シナリオタイトル:サイラスの騎士
このシナリオは第四回ムビシナ用であり、題材映画である『キングダム』の前半1/3を再構成しただけです。
システムには「Plain D20」を用いることを想定し、オリジナル世界の名称を当てていますが、これは仮置きであり、様々なシステム・世界設定にコンバートできると思います。
基本情報
システム:Plain D20
想定プレイ時間:6時間(インスト除く、PC作成含む)
プレイヤー数:3~4人
ジャンル:中世風ファンタジー、シリアス
背景と導入 [約15分]
舞台は乱世、好戦的な国家に囲まれるサイラス王国。
現国王ランドルフの妻である王妃シャーロットは隣国ギルモア王家の血筋であり、両国は同盟関係にある。
また、ランドルフは傑物と名高く国民からの信頼も厚いが、一方で王弟エドワードは放蕩な人物として知られている。
ある日、サイラス王国の王国騎士団が補給と休憩のため辺境の村レインウォーターを訪れた。
王国騎士に憧れるレインウォーターに住む身寄りのない若者トリスタンは、まだ適齢に達していなかったため従軍して武勲を上げることもできずにいたが、王国騎士団に直接実力を認めてもらうことで取り立ててもらおうと、同じく騎士に憧れる村の若者たちを誘い、家畜を襲う獣退治に乗り出そうとしていた。
登場予定NPC紹介 [約5分]
トリスタン:身寄りのない若者、オーガスト王子に瓜二つ
オーガスト:サイラス王国の王子、ランドルフの実子
ピアース:サイラス王国騎士団団長、誠実
アーノルド:サイラス王国騎士団副団長、野心家
ランドルフ:サイラス国王、傑物
エドワード:ランドルフの弟、放蕩者
シャーロット:ランドルフの妻、隣国ギルモア王家の血筋
PC作成 [約45分]
PCはトリスタンから獣退治に誘われることになる騎士に憧れる村の若者たち。
16歳を成人として、14~15歳を推奨。
3人であれば4レベル、4人であれば3レベル。
(騎士には劣り、一般兵と五分程度の駆け出しレベル)
シーン1:王国騎士団 [約20分]
【描写:乱世の辺境の村】
【描写:憧れの対象となる王国騎士団】
辺境の村レインウォーターをサイラス王国の王国騎士団が補給と休憩のため訪れた。
騎士団を率いるのは、団長ピアースと副団長アーノルド。
【描写:PCたち】
PCたちは村の村長から騎士団の世話をしている村の女衆の手伝いをするように言いつけられ、その中で次のことを見聞きする。
《DEX判定:隠密、聞き耳など》
(1) 王国騎士団の副団長アーノルドが村人たちに過度なもてなしを要求するが、団長ピアースがそれを諫める。
(2) アーノルドが、ピアースが不在の時に彼のことを「王家の遠縁だというだけで実力もないのに団長の座に収まった男」とこき下ろす。
PCたちが上記情報を確認したところでトリスタンが登場し、王国騎士団に自分たちの実力を見せつけるべく獣退治のために森に入ろうと誘いをかけてくる。
近頃頻繁に家畜が襲われており、その痕跡から森の中に大物が潜んでいる可能性が高いことは周知の事実。
夜になったら村はずれにある小さな砦跡に集合することをトリスタンと約束して場面終了。
なお、序盤のトリスタンとPCたちとの関係づくりが肝になるので丁寧に。
シーン2:獣退治 [約30分]
【描写:村はずれの廃砦】
村はずれにある小さな砦跡に集合。
砦はほとんど崩れているが、一部区画が残っていて中から鍵がかけられるようになっている。
後のシーンの前振りとして、ここでプレイヤーに中から鍵を開けてもらうための秘密の合図を決めてもらう。
【描写:闇夜の辺境の森】
トリスタンと共に、獣の痕跡を探して夜の森の中を進むPCたち。
《DEX判定:知覚、足跡発見など》
《INT判定:動物知識など》
大物の痕跡を見つけたPCたちは天然の洞窟を見つけ、そこでオオカミとの戦闘に挑む。
洞窟には抜け道があり、近くにある大岩を動かせばそれを塞ぐことができることにしてもいい。
《STR判定:筋力など》
判定に失敗している場合、逆にオオカミたちに囲まれて襲撃を受ける。
後者の場合は1ラウンド目のイニシアチブ値を0として扱う。
■戦闘1:森のオオカミ
○ウルフリーダー(LV3)×1:
SPD9、STR6、DEX2、INT2、VIT3
