アルバルク東京選手紹介(第9回)#22 ライアン・ロシター 『帰化枠』
シリーズ説明
・B.LEAGUE 2023‐24シーズン、アルバルク東京の選手について一人ずつ紹介と解説、期待していることを載せていく。
・筆者の知識はミニバスのアシスタントコーチまで。そのため技術について書くのは限界がある。
・誤解が生まれないよう徹するが、あくまで筆者が思う選手についての紹介なので、オタクがなんか言っていると軽い気持ちで読んで欲しい。
選手紹介順
#3 テーブス海
#0 橋本竜馬
#25 福澤晃平
#1 岡本飛竜
#75 小酒部泰暉
#9 安藤周人
#23 レオナルド・メインデル
#8 吉井裕鷹
#22 ライアン・ロシター(今回)
#11 セバスチャン・サイズ
#21 平岩玄
#77 アルトゥーラス・グダティス
#10 ザック・バランスキー(C)
#おまけ選手α
#おまけ選手β
#可能ならスタッフ、チア、ルーク。
注目スタッツ
スタッツ(略)/数値(ポジション内順位)
平均得点(PPG)/10.3(49位)
2FG/56.6%(36位)
フリースロー(FT)/83.2%(8位)
平均リバウンド(RDG)/9.6(6位)
平均アシスト(APG)/4.2(3位)
ターンオーバー(TO)/1.3(41位)※順位は低いほど良い
スティール(STPG)/1.4(8位)
アルバルク東京にとってのライアン・ロシター
BリーグのPF/Cにおいて最も視野角が広く、様々な状況に対して適切な判断が行える選手の一人だ。アルバルク東京(以下A東京)のチーム方針として栃木(現宇都宮)時代よりも得点は落ち着いたが、その分だけ多機能な選手として活躍し、セットプレイの起点として要の存在になっている。昨シーズンまでは田中大貴とライアン・ロシターの「外中の2枚コントローラー」がA東京にとっての原動力と言えただろう。
また、リーグ在籍歴も長く、他チーム選手の理解も深い。積極的なコミュニケーションは、試合中の細かな指示出しにも繋がっているため、その持ち前の知識で若手化を図っていたA東京の指導者としても重宝される。
近似したポジションで長らくBリーグを牽引してきたニック・ファジーカス(川崎)が引退を表明した。インサイドのポジションと年齢を考えれば、引退までの道筋は見え始めている。A東京に何を残し、A東京でどこまで行けるのか。アドマイティスHCが率いるA東京も2年目で真価を問われる。それはライアン・ロシターのキャリアにとっても勝負の年と言えるだろう。
長所『ポジションレス』
3Pを除けば何でもできる。
PF/Cのポジションでは希少なPGの視野角があり(他はダバンテ・ガードナー(三河)など)、ボールマンとして攻撃の起点としてパスを捌ける。そのパスも一級品であり、配信などではコートを横から見るため分かり辛いが、キャッチしやすい位置にパスを出すのは勿論のこと、バウンズの角度や回転の調整もされている。加えて、ボールマンの時間があるのにターンオーバーの数は1.3のみだ。視野角の広さと知識量はDF面でも発揮され、スティールも1.4。得点外の場面でもこれだけ活躍している。
ここまで万能型であると元の得点力が控えめに感じられるが、それでもロースコア狙いのA東京としては十分である。優勝するためには確率の改善はマストだが、セバスチャン・サイズとの合計平均18~20リバウンドは脅威だ。セカンドチャンスに恵まれるので、中確率でのシュートでも昨年は戦えた。
また、元来不安定だったフリースローもA東京にて改善。過去の彼はどこに行ったのか、フリースローを多投するA東京の戦術としてお手本となる選手になった。
弱点につらつら書くことで無いのでここで終わらせるが、2FGをあと5%改善(試合中に+1本のシュート)されるのならば弱点は無い。
短所『希少価値』
橋本竜馬と同様の話にはなるが、年を重ねることでのメリットは知識や経験が増えること。逆にデメリットは疲労/怪我の回復速度だ。Bリーグは2日連続での試合が基本だ。シーズン序盤はまだしも、後半で2日間完璧な体力調整を行うのは年々難しくなる。
また、橋本竜馬はPGのため、万が一の怪我でも同ポジションの3人が出場時間をシェアして対応できる。また、昨シーズンの実績を含めれば、小酒部泰暉もハンドラーとして最低限は行えるのだ。
しかし、ライアン・ロシターの代わりはいない。インサイドのポジションでありながら、広い視野でゲームをコントロールするのは至難の業だ。彼の仕事を分割しても、A東京の戦術(OF)は半分が停止する。
※あくまで昨シーズンまでの話なので、レオナルド・メインデル加入と吉井裕鷹の成長を加味すれば、ライアン・ロシターの欠場で発生するOF停滞にも新たな戦術で対応する可能性は高い。
また、来年度以降も彼が残ってくれる可能性は100%ではないので、チームとして複合的に次を探す(育てる)ことは止めてはいけない。
『帰化枠』
帰化枠とは、他国籍を持つ選手が日本国籍を取得することで得られる特別枠だ。そのためには日本語テストに合格し、一生涯日本に住む意志があると認められる必要がある。スポーツ帰化であるため一般的な帰化とは少々異なる可能性はあるが、それでも皆さんがスポーツ選手の場合、彼らと同じように帰化を選ぶことが出来るだろうか。
帰化枠で来て欲しいと思われるように、スポーツ選手としては試合で実績を残し、練習の合間で言語習得のために教室へと通う。体力的にも、精神的にも多くのエネルギーを消費する。そんなハードスケジュールを異国の地で続けるなど僕には不可能だ。
しかし、ライアン・ロシターはその選択をした。Bリーグで選手生命を終えることを選んだのだ。
そんな彼がA東京での優勝回数『0』のままで良いものか。否、それで満足できる者など、選手でも、スタッフでも、ファンにもいない。我々にできることは限られているが、それは明確なはずだ。
――とりあえず、応援に行きましょう。
次回
次回は『#11 セバスチャン・サイズ』選手の紹介です。