#48 旅の余韻…北海道⚾️
北海道旅行の目的である全日本吹奏楽コンクールが無事終わった。その後の私達は息子夫婦と行動を別にして、札幌市から北広島市へと移動する。目的地は、⚾️日本ハムファイターズの本拠地『エスコンフィールド北海道』だ。
私のいとこがここで働いている。(昨年亡くなった東京の叔母の次男にあたる)
大学を卒業するまで野球一筋だった彼。プロ野球選手への夢は叶わなかったが、何かプロ野球に関わる仕事に就きたいという一途な思いから、一般就職を選ばなかった。
今から30年ほど前の話だ。
『アルバイトでも、雑用でも何でもします‼️何か仕事をさせて下さい‼️』
大学を卒業した彼は、毎日のようにファンである日本ハムファイターズの球団事務所に電話し、自分を雇って欲しいと売り込んだのだそう。就職試験を受けたわけでもない。当然のように断られ続けたのだが、それでもめげずに毎日電話をかけた。決してあきらめない。
『もしも何かあったそのときには……どうか連絡をください‼️』
そんなやりとりが続いたある日。
奇跡の『もしも』が起こった。
『一度来てみますか?』
欠員が出てしまったチームから、急遽お呼びがかかったのだ。
まずは2軍チームのスタッフとして仕事が始まった。練習や試合の準備、道具の手入れなど、彼が大学まで培った野球経験は即戦力として見事に生かされた。その手際のよい仕事ぶりが高く評価され、
1軍のスタッフに昇格するまでにそう時間はかからず、生活の拠点を東京から北海道に移した。
日本ハムファイターズのチームスタッフを経て、有名プロ野球選手のマネージャーを経験した彼。その努力の甲斐あって現在は球団の広報としてエスコンフィールド北海道のオフィスで勤務している。私は亡くなった東京の叔母が、夢を叶えた息子の頑張りを讃えながら思い出を語る姿が大好きだった。
いとこは2人兄弟。兄の方は吹奏楽部で活躍しており、高校野球大会ではブラスバンド演奏で弟のプレーを応援したという。兄弟は大人になった今でも変わらず仲が良い。叔母は優しい笑顔で天国から見守っているに違いない。
20年ぶりの再会は、時が経ちすぎて少し照れくさかったが、球場内を歩きながら歳を重ねたお互いの生活を語り合った。彼には2人の息子がいて、上の中学生は野球選手、下の小学生は金管バンドのチューバ奏者なのだとか。野球と吹奏楽、子供達が結局のところ彼ら兄弟と同じ道を歩んでいるのが何とも興味深い。
『エスコンフィールド北海道』は、温泉やサウナを満喫しながらグラウンドを見下ろし、プロ野球の試合を見ることができるのが最大の売りとされている。まず私達は、スタジアムガイドツアー(有料)に参加して球場内施設をあちこち見学した。次に温泉に入りながら静かな広いグラウンドをゆっくりと眺めた。
試合がない日は併設されているホテルに格安で宿泊することができる。試合日に宿泊すると、価格は一気に跳ね上がるが、それでもなかなか予約できないほどの人気だ。ホテルの客室から、臨場感あふれるプロの試合を見られる設計になっている。
客室には、至る所に日ハム有名選手のユニフォームや記念ボール、サイン色紙などが飾られている。
試合がない日の球場で、グラウンドの芝の緑を眺めて一日中のんびりと過ごした。
いとこの彼が日本ハムファイターズでプロ野球に関わる仕事をしていることは、私たち親戚一同も大変うれしく誇りに思っている。あの時あきらめずに頑張って本当に良かったね。