003. KAN「遥かなるまわり道の向こうで」

KAN「遥かなるまわり道の向こうで」

2023年11月、訃報が届きました。KANさん、メッケル憩室がんで逝去・享年61歳。以前からがんを公表していましたが、メディアには休みながらも出演していましたので必ずアーティスト活動に復帰するものと思っていました。そんなKANさんに感謝を込めて。

このアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」は2年間、ピアノ留学でフランスに渡って一切の音楽活動を休止した後にリリースされたアルバムです。この噴水でいたずらするジャケット、素晴らしいですね。インナーはすべて、フランスでKANさんご夫婦が撮影したものだとか。

前述の通り、このアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」をリリースする前、KANさんはフランスに渡ってピアノ留学をしました。そのせいもあってか、クラシック要素が随所に散りばめられた仕上がりになっています。
まず、アルバムは静謐なバラード01.で始まります。ストリングスが素晴らしいです。どこかチャイコフスキーの香りも感じる、KANさん自身の近況を歌った02.の後は、これぞKANさんワールドというべきの03.と愛らしい04.。リスペクトする浜田省吾さんの楽曲を研究してそのまんまの世界に仕立てた05.とぶっ飛んだ06.と2曲ロックナンバーが続きます。再び音楽活動を始めて、不退転の姿勢を見せているような気になる歌詞の07.に優しい優しいバラード08.は先行シングル曲。ノンフィクション・ハードロック09.に続いて穏やかなジャズナンバー10.でアルバムは終わります。

訃報が届いたとき、真っ先に聴いたのはこのアルバムでした。頭の中で07.が流れたのです。KANさんは永遠の世界に漂うことを始めたかのように思ったのです。10.のような思考の羽を持って。KANさんの新しい音楽を聴くことは出来なくなりましたが、素晴らしい音楽をたくさん味わうことが出来ました。KANさんには本当に感謝しかありません。KANさん、本当にありがとうございました。

01. 世界でいちばん好きな人
02. キリギリス
03. 彼女はきっとまた
04. 小さき花のテレジア
05. エンドレス
06. おしえておくれ
07. 遥かなるまわり道の向こうで
08. カレーライス
09. RED FLAG(一般道路速度超過)
10. アイ・ラブ・ユー(version:CJP)

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