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通院の断片

私の精神科放浪は2016年秋から始まったが、今の精神科は2022年頭から通っている。最近は月イチ通院。

いつものように受付に行くと「今日インフルエンザワクチン出来ます!」と書いてある紙がでかでかと貼ってあるのでついでにやっていくことにする。

「ワクチンの領収書別にしますか?」と聞かれる。「会社の割引みたいなやつに使うためにですか?」「そうです」
「うちの会社下りないんで一緒にしといてください…」
悲しい。

Kindleで『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳)を読みながら待つ。今日の待ち時間は長い。

診察室でワクチンの針を刺されながら最近の調子を聞かれ、「最近元気だが薬のおかげで元気になっているに過ぎないと思うと不安だ。薬を飲まなくなったらまた元に戻ってしまうかも知れない…」みたいな話をする。

「何かのきっかけでまた調子が悪くなるかも知れないし…」と不安を吐露すると「その時はまた(病院に)来れば良いんですよ」と返され、ハッとする。

言われてみれば、別に一発で治そうとする必要無いんだな。

理屈で考えたら病院が「また来てくださいね」みたいなこと言うのは多分良くないのだが、私の抑うつ的なもの(診断名、ナシ!)って多分一生付き合わないといけないものだろうし、調子悪くなったら全然病院行きゃ良いんだな。精神科を特殊視する価値観が私の中にもしっかりと根付いていることに気付かされる。

でも精神科って相性が大きいから、ここ閉じたら終わるかも…という新たな一抹の不安。不安が不安を呼ぶ日々。生活。

「最近、朝目覚めるのが早すぎて困っているが、一方で寝付きが異様に良くなっていて心配だ。気絶するように眠ってしまう。電気も消さずに横になった途端寝ていることもある」
「(寝付きについて)まあ今はそれで良いんじゃないですか。早起き対策の薬は出しときます」

ワクチン分いつもより高いお金を払い、処方箋を渡されて終わり。まだ当分薬は出して貰えそうかな。

睡眠導入剤は常に出ているが、共に出る薬が、統合失調症の薬、ストラテラ飲んでみるけ?、うつの薬、記憶の薬…とその時の状態に合わせて変わって行っている。

薬によっては耐え難い副作用が出たりもしたが、その時はそれを中止している。
一度勝手に飲むのをやめた時があったが「何かあった時はちゃんと電話とかかけてきて、教えてくださいね」と注意されたので、たまに薬で耐え難い副作用があれば診療時間内に電話で尋ねるようにしている。

初期は薬の効果が少ししんどい時もあったが、そういう時は診察室で、なぜ今この薬を飲まないといけないのかを説明して貰った。

様々な精神科やカウンセリングに通ったが、良くなる兆しが見えたのはこの病院が初めてだ。
「どうせ発達だろ」「お前なんか大した事ない」みたいな雰囲気を出さず、発達障害に対するもの以外のアプローチも考え、血液検査などを重視し、ちゃんと薬を出してくれる病院。

PMS、PCOS対策で婦人科(婦人科は精神科放浪が始まるより先に診て貰いはじめた)で低用量ピルも貰っているので半年に一回血液検査があり、その結果もこの精神科に持って行くが、毎度「健康だねえ」と言われる。たまに貧血になるくらい。

毎夜眠いのに2時3時まで寝付けない日々は遠くなり、思い出すのが耐え難い記憶たちに苛まれることもかなり少なくなった。

なんかここ通う前までは常に起こってた頭痛も、いつの間にか無くなったし。

何よりも良いのは、この病院の医者は「話してくれてありがとうございます」をまったく言わないのだ。

投薬治療しか勝たん。
(人による!)

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