《入れ替わり》《渾身攻撃》
○ウルフ(LV1)×3:
SPD7、STR5、DEX2、INT2、VIT2
《先制/遅滞》
※PCが3人の場合、ウルフ(LV1)は2体とする。
PCに1人以上戦闘不能者がでた場合、彼らのあとを追いかけてきていたピアースが助けに入ってくれる。
このときピアースが倒した敵のドロップアイテム判定は行われない。
○ピアース(LV10):
SPD5、STR9、DEX8、INT8、VIT4
《ガード》《カウンター》
「武器:STR+2」「防具:ALL+1」
戦闘終了時点でPCたちが姿を消したことを心配した村人たちから相談を受けたピアースが駆けつけてきて、PCたちの戦闘技術を称賛すると共に親身になって叱りつける。
トリスタンは謝りつつも、騎士になって戦場に出たかったと口にする。
ピアースはここで初めてトリスタンと対面し、彼の顔を見て驚く。
シーン3:トリスタンの旅立ち [約15分]
ピアースはトリスタンに共に王都に来ないかと声をかけ、トリスタンはそれに応じる。
この段階でトリスタンがオーガスト王子に瓜二つであることは明かされていないので、トリスタンは純粋に獣退治によって見せた実力が評価されたのだと勘違いしている。
トリスタンはピアースから誘いがあったことをPCたちに告げ、村を出ていく。
別れ際にトリスタンは「必ずサイラスの騎士になろう」とPCたちと共に誓いを立てる。
幕間 [約20分]
次のシーンまでに3年が経過するので、PCたちの傷を回復させ、レベルを3つ向上させる。
戦闘1のドロップアイテム配布。
PC毎に「武器+1」か「防具+2」のいずれかを配布。
3年のあいだに隣国との戦争も小康状態となり徴集がかからなくなったものの、国王ランドルフが病床に伏しているとの噂が民衆のあいだに広がっている。
トリスタンからは王都についた直後に到着を知らせる手紙が来たものの、その後は音信不通。
オーガスト王子の身代わりとしての教育と任務が始まったため、外部との連絡はとれなくなった。
【舞台裏】
再開されるシーンの数日前にランドルフが崩御。
それを引き金として王弟エドワードは王位を手中にすべくオーガスト王子のことも亡き者にしようとしたが、いち早くそのことに気がついた王妃シャーロットと忠臣ピアースの手引きによってオーガスト王子は王都を脱出。
しかし、王妃シャーロットは幽閉され、ピアースも副団長アーノルドの妨害によって身動きできない状態に陥ってしまう。
辛くも王都から逃れたオーガスト王子はシャーロット王妃の血縁を頼りにギルモア王国への亡命を試みようとするが、現時点で完全に信頼できる協力者は少なく、その命運は3年前から従者として仕えていたトリスタンの双肩に委ねられた。
シーン4:トリスタンの遺言 [約20分]
【描写:治世の辺境の村】
成人したPCたちは村の自警団で活動しているかもしれない。
(例として)夜間の見張りをしている中、覚束ない足取りで傷だらけのトリスタンが村にたどり着くと同時に昏倒する。
《DEX判定:知覚など》
正しい治療が行われればトリスタンは早期に意識を取り戻す。
ただし、すでに治癒不可能な致命傷を負っており、息を引き取るのは時間の問題だということもわかる。
《INT判定:医学など》
治療に失敗している場合、アーノルド率いる特務部隊が村を訪れてトリスタンを捜索し始める。
特務部隊に気付かれないようにトリスタンを抱えて村はずれの小屋に移動することで時間を稼げることとする。
《STR判定:筋力など》
気がついたトリスタンは、ランドルフが崩御し、その弟エドワードがオーガスト王子を亡き者として国を乗っ取ろうとしていることをPCたちに告げる。
そして息も絶え絶えに、PCたちに王子をギルモア王国に亡命させるために力を貸して欲しいと願い出る。
PCたちがこの依頼を受ければ、トリスタンは王子が身を隠しているのは自分たちが子供の頃に使っていた廃砦だと伝えて息を引き取る。
PCたちが依頼を受けない場合、特務部隊が村を訪れてトリスタンを捜索し始め、見つからない場合にはその隠ぺいに村が加担しているとして村人を処刑していくと脅す。
別ルートとして、オーガスト王子を捕縛あるいは殺害してアーノルドに引き渡す展開も想定。
