見出し画像

音楽に直接関係なさそうなことが演奏する上でとても重要だったりする話

毎朝7:30に荻原個人のXアカウントとfacebook「ラッパの吹き方」ページに掲載しております「 #今朝の一言_ラッパの吹き方 」。先日こんな頭骨をしました。


スーパーマリオ

僕が小学生の時にファミコンが発売され、大ブームになりました。
それはもう、とにかく遊びまくりました。寝ても覚めてもゲームのことばかり考えているような生活で、常軌を逸した熱中ぶりだったと自覚しています。

世の中の一般的な考え方からすればファミコンは遊びであり、優先すべきは勉強や仕事です。しかし僕の場合、ファミコンで遊んでいた経験が音楽をする上で重要な存在のひとつになっています。中でも「スーパーマリオブラザーズ」と、いくつかのシューティングゲームなどは演奏に直結しています。

若い方はファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」と言われてもピンと来ないかもしれませんが、今でもマリオのゲームは次々と新作が出ていますし、それらの原点と思ってください。

では実際どんなことが演奏に役立つかと言うと、例えば、マリオを高いところへジャンプさせるためには勢いよく飛ばなければなりません。そのためには強い踏切り(ボタンを強く押す)や、ダッシュをさせてその勢いでジャンプする必要があります。想像できますか?

また、マリオの世界には地面がない部分があります。落ちるとゲームオーバーになってしまうので、飛び越えなければなりません。先ほどと同じように助走をするのですが今後は高くではなく遠くへ飛ぶために速度を上げて強いジャンプをするわけです。

地球の物理的法則を演奏に反映させる

レッスンで協奏曲のカデンツァや、テンポや小節線が曖昧な自由に演奏する箇所(ad lib.やa piacereなど)の演奏の仕方として僕はよく「地球の物理的法則を演奏に反映させましょう」と説明します。言い方がちょっと難しいですが、要するに地球だから起こる自然な運動を演奏に反映させましょう、という意味です。

音楽は基本的にテンポ、拍子などの繰り返し、いわゆる均一性という制約のある状態で演奏します。だからこそ音楽であると感じられるわけですが、そうした制約から解かれた自由な演奏をするように楽譜(作曲者)から指示があった場合、地球の物理的法則を率先して演奏に持ち込む必要があるのです。

それがまさにマリオの動きそのものなのです。また、現実の世界でもこれらは同じように起こります。

地球の物理的法則とは

例えば、ボールを高く投げたら到達点で少し動きがとまったような動きになったり、高く投げれば着地した時の衝撃は重くなるし、重い物と軽い物では同じ高さから落とした力は変わるし、傾斜の高いところからボールを転がせば徐々に加速していくし、傾斜の下から頂上に向けてボールを投げる際、傾斜や到達点の距離によって投げるためのパワーが変化したり、下り坂を自転車で下りる際加速しすぎると怖いのでブレーキかけたりと、こういった生活の中でよく目にする光景だったり自分自身が体験することを音楽に反映することで自然な演奏が実現します。

また、テンポや拍子が存在する通常の音楽にもこれらは役立ちます。同じテンポ、同じリズムであってもジャンプ力や拍と拍の距離が変わればマリオの動きも変わります。合奏やアンサンブルをしていて、メトロノームで縦の線がみんな合っているはずなのに、なんだか統一感がない場合、そうしたイメージがバラバラなのかもしれません。

マリオは実際の人間がやったら怪我しそうなことも平気でやってくれるので、彼の動きは人間とボール(物体)の間のような存在なので、とてもイメージしやすく便利な存在です。

今回はマリオを例に出しましたが、地球の物理的法則は、ボール遊びだったり公園の遊具だったりスポーツをすることで同様の体験ができます。子どもの頃の遊びや体育などの経験を思い出したり、映像などから得られる情報をもとにして、ぜひ地球の物理的法則を演奏に繋げられるように心がけてください。演奏表現の説得力が大きく変化するはずです。

荻原明(おぎわらあきら)


いいなと思ったら応援しよう!

荻原明(おぎわらあきら):トランペット
荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。