【基礎の三大柱】1:ロングトーン
トランペットを演奏する上で大切な3つの柱(基礎力)とは何か、という話をレッスンでよくします。
持論ではありますが3つの柱とは、
であると考えています。
ロングトーンとは何か
ロングトーンという言葉は、ほとんどの管楽器奏者の方はご存知だと思います。吹奏楽部などではロングトーンという名前の基礎練習、基礎合奏を積極的に取り入れているところも少なくありません。
僕が知る限り、多くの部活で取り組むロングトーンはメトロノームを鳴らし、B durなど調性を決め、1つの音を4拍とか8拍とかに決めて、音階を主音から順番に演奏する、というパターンがほとんどです。
なので、もしかするとロングトーンは音階練習の一環だと思われているかもしれません。少なくとも僕は子どもの頃そう思っていました。そもそも何の練習なのかハッキリ言ってよくわからないままやらされていた感じです。
そうなんですよ、部活での基礎練習や基礎合奏って、それが何のために行なっているのか、何を目的としているのか、目標は何なのかを明確に提示しないままに慣習として行なっているところが圧倒的に多くて、だから疲れるだけで面白くないし面倒だし、そんなことやるくらいなら曲を演奏しようよ!と、そればかり思っていました。非常にもったいない時間。
ではロングトーンとは何なのか、といいますと、『音をまっすぐ伸ばす技術』を手にいれる練習です。そりゃそうだ。でも意外にそれが難しい。
ロングトーンはピッチや音量にゆらぎがなく、出だしと終わる瞬間が明確で、安定した持続音であると聴く人に感じてもらえる演奏でなければいけません。
そのために奏者は無理に力を込めて維持する状態になっていないことが大切です。音が揺れないようにと、まるで鉄棒で懸垂をして、一定の高さをキープするような、頑張っていなければその位置で停止できない、そんな状態ではロングトーンとは言えません。理想は、無理のない体の使い方で、まるでいつまででもその音を伸ばし続けていられそうな感覚と精神状態でいられることです。
更に上を目指すのであれば、豊かな響きで、ピッチが安定していて(だから音程も安定していて)、印象として持続している音が停滞ではなく推進力を感じられる音楽的な演奏でいたいところです。
そうした技術を手にいれるための練習ですから、必ず音階である必要はないし、やたらと長く持続される必要もありません(部活動でのロングトーンは1つの音が長すぎることが多々あります)。半音階や3度音程なども取り入れて様々なパターンで演奏するほうが良いと思います。
また、休憩も休符も入れず何十分も音を鳴らしっぱなしにするだけのロングトーン練習は、とくに金管楽器にとっては逆効果になりますので配慮が必要です。基礎合奏で疲れてしまったり、無理にロングトーンをしすぎて体のバランスを崩してしまったら、その先にある合奏で良いパフォーマンスは望めません。
個人レッスンでも取り入れています
そんな感じでロングトーン練習を捉えているので、僕の場合は自身のウォームアップにもオリジナルのパターンで実践していますし、レッスンでは交互に同じことを繰り返す「コール&レスポンス」のロングトーン練習を取り入れています。単に音をまっすぐ伸ばすことを目的とせず、音を出すまでの準備である「セッティングルーティン」を確認したり、安定した音を出すための体の使い方を確認しつつ、コール&レスポンスなので必ず僕が先に音を出して、それを参考に音色、ピッチなどを耳で感覚的にも捉える練習です。
トングトーンで安定した演奏ができるようになることで、その先にある様々な発展的な表現が可能になります。音がまっすぐ伸ばせない状態では、本当の意味での歌うこともダイナミクスの変化もヴィブラートも実現は難しいのです。
ということで、これがトランペットを演奏する上での最初の柱でした。
あとの2つはまた今度お話しします。
先ほどお話したコール&レスポンスによるロングトーンの実践や、音をまっすぐ伸ばすための体の使い方について具体的に学んでみたい!という方はぜひ毎月複数回開催しております単発参加型レッスン「トランペット ツキイチレッスン」にいらしてください。
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荻原明(おぎわらあきら)