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看護師長代行業務

看護の世界は(今時の言葉なら看護師界隈)、
今でもなお、一昔前を踏襲しているように思う。

サービス残業ことサビ残は自己研鑽という名で当たり前。昼休憩1時間をしっかり取れた試しは、一般科、特に急性期では、無い。
休憩室だって、席は決まってないようにして、TVの近くはベテラン勢だ。まあ、若者は携帯があるから、別にTVなど見なくても平気なようだが。

この前「今は休憩時間です!オンとオフ分けるんで」と言ってのけたかわい子ちゃんもいたが、それは私と彼女の関係性があったからこそ言えた訳で。休憩時間で、絶妙に相槌を打つ打たない問題はいつだって気苦労が絶えないことだと私は思う。

息子が医療系と離れた職種を希望してくれたおかげで、いかに世の中は進化しているかを知った。
インターンシップ制度で、数社企業を体験してきた彼。驚くことばかりだった。
 我が家から交通事情により、距離はさほどでも無いにも関わらず90分も前に家を出た息子に対し、翌日から研修時間を変更してくださる柔軟な対応。他にも、終業時間に非常に厳しかったこと。これもまた新鮮だった。
もちろん、提出課題などは、無かった。

看護学生には、とてもじゃないが、教えられないと思ってしまった。
君たちは16時に病院を出ても、その後にレポート待ってるよね… 息子なんてインターン感想も「楽しかったです。またやりたいです」小学生並みの作文だったが…許されていた。そこに、自己の課題の克服とか、そんな意図、感じられなかった…
学生の時でさえ、遅刻は怒られるのに、看護実習時間の延長に対しては、疑問だった。
まあ、今は流石に15分も過ぎると声を掛けている。私の時は、戻って言われるのが「え?まだいたの?」いても邪魔にされるし、帰ると嫌味を言われ、空気を消し過ぎると存在感さえ葬られる… 病棟の壁になる。空気になる。を経験しない看護師など存在するのだろうか?

まあ、20年も看護師をしていると、大概のことは、良い悪いは別として、それとなくこなせるようになる。

しかし、明日は、平日の師長代行というハードルが付いた。これは小さい病院とは違って、顔見知りな方々だけでは無い。しかも、総師長室に行くという、非常に高いハードルなのだ。
一看護師は、そうそうあの部屋には行かない。よほどのことをしてしまって呼び出されるか、思い立って思い詰めてあの部屋の扉をノックするかだ。

しかもミーティングという、各部署師長達のオンパレード。年齢も価値観も違う、看護への思いもアプローチも異なる方々と一堂に会する機会。あの中には、息子と出会ったならばすぐにハラスメント報告されてしまうであろうボーダー的存在もいる。現代版大奥というか…。もちろん今は男性も沢山増えてきているので…とはいえ、脳内では伏魔殿的怖さが拭い去れずにいる。

看護師は基本性質、平家物語の「諸行無常の響きあり」的な思いを味わってもいる。
患者さんが怒ってきた時に、自らの行いはどうだったか反省とか怒りの奥底にある不安や恐怖に目を向けることがもはや職業病として身についてしまうのだ。

でも、だからといって、誰しもが、怒りのエネルギーをぶつけられても聖母マリア的な、ナイチンゲール的な憧れを持たれても、甚だ迷惑に他ならない。

現に明日、インシデントやミス、イレギュラーな出来事があったとすると、その場で、袋叩き(←言い方!)に遭うのは目に見える。事実確認という名の取調室に変わるに違いない。そうだ、明日の昼は、カツ丼を食おう。

あー、行きたくねぇな。サボりたいな。
何年経っても、変わんないんだよな〜。
明日急病ってことにしたいが、鎮痛剤飲んでもなお仕事に向かっちゃうのが、私たち。

明日の鼻歌はケセラセラに決まり。
絶対に、バラードは、ダメよ、ダメダメ。


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