![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8784756/rectangle_large_type_2_5b46e3a7c5068cc48a0547f5ea737fc4.jpg?width=1200)
Photo by
himigraph
思いやり
通学に2時間かかるため、電車で本を読む。
ある日いつものように座って本を読んでいると突然、隣の人が立ち上がった。
「どうぞ座ってください」。
声をかけたのは私の目の前に立っていたおばあさんだ。
「大丈夫ですよ」とおばあさんはきっぱり断るが、
「次の駅で降りるので」と隣の人は去っていった。
私がすぐに気づくべきだったと後悔し、同時に隣の人の気の利いた受け答えに感心した。
あっさり断られてしまえば、私ならうろたえてしまうだろう。
彼氏と神戸の南京町へ行った。
有名な豚まん店には長蛇の列ができている。列に並び、いよいよ順番という時、前にいた一人の中学生が列を抜けようとしている。
豚まんは三つからでないと買えないが、彼はそれを知らず、一つを買おうと並んでしまったようだ。
彼に豚まんを分けてあげると、とても感謝された。
だが、思いやりが仇になることもある。
東日本大震災が起こり、多くの嘘がインターネット上に出回った。
中学生だった私は不特定多数への配布を求める「チェーンメール」を信じてしまった。
回さないと不幸になるという内容ではなく、節電を呼びかけたりと、被災者を支えたいと願う人の心を揺さぶる内容だ。
疑いもせず友達に一斉送信したが、余計な混乱を招いてしまい反省した。
災害時にネットで出回る情報の真否を見抜くのは難しい。
簡単に共有できる仕組みがあると、危ないことはすぐに知らせたいという気持ちから、不確かな情報を拡散してしまう人は大勢いるだろう。
人を思いやるのは難しい。
豚まんを美味しそうにほおばる彼の笑顔を思い出すと、行動せずにいられなかった彼氏の行動は、素敵な思いやりに値する。
--------------------------
とぅるもちが就活時(大学三年生のとき)に書いたものです。
いいなと思ったら応援しよう!
![ラブライフカウンセラー®︎とぅるもち](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29304071/profile_dd63ab93673dae75d355d8ccbcd8c3ac.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)