スタンダード環境分析 10月3週目
■前書き
前回記事
ありがたいことに、非常に多くの方から反応をいただいた。
実際にシティリーグに出る際の参考にしていただいたこともあったようで、嬉しい限り。
前回記事ではムゲンダイナ中心に寄ったCL横浜環境からシティリーグでの三神ザシアンの台頭、同時に現れる新規デッキ、という流れを記述した。
ピカゼクやミュウミュウ系統(超・炎)の増加を予想したが、3週目の結果はどうなっただろうか。
■シティリーグ(10/17,10/18)
◇ベスト4以上のデッキ分布
情報はほとんどTwitterより。
全体的な変化として、3強とされるデッキ(三神ザシアン、ムゲンダイナ、ズガドーン)の割合の合計が前回は50%前後だったのに対して、今回は更に濃度を増して、70%近くを占めているいることが分かる。
また、前回取り上げた新進気鋭のマッドパーティ、レシリザは上記の変化に連動して著しく上位入賞の割合を減らしている。
前回記事では、ムゲンダイナに不安を抱えるが三神ザシアンに有利であると見て増えると予想したピカゼクとミュウミュウ系統は割合を減らす結果に。
マッドパーティに有利・三神ザシアンとも十分戦えるムゲンダイナが動きやすくなり、戻ってきつつある影響か。
◆三神ザシアン
三神ザシアン上位独占率が圧倒的であると前記事でも述べたが、それをさらに上回る数字が出た。
37パーセント。
判明している限り、ベスト4入賞のうち3人に1人以上が三神ザシアンを使用していることになる。
では、どうして先週から更に使用率を伸ばしたのか。
まず抑えておきたいのは、デッキの選び方に変化が起きつつあるということ。
CL横浜までは、想定されるメタゲームに合わせたデッキを構築し選択する(例:ムゲンダイナが増えると予想するからルカメタザシアンを選ぶ)、という感覚のプレイヤーが多かったと思う。
しかしCLをきっかけにデッキ構築がテンプレート化され、環境上位デッキ(特に使用率の高い三神ザシアン、ムゲンダイナ、ズガドーン)の力関係は比較的フラットであることと、プレイの方針や構築の細かい変更によってその他多数のデッキへの勝率を安定させられることが分かったため、既存の上位デッキを流行に合わせてチューニングする傾向が強くなってきている。
以上の変化を踏まえて、どのデッキを選ぶかとなると、やはり最適なデッキは三神ザシアンになるだろう。
他のデッキでは
ムゲンダイナ→ザマゼンタや弱点色 など
ズガドーン→グッズロックや非V構成 など
が明確に不利を取りうる要素となるが、比べて三神ザシアンには現状、そういった要素が存在していない。
チューニングの自由度についても、
ムゲンダイナ→枚数的な自由度は高いが、悪タイプの縛りが存在する
ズガドーン→基本的には溶接工しかドローに使えるサポートがないため、そもそもテックカードを活用しやすいデッキではない
これに対して三神ザシアンはベースが安定していて、博士の研究やデデンネが多投してあることからドローして対策を活用する機会を得やすいと考えられる。
先述した弱点となり得る要素であるザマゼンタ、非Vアタッカーを自然に構築に導入できる。
中でも今回は、主にマッドパーティ、ズガドーンに有効なカードとしてフリージオを搭載したタイプの入賞が目立った。
また投稿時期がシティリーグ直前ではあるが、ヨネダタクヤ選手が三神ザシアンの記事を公開しているのも少なからず影響しているだろう。
◆ズガドーン
先週と比較すると入賞率は下がっているものの、ヤマグチヨシユキ選手がシティリーグにて使用したズガドーンが話題を集めた。
8月に本人が使用したズガドーンのリストと比較して、簡単に特徴を解説する。
・キャプチャーエネルギー4枚採用
最大の変更点であり、過去のズガドーンにはなかった発想。
従来のズガドーンでは、溶接工を適切に使うためにはエネルギーと付ける先のポケモンが必要であり、ドローサポートを使わずにこれらをかき集めるためのジラーチが序盤にどれだけねがいぼしを使えるかが重要になる。
この序盤の盤面を整えるハードルの高さが、ズガドーンを使用する上での大きな課題となっている。
それを解決するために採用されたであろうキャプチャーエネルギーだが、クイックボールと合わせてたねポケモンを呼ぶためのカードが合計8枚あることになり、ジラーチおよび溶接工の対象ポケモンを呼ぶハードルを下げるのに大きく貢献している。
ザシアンVを採用することで、先攻時もキャプチャーエネルギーからふとうのつるぎで必要なカードを集める動きに繋げられる。
・ボスの指令、ズガドーンGX不採用 → ウッウV+望遠スコープ採用
ミュウツー+回収ネットも含めて、溶接工を継続して打つことにかなり注力している印象。
通常のズガドーンが終盤の詰めに使用する札を廃して、その役割をウッウに一任する発想は思い切っている。
個人的には、現環境ではリセットスタンプへの耐性はできるだけ強くあるべきと考えている。
なので、場に置くだけで相手の詰みルートを大きく広げられるズガドーンGXは依然として高評価。
ズガドーンGXを採用していないのは、個人的に最も驚いた点。
・デデンネGX不採用
デデンネ2枚、プレシャスボールで派手に展開するタイプから一転して、クロバット+ザシアンで手札をキープしやすい構成を取っている。
大型ポケモンを倒すためのリソース保持の観点・無人発電所への耐性の無さからズガドーンにおけるデデンネは使い勝手が良くないと感じていた部分もあり、納得の変更内容。
使用した本人は惜しくもベスト8に終わってしまったようだが、今後のメタゲームにおけるズガドーンの可能性を広げた構築なのではないか。
◆がんじょうドンファン
「既存の強デッキたちをどう使うか」という視点が強まってきている状況、という話をした後ではあるが、その一方でクリエイティブなデッキを使用して入賞を果たしているプレイヤーもいるのを忘れてはならない。
その中でも注目を集めていたデッキの一つに、特性「がんじょう」のドンファンをメインに据えたデッキがある。
入賞の理由としては、闘弱点に偏ったデッキが一定数環境に存在していたこと、非V構成のデッキに求められる高火力を満たしていたこと、そして推測ではあるが、ギミックが広く認知されていないため相手が最適なプレイをできなかったことが挙げられるか。
ギミックが周知された今後の動向に注目したい。
■まとめ
明確な不利デッキがないとされ、依然として勢力を増す三神ザシアン。
この勢いを止められるデッキは現れるのか……。
記事を書く側の視点からすると是非とも現れてほしいところだが、果たして。
苦手としていたマッドパーティが減少した今、再びズガドーンの活躍に注目したい。
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ではまた次回。
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