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在日外国人の再入国制限の緩和は実は緩和でなく強化

在日外国人の再入国拒否を問題視され日本政府が取った措置

日本の在留資格を持つ在日外国人の再入国拒否について海外や日本の一部のマスコミに問題視され、日本政府は在日外国人の再入国制限の緩和を発表した。
しかし、それは世間からの批判を収束させる為のみせかけだけの緩和であって実際は強化されている部分が多くある人権を無視した恐ろしい差別強化措置だ。

まず緩和措置施行前と後の違いを以下に比較する。


【緩和措置施行前】
永住者、定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者の在留資格保持者は事前に再入国許可を取り規定の日にち以前に日本を出国していれば再入国に特段の事情があるとされ例外以外は再入国許可書のみで入国拒否の対象にはならない。
それ以外のビザを取得する在日外国人は、再入国許可を取り規定の日にち以前に日本を出国していても再入国に特段の理由があるとは認められず入国拒否の対象となる。

【緩和措置施行後】
全ての在日外国人において、再入国許可を取り規定の日にち以前に日本を出国していれば、再入国に特段の事情があるとされ、入国拒否の対象にはならない。
しかし、以下の書類が必要となる。

在日外国人の再入国の際に必要な手続・書類等
 1.出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する陰性の検査証明(現地医療機関が記入し、医師が署名又は押印したもの)の取得

 2.滞在国に所在する日本の在外公館において再入国関連必要書類提出確認書を取得。
(確認書は申請日には発給されない。在外公館にて申請を受理後、発給可能となった場合には申請者に連絡が来るので、申請者または代理人が取りに行くこと。)

※9月1日からは永住者、定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者の在留資格保持者も同様に書類が必要。

緩和措置施行前は永住者、定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者という限られた在留資格保持者以外の在日外国人は一方的に再入国を拒否されていたが、緩和措置施行後は書類を用意すれば全ての在日外国人に再入国の可能性が出来た。
一見緩和されたかのように思うかもしれないが、ここには大きな問題がある。

在日外国人の再入国制限緩和措置施行後の問題

病院で検査し結果が出てから陰性の結果の証明書を取得する。それを出国前の72時以内という限られた時間で用意しなければならない。そしてまず無症状の人の検査を受け付けてくれない国も多くある。
また、在外公館(日本大使館·領事館)発行の書類も必要になるのだか、日本と違い強制自宅待機措置が取られている国では簡単には外出も出来ないのである。そもそも滞在している場所の近くに日本大使館(領事館)がある人の方が少ないのだ。あらゆる交通機関を利用し何時間もかけ、はたまた日本大使館(領事館)のある県内に滞在していない場合はそこへ辿り着くのに1日がかりになることもある。ネットで申請できる国もあるがそうでない国では現状況で身軽に動けない中、これはかなり困難である。

逆に考えてみれば簡単に分かるだろう。
アメリカの永住権を持っていて何十年もアメリカに住み、仕事も家族も全てアメリカ、税金もアメリカに納めている日本人が親の介護のため数ヶ月の予定で日本に渡ってきたとしよう。それも新型コロナウイルスが世界を騒がす以前からアメリカを出国しているのだ。
そして、新型コロナウイルス感染拡大の影響による国際線の停止で当初の予定通りにアメリカに帰国できなくなってしまった。

仕事はアメリカにあり、現在は収入がない状態でアメリカでの家賃やその他毎月の支払い、そして日本での滞在費など二重生活の支払いに負われる。全てがアメリカにあるので必ずアメリカに帰らなければ生きていくのも辛い状況だ。

その最中、アメリカ側が『アメリカ在住の日本人がアメリカに再入国する際には、在日米国大使館・領事館発行の書類が必要(ネットや郵送では受付けておらず、来館が必要)』と発表したとする。(例えの話しであって海外ではそんな措置はとっていない。)
在日米国大使館・領事館(日本にあるアメリカの大使館・領事館)は、東京に大使館が1件、札幌、名古屋、大阪、福岡、沖縄に1件ずつ領事館があるだけである。

さあ、滞在している場所が山形県なら?高知県なら?長崎の五島列島なら?あまりにも遠すぎる。これでは大使館へ辿り着くまでに感染する恐れすらある。そしてもし日本で外出自粛ではなく強制自宅待機措置がとられていたら?どうやって大使館に行けるだろうか?

