空に憧れをいだくアル―(作品)
サバンナに住む動物にアル―というダチョウがいた。
サバンナはとても広くて、危険な動物もいて、追いかけられることもあったり、餌にありつけず空腹を何日も我慢することがあった。
でも、木陰で夏の暑い日は休むことが出来て気持ちが良かったし、兄弟や仲間とサバンナを走り回ることはとても楽しかった。
だから、アル―にとってサバンナは怖いけれどでも大好きな場所でもあった。
そのアル―には1つ憧れがあった。
地面しか常に走り回ることしかできないアルーだが、その頭上に広がる空を一度飛んでみたかったのだ。自分たちはなぜか空を飛べない、他の同じような鳥のなかまはそらを飛べるのに・・・・といつも不思議に思っていた。
そんな憧れを持ちつつ、アル―は成長していった。成鳥した頃のある日夏の日にサバンナに人間が運転している大きなトラックがやってきた。
アル―は嫌な予感がして、そのトラックから逃げるように走り去った。後から仲間に聞くと人間につかまったダチョウたちはトラックに載せられていってしまったそうだ。
その後連れ去られた仲間の足取りは逐一情報が流れてきて、他の国へ連れ去られ飛行機に乗せられ、今は動物園という檻の中で暮らしているのだという。
一瞬、飛行機とは何かわからず尋ねると、空を飛ぶ大きな乗り物らしい。
「いいなぁ、僕もその飛行機とやらに乗って空を飛んでみたいな。でも、檻の中で暮らすのはごめんだ!」とアル―は思った。
「飛行機に乗って空を飛ぶんじゃなく、自分の体を使って空を飛びたい。」
それ以降アルーは、必死に飛ぶ練習をし始めた。何度も何度も、何日も何日も、何か月も。ひたすら。
しかし、ふわっと浮くことがあっても大空に羽ばたくことはできなかった。アルーは悔しくて悲しくて、大地の神様に一度でいいから空を飛ばせてほしいと祈った。
そんなある日夜に夢をみた。自分が空を楽しそうに飛べていることに。
翌朝、夢冷めやらぬ中、朝早いうちに置きいつも通り勢いよく走りだすと体が宙に浮き、空高く自由に飛べているのが分かった。
「やった!!僕は飛んでいる!空を飛んでるぞ!」
思う存分空を飛び回り、疲れを感じたころだんだんアルーの体は地上近くに近づき始め、地上に降り立った。
「なんで空を飛ぶって気持ちがいいのだろう!でも、1人で飛んでいるだけではつまらないな。やっぱり、他のダチョウ仲間がいないと。空を飛んで、一緒にいろんなところに行ったりしたい。でも、今回は僕だけだもん。もし、また大地の神様が願いをかなえてくれるときは僕だけじゃないことを祈ろう。」
そう呟きながら、空の旅の楽しさと疲れを感じながら木陰で一休みをするアルーだった。
おしまい。
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