某アニソンシンガーの大ファンで服装も真似てる私、 「俺もファンだよ」と声をかけられ知らない男の人達についていったら無理やり襲われた。
※1
「Rock'n roll Revolution~♪ 赤い罠には騙されないぃ~♪」
アタマの中でノリノリなバンドサウンドをバックにALISAの声が響き渡る。
ベットに横になってALISAの歌声に委ねるこの時間が一番の幸せだ。
ALISAは最高にカッコいいアニソンロックシンガーで国民的大人気アニメ「アンチデーモンブレイド」の主題歌も歌っている。
私はALISAの大ファンでライブがあれば学校をサボってでも行くし
CDはいつも布教用に10枚買っている。友達には不況がウザすぎるとハブられてるけどALISAのためなら気にしてられない
「少し色落ちてきたな」
ピンクのメッシュ髪をつまむ。
ピンクは私とALISAをつなぐアイデンティティだ。
「美容院いくか…」
断腸の思いでALISAの歌を停止する
「じゃあ、また後でね、ALISA」
いつものようにポスターの中のALISAに話しかける。
これが別れの挨拶になるなんてこの時の私は思いもしなかった。
※2
今日もお気に入りの全身ALISAブランドコーデ。
奇抜すぎて苦手と皆に言われるけど、自分をアゲてくれる服は大切。
車の交通音だけが響くいつもの商店街。
昔は有線でGLAYの曲とかがかかってたのに
文化を守ると言っているJASRACのせいで街から音楽が消えるなんて不思議。
「ALISAの曲がかかってたらステキだ」
「今日みたいな日は”Raising Hope”みたいなノリノリな曲がいいかな
あるいは意外とバラードの「lasting,,,」なんかもいいかもしれない」
そんな他愛もないことを考えてたら楽しくなってきた。
「ねえ、君ちょっといい?」
不意に背後から声をかけられ振り返ると強面な男の人が3人立っていた。
「え…はい…」
怖そうな人たちに怯えた私に3人は優しく微笑む
「ごめんね。怖がらせちゃって…その服、ALISAの?」
怯えた気持ちは一瞬で喜びに変わる
「あ、はい!!そうなんです、よくわかりましたね」
「そりゃ俺らもファンだもん」
「本当ですか!?私の周りALISAのファンいなくて…」
「うわー、それは可愛そう、俺らいつもALISAの話ばっかしてるもん」
「最高じゃないですか…羨ましい…」
異性への警戒心は全くなくなっていた。
趣味を存分に語れる同志
人付き合いのヘタな私がいくら望んでも手に入らなかった人達と
話をするのが楽しくて仕方なかった。
「ねえよかったら…今から俺たちと来ない?」
一瞬冷静になった。
もっと話がしたいけど異性の集団についていって
何か良くないことが起こる危険性もある
「すみません、けど…ちょっとあれなんで」
「あのさ、ウチにlover's smile soulライブの動画あるよ」
「え!?」
それは映像になってないALISAの伝説のインディーズライブだ。
私もネットで一生懸命動画を探したがセットリストしか手に入れることしか出来なかった。
「見たいです!どうしてそれを?」
「コイツの親父のコネで手に入ったんだよ」
「伝説のライブってだけあってマジやばくて、ALISAが超かわいいんだよ」
「え!気になる…ずっと見たかったんですよ」
「じゃあ、ほら一緒に見ようよ」
「はい!!」
ALISAの伝説のライブが見れる!!
私の警戒心はすっかり消し飛んでしまっていた。
※3
「ほら、入ってよ」
連れて来られた先はマンションの一室だった。
お菓子やコンビニ弁当、お酒の空き缶、タバコの吸い殻が散らかっていて
お世辞にも綺麗とは言えない。
そんな中乱暴に置いてあるALISAのDVDが少し可愛そうだった
ふう、と男たちはそのまま何も言わずタバコを吸い出した
え?一言の断りもなくタバコ吸うの?
驚いていると男の1人が声をかけてきた
「志保ちゃんも吸う?」
「え?吸いません!!まだ18になったばかりなんです」
「違うよ、これタバコじゃないよ?」
よく見ると確かにタバコにしてはカタチが一回り小さい気がする
「これはマリファナ」
「マリファナ!?」
驚いた。当然だ、マリファナの喫煙は法律で禁止されている
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