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#21 歯抜けの鍵盤

 音楽アプリも、使えるようになってくると便利だし面白い。楽譜の手直しもでき、手書きでなくプリントされた楽譜は、演奏する側も読みやすい。nさんとiさんの技量もだいたい把握した。2人のサポートをしながらも、私は自分のパートに必死だ。
 1人でピアノを弾くのとは訳が違う。メロディや伴奏の一連の流れがスムーズに聴こえるよう、音を受け渡し、つながりに意識を高める。nさんとiさんの出来具合を確認しながらの私の演奏は、集中力が分散して音ミスにもつながった。
 
 
 各自、手持ちのベルはピアノの鍵盤のように左手側から右手側まで音が順にぎっしり並んでいるわけではない。飛び飛びで歯の抜けた状態なのである。3人同時に鳴らせば曲になっているが、1人の演奏ではメロディが浮き出てこないし、何の曲かわからないだろう。自分のベルをとなりの奏者と交換することもある。時には左手で高い音、右手で低い音を出さなければならない場合もある。

 ピアノを弾く者には固定概念がある(と思っている)。ピアノの鍵盤は、最も低い音が一番左にあり、左から右へと順に高くなっていくものだと。そのため、曲中で時折やってくる高低逆の瞬間に、私の脳が混乱し、次のベルの持ち替えが素早くできなくなってしまうのだ。
 楽譜の読めないnさんが、うまくできないことを詫びるのだが、そんなこと気にする必要ないと励ます。楽譜が読める私でさえ、脳内の混乱によりミスの連発、手が止まってしまうのだから。保育士のiさんは、ずっと憧れていたハンドベルを演奏できることが楽しくて仕方ない様子。私の母らが演奏していた時代を知ってくれているiさん、そしてiさんと私を繋いでくれたnさん。この3人でクリスマスの教会で演奏できる日を目標に、ただいま奮闘中!!

 『歯抜けの鍵盤』が3台揃えば曲が聴こえてくるようにアレンジしたはずだが・・・。演奏ミスより、私の楽譜作成ミスの方が罪が重い😓
 練習はまだまだ続きます。

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