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プロローグ2

WC:さて、教則どおりに停車した軽トラック。

千晴:降りて警戒しよう。

玄:東の脅威の距離と向かっている方向などわかりますか?

WC:能力者には東の空…久々里の空が異変の中心であるように見える。

千晴:じゃあ、東の空に目をこらします。

 『行動を自由に決められる』のがTRPGの特徴です。
 しかしそれは同時に、「何もしない」ということも『プレイヤーの決めた行動』と捉えられてしまうということです。

 危機が迫った状況で、プレイヤー(キャラクター)が、何もしないということは、つまり警戒もせずにその危機に晒されることを座して待つのと同じことになってしまうのです。
 これではどんな不利益をこうむってしまうのか、見当もつきません。
 そこで、良いプレイヤーは、このように『警戒する』行動や『確認する』行動を頻繁に行うことになります。
 例え能動的に動いているように見えなくても、このような行動も非常に大切なのがTRPGです。

WC:と、その方角から、流星のようにさまざまな方角に飛び散る不可視の光がある。

玄:来るなら来い!数は?

WC:そのひとつは、君たちのほうへ向かっているようだ。

玄:いっぱいのうち1つか…こりゃー連戦も覚悟か?

千晴:他は近くに落ちそうな感じはあるのかな?

WC:君たちのほうへ向かっている光は1つだけ。
しかしその光は君たちの元へ届くことはなく、君たちから少し離れた上空で速度を落とすと、そのまま下降し、近くの森林公園と思われる場所へと吸い込まれてゆく。

千晴:「公園はやばいぜ、人がいるかも…」

WC:と、その公園と思われる場所が、明らかに「変質」した。ミギワが満ちたようだ。

千晴:「やば!玄いくぞ!」

玄:「おう!」

千晴:すったかたー。

WC:公園まではほんの50mほど。

玄:警戒しながら移動。

千晴:俺も他の気配に警戒。

WC:入り口から木立ちが並ぶ、落ち着いた雰囲気の公園であろうと想像できるが、今は不気味な闇に包まれ、中はまるで闇夜のようだ。

玄:公園の中がミギワになったとして、公園のそとから、中を探れるの?

WC:外から中は無理ですね。基本、ミギワはクガと隔絶するので。

玄:了解。

千晴:入り口探しか?

WC:普通はそうです。しかし、今回は、公園の入り口がそのまま「入り口」になっているようです。シンプルな「餌場」のつくりですね。入ったら、簡単に出られるとは限りませんが。

千晴:「玄、あそこだ!」

玄:「そうだな、とにかく入らないことにはだね。気をつけていこう。」

千晴:手首に巻き付いている十字架のネックレスを握ります。

 <雨晴らし>
千晴の特殊能力は、十字架のネックレスを媒体にして具現化する白い長剣<雨晴らし>を用いた剣術。

玄:そんな千春をちらっと見ながら左腕を横に掲げると、黒い小型の盾が左手に現れる。

<天元>
玄の特殊能力は、様々な魔道を生み出す黒い盾<天元>を召喚し、操ること。

千晴:公園入り口に意を決して入るよ。

玄:「不意打ちとかは無理そうだし、正面から行くしかなさそうかね。」

千晴:「んだな。」

玄:不意打ちを警戒して入る

WC:入ると、明らかに空気が変わる。夜の森のそれだ。 遠くに、聞こえるはずのない虫の声、獣の息遣い。

<ミギワ>
ミギワは現実と重なり合う異界。 
ミギワが満ちると、その場所は、もとの現実を多少模した、しかし全く異なる場所に変わってしまう。

千晴:聞き耳を立てます。

WC:聞き耳は能力値<フィール>でどうぞ。達成値は10です。

<フィール>
五感などの知覚能力を表す能力値。

千晴:ケアフル判定。フィール7の…バーストで13。

<バースト>
サイコロで、ある特別な目が出ると、もう一回サイコロを振って数値を加算できるバーストが発生する。
バーストが発生すると、普段より高い達成値を得ることが出来ることが多い。

WC:遠くに、女性の声と、獣のうなりのような物音が確かに聞こえた。

千晴:「こっちだ!」

WC:女性の声は助けを求めるそれだった。

千晴:走り出すよ!

