自己紹介代わりの居場所物語 その④
昨年の10月から『自己紹介代わりの居場所物語』と題して書き綴ってみましたが、あらわめて読み返してみると、いかに自分が『こころの居場所』に支えられてきたかがわかりますね。
いま、『居場所』に関心を持って、あちこち顔を出しているのも、また安全・安心な『こころの居場所』を求め始めたということなのかもしれません。
そんなわけで、久しぶりに大人になってからの『こころの居場所』について書いてみたいと思います。
※ここでいう『居場所』とは、単に通っていた場所というよりは、自分がここに居ていいんだと思える、安全・安心な『こころの居場所』を意味しています。
子育て中の居場所
大学を卒業して就職してからは、高校時代同様に家と職場の往復で、特にサードプレイスと呼べるような『こころの居場所』はありませんでした。
それでも、平日は仕事があるし、職場の同僚や学生時代の友達と遊びに行くこともあったので、それ以外に『居場所』が欲しいとは考えていなかったように思います。
私が大人になってから『居場所』を求め始めたのは、慣れない育児に孤軍奮闘していた頃です。夫の仕事の関係で、地縁・血縁の全くない土地に転居し、すぐに妊娠・出産だったので、友達や知り合いを作る暇もありませんでした。
昼間は話し相手もおらず、住んでいる地域の子育て情報もほとんどない中での孤独な育児。産後自宅に保健師さんが訪問してくれるまで、ちょっとした子育ての悩みを相談する相手もいませんでした。
その当時は古い社宅に住んでいて、狭い割に物が多かったので、子供がハイハイするようになってからは、危なくないようにとサークルに入れたり、切ったばかりの爪で皮膚をひっかいたりしないようにと小さなミトンをつけたりと、いま思えばなんだか窮屈な子育てをしてしまっていました。
保健師さんがミトンを付けている子供を見て、「自由に物をつかんだりできないし、取っちゃいましょうか?」とアドバイスしてくれて、ようやくミトンが外せたんです。
子供を見ていられるのは自分しかいないし、ちょっと目を離した隙に何かあったらどうしようという不安が強くて、とにかく子供が怪我をしないようにという思いでやっていたことでしたが、その時期に自分の体を自分の手で触ったり、物に触れたりして、いろんなことを認知していくはずの体験を奪ってしまっていたと思います。
それだけ初めての育児をひとりでやらなければならない環境って、わからないことだらけ、不安だらけだったんだなとしみじみ思います。
その後、市がやっている30代のママ向けのイベントに行ったり、近くのショッピングセンターのリトミック教室に通ったりするようになって、少しずつ知り合いも増えていきました。
でも、なぜか心が満たされないというか、もっと別な『居場所』がないものか…と思う自分がいたんです。
学生時代、共働きで平日の起きている時間はとにかく座る暇もないぐらい動き回っていた母を見ていて、私はこんなに忙しい人生を送れないし、送りたくないなと思っていました。
なので、大学を卒業して就職したとしても、結婚したら専業主婦になるつもりでいました。
でも、いざ本当に専業主婦になってみると、やっぱり家事・育児に専念する生活は自分には合わないと感じてしまって…
単なる我がまま、ないものねだりですね(苦笑)
とはいえ、そう感じてしまった以上、どうしたら自分に合った生活・人生を送れるんだろう?そればっかりを考えるようになっていきました。
手っ取り早いのは仕事を探すこと。でも、いきなり正社員に復帰するのは難しいし、子育て中でもできる仕事はないかと探し始めました。
すると、求人情報誌で「資格や経験は不要。子育て中の方でも、サポートがあるので安心して働けます」という、いきなりベストマッチな求人が見つかったんです。
15年程前でしたが、首都圏以外の地方都市にもこんな求人があるんだという、驚きと喜びの両方を感じられるような求人でした。
即応募して採用になり、慌てて子供を預けられる保育園を探したところ、自宅から歩いて行ける保育園に空きがあることがわかり、とんとん拍子に仕事と保育園が決まりました。
3年振りぐらいにスーツを新調し、心機一転新たな道を歩みだしましたが、人生そんなにいいことばかりは続きません(笑)