織力の低下につながる。
これはつまり人材の不足による業務負担の増加、教育不十分によるミスや責任がいつまでも自分の負担になるということだ。
さらにせっかく雇えた人材の漏出は採用コストと教育コストを増大させ、利益率を悪化させる。利益率の悪化はボーナスの減少や給与の上昇率に響いてくる。
人材が豊富であれば「ついてこれる奴だけついて来い」スタイルで厳選することも可能なのだが、少子化・人手不足の中では余程会社の魅力があるか待遇が良くないとこれは難しい。
このことが昨今問題として虐待やパワハラが取り上げられやすくなっている理由でもある。
力関係が離れている場合、虐待(あるいはDV)やパワハラが常態化し、言い訳として「あなたのため」「教育」などが使われる。
中古車販売会社がちょうど炎上していたことが思い出される。
適性検査やテスト、小論文、面接で絞ることができるのも求人があればこそだ。スマホとSNSが普及した今、悪評が付けば求人の減少につながる。
教育や説明にかかる投資コストは思いのほかバカにならない。
多くの中小企業が教育している余裕がない、または変なセミナーを通してやったつもりになるが……
組織内での教育循環がうまくいく仕組みづくりには、生まれつきのばらつきがあることの理解や、会社で調整した循環する教育の構築が不可欠。
志望者待ちでついてこれる奴だけついて来いのスタイルでいると、人手不足・後継者不足に悩まされることになる。
背景情報に合わせた、適切な言葉や時間の見積もりなど磨いていくことで得られるもので組織力の強化につながり、結果として負担の減少、給与の増加につながっていくのである。
もしあなたが経営者やマネジメントの重要なポジションを任されているなら、リーダーが欲しいとか幹部が欲しいという前にどうやったら循環する教育システムが作れるかを考えることが必要。
そしてなぜ必要なのかを管理者たちひいては全社員に共有しておいたほうがいいだろう。
リーダーを採用したとしても方向性や目的、どういう仕組みでやっていきたいかなどを経営層が理解し調整しなければ負担が大きくうまくいかずに癖が強い人が残り新人がやめていく。
会社組織やミッションに魅力がなければ優秀な人材は転職もしやすいので見切りをつけて去っていく。
「言葉は意図の推測を促すもので、意思を伝えるものではない」と認識しないと、すれ違いや認識のずれによって部下や子供があなたのもとを去っていくだろう。
ではどうすればいいのか……???
その対策をまとめる。
まず、言葉は意図の推測を促すもので、意思を伝えるものではないと認識する。
背景情報:相手の理解度、経験
文脈:状況
目的:何が言いたいのか
感受性:興味や反応の出やすさ
時間の制約:どの程度の時間で伝えるのか
適切な言葉:背景や感受性に基づいた言葉を選ぶ
確認:会話の途中や終わりに伝わっているか確認。←超重要
常に意識しておくこと
・シンプルでわかりやすく
・遠回りな表現をさけストレートに伝える
・質問を行い回答が得られるまで説明する
・ジェスチャーや表情を大げさにする
・わかりやすいリアクションをする
・重要なところを強調する
・興味や感受性に合わせて言葉を工夫する
言葉は意図の推測を促すもので、意思を伝えるものではないと認識しないと、あなたの元から人が離れていきますよ。
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