玄:「ま、待て焦るな!」
後を追う。

千晴:「うぉー!」

玄:「静かにしろ!」

千晴:「ぅぉー…!」

玄:「黙れないのか(笑)」

WC:その方向に走るが、もとは公園の舗装道であった足元が、今は深い山のようなそれに変わっている。

千晴:走りにくいのかな?

WC:慌てて走り出した誰かさんにはレフレクスの判定が科される。
目標値11。

<レフレクス>
反射神経や瞬発的な運動能力を表す能力値。

 プレイヤーが行動を行っていない場合でも、このように、突発的な事態に対する反応の判定が科されることもあります。多くの場合、このような判定は、本能的な危機察知・回避の判定であり、失敗すれば不利益があります。

 ちなみに、『警戒する』『慎重に進む』などといった行動が宣言してあった場合、このような判定は免除されたり、難易度が下がったりすることも多く、事前の積極的な行動が実を結ぶようになっています。

千晴:ノーマル判定。ダイス4で達成値11です。
ぴったし! 

<ノーマル>
マトリクスの1つで、普通に行動を行うことを表す。
サイコロの目が素直に反映される、癖のないマトリクスである。

WC:転びそうになりながら体を立て直し、走る。

玄:敵の数を気配で探る。

WC:走りながら気配で数までを探るのは、さすがに無理。

玄:了解。

  行動によっては、判定するまでもなく『不可能』と判断されるものもあります。
 しかし、行動しようという積極性に対しては、何らかのリターンがあるものです。

WC:ただ、一応フィール判定をどうぞ。

玄:ノーマル判定でダイス8。達成値14。

WC:鋭敏に気配を探った玄は、いくらかの距離を走った後、気配の接近に気づいて千晴を制止することができる。

玄:「まて、とまれ!(こそこそ)」

千晴:「なに!?」

WC:大声(笑)。

玄:「しー!この先にいるって!(ぼそぼそ)」

千晴:「だめじゃん!静かにって言ったじゃん!」

玄:「もう、俺だけ後からこっそり行こうかな…」

WC:と、変な言いあいをはじめたふたりの間に、人影が駆け込んでくる。

玄:「おっと!」

女性:「ひと!?にんげんだよね!?」

玄:「お、おう…」

女性:「たすけて!!」

千晴:「うぉ! 女?!」

玄:気配は普通の人間かな?怪異が化けてないかね?(笑)

千晴:きびすを返す。

WC:女性が指差すほうから、二匹の獣が駆けてくる。

千晴:「任せてください!」

玄:それどころじゃなかった。構える!

女性:「ありがとすてきあいしてるうそだけど!」

玄:「結構余裕っすね…」

WC:獣2匹は明らかにヲトナイ(怪異)だ。
十分な敵意を持って迫ってくる。

千晴:かおは!?顔は重要だぞ!!

玄:お前も余裕あるな(笑)。

WC:敵を背にして女性の顔を確認する千晴は、自制心が本能に勝てるかのブレイブ判定。

2人:(笑)

玄:失敗するなよ!絶対失敗するなよ!ギャンブルするなよ!(笑)

千晴:じゃあ、ギャンブル判定で…
ダイス0!やったよ! 

<ギャンブル>
マトリクスの1つで、一か八かで行動することを表す。
低い目はさらに低く、高い目はさらに低くなるため、一発逆転も狙える反面、本来ありえない失敗も発生する。

玄:期待を裏切らない男だ(笑)。

千晴:ずしゃー…!

WC:誘惑に負けた自制心。
振り向いた千晴の確認した女性は美人だった。

千晴:「よし!おれがんばるよ!」

WC:年齢は20代前半…化粧気の薄い整った顔にやや太めのきりっとした眉が似合う。…あれ、見たことあるっていうか…

玄:え…

WC:2匹のヲトナイはいったん立ち止まり2人を確認すると、間髪入れずに体勢を立て直し、襲ってくる!

千晴:有名人かな?

女性:「あほかー!!」

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