その場合、オーガスト王子は王家の秘宝である守護精霊を召喚するアイテムを所持していることに。
PCの敵とはなり得るが自衛には力不足となるように使用回数・頻度に制限をつけること。
どちらにしてもPCたちの決断と共にトリスタンは息を引き取る。
トリスタンの形見の剣「武器:STR+2」を入手可能。
シーン5:特務部隊 [約10分]
【描写:血に飢えた特務部隊】
アーノルド率いる特務部隊が村を訪れてトリスタンを捜索し始める。
PCが望めば特務部隊の動きや発言を確認することができる。
《DEX判定:隠密、聞き耳など》
《INT判定:機転など》
アーノルドは村人たちに自分たちの任務は「王子に成りすまし国王と王子を暗殺した大罪人の追跡」であると嘘を付き、「もし隠し立てしたら村人も同罪として殺害する」と脅す。
この言葉によってトリスタンの遺体が発見されると、アーノルドはそれ以上村に手出しできなくなる。
また、アーノルドは部下に対して「本物か偽物かはわからないものの片方には深手を負わせた状態なので、そう遠くに逃げることはできないはずだ」とも話す。
シーン6:索敵兵 [約15分]
【描写:村のはずれ】
密かに村から離れて砦を目指すPCたちだが、その行く手に特務部隊の索敵兵が立ちはだかる。
《DEX判定:索敵など》
先に索敵兵の存在に気付くことができれば、先制攻撃を試みたり、別の手段で戦闘を回避することができる。
ただし、索敵兵は砦方向へと進んでおり、単に迂回するだけでは戦闘を回避できない。
《INT判定:魔法、機転など》
■戦闘2:索敵兵
○索敵兵(LV6)×3:
SPD8、STR5、DEX9、INT3、VIT3
《妨害》《無効化》
「武器:DEX+1」「防具:INT+2」
※プレイ時間によってはこの戦闘はカットしてしまっても構わない。
シーン7:オーガスト王子 [約15分]
【描写:村はずれの廃砦】
砦の入り口は中から鍵がかけられた古びた扉で閉じられており、大人の力であれば破壊して入ることもできるが、かつての秘密の合図を使えば中から鍵を開けてもらえる。
《STR判定:筋力など》
砦の中にはトリスタンと瓜二つの青年が待っている。
青年は自分がオーガスト王子であると名乗り、トリスタンが同行していない理由を尋ねる。
トリスタンの死を知ったオーガスト王子は、彼が忠義に厚い本物の騎士であったとたたえる。
その後、PCたちのことはトリスタンからよく聞かされており、PCたちに亡命のために力を貸して欲しいと願い出る。
オーガスト王子の依頼を受けた場合、戦闘2のドロップアイテムと「奇跡の秘薬+1」を2つ配布。
もしここで休息した場合、パーティー総計の回復した耐久点÷3(端数切り上げ)だけ戦闘3の雑兵の数を増やす。
シーン8:アーノルドとの決着 [約30分]
オーガスト王子の依頼を受けた場合、砦の外に出たところでアーノルドに遭遇。
キャンペーンにするなら橋や崖などにして戦闘終了時に落下退場させ再登場させることも検討。
■戦闘3:
○アーノルド(LV9):
SPD4、STR10、DEX9、INT3、VIT5
《範囲攻撃》+4枚ドロー
「武器:STR+2」「防具:INT+3」
○部下(LV6)×3:
SPD7、STR8、DEX5、INT3、VIT4
《⼀騎打ち》《ガード》
「武器:STR+1」「防具:INT+2」
※PCが3人の場合、部下(LV6)は2体とする。
オーガスト王子はゲストとして扱う。
《執念》と《渾身攻撃》をPCに譲渡可能。
また、PCへのダメージを肩代わりしてくれる。
○オーガスト(LV6):
SPD6、STR6、DEX5、INT7、VIT3
《執念》《渾身攻撃》
アーノルドが倒れた段階で部下は逃走開始。
シーン9:サイラスの騎士 [約15分]
【描写:国境】
アーノルドの手を逃れてオーガストと国境付近までたどり着くPCたち。
国境を超える前にオーガストがPCたちに本当に国を出ていいのかと確認。
代わりにオーガストは必ずエドワードを討ち王座を奪還することを誓い、PCたちに騎士の叙勲を与える。
「神の御名において、汝らをオーガスト・サイラスの騎士に任命する」
完……または王座奪還編に続く。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?