でもこれでもアメリカはまだ良い方だ。国内に大使館が一件しかないという国も多くある。そして日本も例外ではない。
海外では日本がメジャーではない国が多くあり、そういう国では国内に大使館が一件しかないか、または日本大使館自体がないという国もある。

これでは結局、このような書類の用意が困難または不可能な人が大勢出てくるはずた。
そして9月1日からは、以前であれば規定の日にち以前に日本を出国しており再入国許可書があれば再入国を許可された(これも何かと理由をつけて拒否される場合もあったそうだが)永住者、定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者でさえ上記の書類が必要になるので、以前より再入国が困難になり、全ての在日外国人の再入国が難しくなってしまうのだ。


また日本政府は、滞在国が無症状の人の検査を受け付けていない場合、他の国で検査を受けるよう指示を出している。
日本は"在日"外国人ですら日本への入国を拒否するのに、何のゆかりもない他国へは入れと言うのだ。自分以外のことは一切考えていない何とも身勝手で恐ろしい考えである
今のような時期に、自国でもなく生活拠点でもない他国に入らせて貰えという日本政府の発想は無責任きわまりなく、軽率過ぎてありえない考えであり、普通に考えて常識がある者なら他国へは入れない。それに多くの国が、自国民でもなく、在留資格もない者には入国制限をかけている(当然の対応)ので他国への入国は非常に困難だ。
日本自体、他国に比べ何事も他人事と考える人が多い国であることは否めないが、まさか日本政府がここまでの対応をするとは。これでは日本は完全な鎖国である。これは日本にとっても結果的に後々困るだけの措置である。日本はいつまで自分の首を絞めつづけるのだろうか。

そして、その国の在留資格持っている外国人の再入国を拒否するような国はG7で日本だけである(これのどこが先進国なのだろうか)。海外では在留資格を取得し、そこを生活拠点としている者は国籍なんて関係なく当然のようにその国の者として入国できる。なので日本人は海外に在留資格を持っていればその国に入国させて貰っている。
在外日本人の海外への再入国は当然のようにさせて貰っていながら在日外国人の再入国は拒否する。そして更にありえないのが、在日外国人の再入国すら拒否をしているにも関わらず海外に在留資格もない、海外に親族がいるわけでもない日本人の日本出国は禁止してないということだ。
海外から感染(うつ)されるのは嫌だと必死でも、こちらから感染(うつ)しにいくのはなんとも思わないなんて、これは差別問題だけでなく人として大切なものが欠落している。

年金を納めてくれている在日外国人を国籍のみで差別する

そして、なぜ海外から日本へ入国する日本人には書類が必要ないのか?ここまでするのなら、海外から入国がする者全てに対して同じ対応をとるべきだ。日本政府は完全に在日外国人に対し差別していることになる。

現在、私は、日本人の配偶者ビザを取得している在日外国人の夫とコロンビア共和国に滞在している。私達の生活拠点は日本で、結婚してから4年間日本で生活している。

そして4年ぶりの夫の里帰りで、今年のはじめにコロンビアに入国した。その時はまだコロナウイル騒動は始まっておらず、私の夫は当然のことながから再入国許可を取って日本を出国した。
私達は4月に日本に帰国予定で復路のチケットも事前に購入済みだった。しかし帰国を早める手続きも不可能な突然のロックダウンにより、今日まで帰国できないでいる状況だ。

現在もコロンビアは緊急事態宣言発令中で強制自宅待機措置と国際線の停止が続いている。その為まだしばらくはコロンビアから出国すること自体不可能だ。
コロンビアの国際線の再開は9月1日より後になるのは確実の為、私達が日本へ入国しようとする場合、コロンビア国籍の夫は上記で説明した書類が必須になる。しかし日本人の私は何の書類も必要ない。
私も夫も同じ場所で同じように過ごしているのだから私達には何の違いもない。違うのは国籍だけである。
夫は日本を生活拠点にしている在日外国人だ。日本の全ての税金を日本人と全く同じように納めている。年金もそうだ。年金を納めない日本人が増えている中、在日外国人の彼らは日本人の年金を納めてくれている。そして我が家では夫が世帯の主たる生計維持者であり私を養ってくれているので、日本人の私より在日外国人である夫の方が日本に貢献しているのだ。
しかし、"国籍が違う"たったそれだけのことで日本の対応はあまりにも違いすぎる。
どこから帰国したかということで判断するのではなく、国籍だけで判断するという日本政府の考えが問題だ。ずっと日本に貢献してくれている在日外国人を国籍だけで拒否する大日本帝国。私は同じ日本人としてとても恥ずかしく思う。

この在日外国人の再入国緩和措置は緩和と謳いながら実際は強化し、在日外国人の再入国を困難にしようという思惑とも思われても仕方ない行いだと私は思う。
日本政府のこの考えを皆さんはどのように感じるだろうか?

そしてこの意見を日本への攻撃とは決して取らないでほしい。指摘や意見は攻撃ではないのだ。改善を求めるのは日本を良くしたいと思っているからだ。
そして私も日本人なのだから。

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