藤崎正記さん。ジージャン。
ボクが代理店で、藤崎さんと一緒の時代、藤崎さんは学校(神奈川工業高校の図案科というところ)も一緒だったこともあり、よく知っている間柄。原さん、原さん、アメ横にいいジージャンが有りますよ、原さんに似合うと思うけど、なんて誘われてジージャンを買いました。買った時から少し古くてそれも安くない値段でした。気に入って、毛布の裏打ちがしてあるリーバイスのジージャン、ずっと着ていたのでもうボロボロで、エリが無くなりかけて、流石に着ているとパンクロッカーみたいになってしまうので、着れなくなっていました。
藤崎さんは横浜のバイク乗り。勤めていた代理店にYAMAHAの大型の2気筒のきれいなバイクを乗ってきて、あのバイクがきれいだった。
当時の映画でアランドロン主演で、トロツキー暗殺のメキシコが舞台の地味な映画があったんですが、その中でアランドロンがつけていたサングラスが、カッコ良くて銀座の眼鏡屋さんに同じものを作ってもらったことがありました。出来上がったサングラス、全然ボクには似合わない。そばに居た藤崎さんにかけてもらったらピッタリ。ボクはそれほどカッコ良くなく、藤崎さんはカッコいい。やっぱり顔に狂気というか危機感というか、そういうモノが必要だったんですね、そのサングラス。かわりにレイバンの木目が入った「ウェイファーラー」といったかな、ロイドのサングラス、藤崎さんと交換しました。こちらもボクにはあんまり似合わない。「当時の言葉でファンキーじゃない」それでもずっと持っていたんですが、どこかへいってしまいました。
藤崎さんが北海道で亡くなり、友人から「おわかれ会」に一緒に行こうよと誘われたんですが、行くことができませんでした。
藤崎さんと共通の知り合いの十文字美信さんが藤崎さんのバイク乗り時代の写真をまとめて写真集とその展示を。
その写真を構成している時に、この人は藤崎さんは映画の俳優みたいだなと思いました。こんな風な写真に映るなんて並外れたスタイルを持っていた人、あらためて学生時代、難しいJAZZのアルバムや、詩集の様なもの、小脇に抱えて、少し斜めになりながら学校の廊下を歩いてました。藤崎さんは写真も撮っていました。時々見せてもらってたんですが、端正な横浜の写真でした。北海道に通っていて知床で写真と小説で、「百年の孤独」ガルシアマルケスのようなものを書くんだといつも言ってましたが、氏の文章は読んだことがない。今では「YOUTUBE」のケンタウロスの動画にメンバーの一人で国道を走っている藤崎さん、それもほんの一瞬。