【対談音声付き】ツギノタネ vol.1(ヘルベチカデザイン・福島県)
2024年の抱負
2023年の年末から2024年のお正月、普段あまり休み取らないことから、休みの日に何をしたらいいのかわからず毎年年末ギリギリや年明けは早々に事務所に行きデスクを片付けたり、テーブルにオイルを塗ったり、サンプルの整理をしている。
例年に漏れず今年もひとりで事務所に行き、誰もいない空間を独り占めしながら片付けをし、2023年を振り返った。
スタッフが増えたり、入れ替えがあったり、展示会に出展したりと、いつもとは違う仕事やアウトプットに頭を使っていた気がする。
そして、自分自身2024年の目標や会社の方針を考えながら年末年始を過ごしていた。
日本海側に蟹を食べに行ったり、そこでまた蟹を買い家でも食べたり、鴨鍋に毎年鯖江の職人さんが送ってくれる手打ちそば、下関から取り寄せたトラフグ、京都のあられ屋さんのお餅。
美味しいものに囲まれながら、ただ時間が過ぎていく。
何もやりたいことがなかったり、涙するぐらいの挑戦したいことがなかったりと焦りがあったのかもしれない。
まぁ、これが自分自身のアップデートにつながったり、次なる階段を登っていく瞬間なのだろう。
ただ、どんな階段を自分で作って登るのか、どれぐらいの高さに設定するのか。
これは自分自身との戦いでもあるし、会社の代表としての役割でもあるように思う。
26歳で働いていた印刷会社を辞めて独立。
16年間、いろいろな挑戦をしてきて、たまにスランプみたいなものも当然やってくるわけで、今までも何度か経験してきた。
その度に誰かに会いに行き、刺激をもらい、ジャンプするために一度ゆっくりしゃがんでみるということを繰り返してきた。今回も今までなんだかんだ忙しさにかまけて会いに行けなかった人たちのところに行ってみようと、日本地図を思い描いていた。
ただ行くだけではもったいないし、僕の学びやこれから何かを始めるための種を共有し、どこかの誰かのツギノタネにもなるといいなと考えながら旅の計画を練っていった。
そして、1年で12ヶ所を旅してそれを残していこうと。
旅の始まり、白銀の世界に包まれた福島県郡山
まず目的地にしたのは福島県郡山市。
郡山を拠点に活動しているヘルベチカデザイン株式会社(以下、ヘルベチカデザイン)の佐藤哲也(さとうてつや)さん。彼は、書籍『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる』の共同著者でもある。
書籍が出版されるやいなや、会ったこともなかった佐藤さんから連絡が来て、急に事務所に遊びに来てくれた。来てくれたお礼も兼ねて、佐藤さんに連絡し、2泊3日の郡山の旅が始まった。
垂水の事務所から神戸空港に行くにも電車が止まっていてなかなか動かない。
そんな時、仙台から郡山行の新幹線が大雪の影響で止まっているとの連絡。
幸先悪いなぁと思いながら、郡山まで辿り着けるのかという不安もありつつ、なんとか電車が動き出した。
神戸空港に着いたが、次は飛行機が遅延。
30分遅れで離陸し、仙台へ。
飛行機が遅れたおかげで、タイミングよく新幹線が動き出したよう。ところが、券売機でチケットを買おうとしたら券売機が使えず、やむなくみどりの窓口に並ぶも、新幹線が運休していたのもあり窓口は長蛇の列。
乗りたかった時間の新幹線にも乗れず、郡山に着いたのは23時ごろ。
雪がチラチラ降る中、佐藤さんから教えてもらったバーで強めのお酒を飲んで、翌日に備えることに。
朝起きると、窓の外は真っ白。
最近もっぱら雪に好かれているようで、行くところ行くとこで大雪になる。
晴れ男だと思っていたが、雪男だったことに42年間生きてきて初めて知った。
佐藤哲也さんをインタビュー(音声コンテンツ)
佐藤さんが事務所を構えるBlue Bird apartmentへ。
凍る道をゆっくり歩きながら、本でみた景色が見えてきた。
Blue Bird apartmentは、1階がカフェ(佐藤さんは喫茶店と読んでいる)、2階がデザイン事務所、3階がシェアオフィス、4階がイベントスペースと広いバルコニー。
羨ましい限りのビルを順番に案内していただいた後、二人で南相馬市に佐藤さんの車で向かうことに。
今回の目的は、いろいろ話すことはもちろん、その人が普段どんなことをどのようにして、どんな言葉を発しているのかも学びや刺激の一つににするため。
南相馬に向かうのも、彼が普段どんな打ち合わせをどれぐらいの距離感で行なっているのかを見てみたかった。
そして、東日本大震災で福島第二原発の影響を受けたエリアが今どのような姿になっているかも、この目で見てみたかった。
腰を据えてじっくりツギノタネのインタビューをしようと思っていたが、南相馬に行く道中の話が刺激的でおもしろかったので、思わずそのときの会話を録音した。今回はそれをツギノタネのコンテンツとした。
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