#27 校歌と卒論
曲をハンドベル用に編曲すると言っても、特にこれといった音楽の勉強をしていたわけでもなく・・・長年趣味で続けて来たピアノと吹奏楽の経験くらいしかないのだが。
地元の母校には、高校にしてはめずらしく卒論制度があった。時は遡り、高校2年生の私。校歌を吹奏楽で演奏するためのスコアとパート譜を作成し卒論としたのだが、それらはそもそも卒論のために書いたものではない。
先輩の卒業式に吹奏楽部で校歌を演奏することになったのだが、当時は卒業式の校歌はピアノ伴奏で歌うことが慣例であり、部内には吹奏楽用の校歌の楽譜がなかった。これが私のチャレンジの始まりだ。
『こんな感じかな?いや違う、こうかな?』
メロディや裏メロ、ハーモニー、ベース部、打楽器のリズムなどを感覚だけで五線譜に書く日々。部活中に各楽器を見て回り音域などを調べ、頭の中で音をイメージしながら、ただひたすらに、
『テキトーに書いていた。🎼💦』
現在のようにPCや音楽ソフトなど無い時代。ピアノの前に置いたテーブルの下は、気付けば消しゴムのカスでいっぱいだ。ようやく仕上がった私の作品。初めて部員で合奏してみた時の嬉しさと気恥ずかしさは今でも忘れない。ピアノ伴奏で歌い上げる優美な校歌とは反対に、
『勝利した高校球児が歌うような校歌』
だったかな・・・。
というわけで、高校3年間の青春を全て吹奏楽部に注ぎ込んだ私にとって、これら手書きのスコアと各パート譜は、卒論にするに値する超大作。2年の3学期には仕上がっていたため、同級生が死に物狂いで卒論に取り掛かっていた頃には、一人お気楽にしていたものだ。
最近の作業は音楽アプリを使っている。もし当時これがあれば、プリントも綺麗だし、編曲途中で音の確認も、書き直しも簡単にできた。
『もっとすごい卒論ができたんじゃないか?』
と思ってしまう。結果、優秀作品には選ばれたが、卒論文集には掲載されなかった。…残念。
『選考委員に音符のわかる先生がいなかったのかな?ど素人の高校生が編曲したアレって、けっこうすごかったと思うんだけど。』
と、30年以上むかしのまだ可愛かった私を、この場で自画自賛しておこう。(笑)
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