会社を辞めたいと思ったら、すべきこと。
長く勤めた会社を退職して4年半以上経ちますが、時々、会社を辞めたいという声を聞いたりします。
コーチングでも、キャリアチェンジは、個人クライアントの方のとてもよくあるテーマです。
経験を活かしてひょいひょいと転職していく方もいますが、そんな方々ばかりでもありません。
「採用されるだろうか」「自分は使い物になるだろうか」「すぐクビを切られたらどうしよう」、
また、独立であればもっと原始的な話で、「食べていけるだろうか」などの心配が出てきます。
生存に関わることなので、当然と思います。
この不安を解消するために、よく見られる行動の一つが、「能力」を確かなものにしようとすること。
たとえば、何らかのスキルを磨く、資格取得を目指す、評判を得るために現在の組織で業績を上げる、昇格を目指す、など。
イメージとしては、自分を高めるために、上へ、上へ、尖ろう、尖ろう、とする感じ。
目指すキャリアにその資格が必須ならやるしかないですが、
結構多いのが、「キャリアの方向性は見えていないが、いつ会社を辞めたくなっても大丈夫なように」と、「役に立ちそうな資格」などを目指したりすること。
日本の大学の学部選びからも、そういうことは始まっているのかもしれません。XX学部は“ツブシ”が効く、というように。
私も留学したMBAはその最たる例かもしれない、なんて。
資格やスコアや合否で測れるものって、達成度も見えやすく、対策もできるので、お金や時間はかかるけれども、ある意味手っ取り早い目標設定になるとも言えます。
それは決して無駄なことではなく、得られるものもありますが、時間も労力もお金もかかります。
また、磨いて尖って優秀になったところで、必ず採用されたり、必ず仕事がもらえるわけでもありません。
もう一つトリッキーなことは、この思考性だと、いつまでも心配は消えないことです。
ある資格を取っても、これでも足りないのではないかという不安が生じ、次のスキル、次の資格、次の学位、そしてまた次……というように。
また、能力で勝負しようとすると、必ず自分よりも上がいるので、その意味でも心配は消えません。
じゃあ、どうすればいいのか。
私たちがポッドキャスト「独立後のリアル」でおすすめしているのは、「依存先を増やすこと」。
いざとなれば泊めてくれる友達。
飢えそうになったら食べさせてくれる仲間。
仕事を手伝わせてくれるかもしれない知人。
万一の時には泣きつける配偶者や親や兄弟。
1年くらい無職でも生きてはいけるくらいの貯金。
最初から当てにすると、下心が見え見えで、人は逃げていくと思います。念のため。
そうではなくて、日頃から、こういう人たちと、利害関係なく楽しい時間を過ごしていると、
それが、万一の場合は、自分が頼れる先になります。
先ほどとの対比では、横へ、横へ、と言えるかもしれません。
ちなみに、会社を辞めるつもりはなくても、これらをしておくことはおすすめです。
「クビになっても大丈夫」「この人たちに認められなくても、自分には他に大事な人がいる、場所がある」
という心の余裕が、会社でよりのびのびと仕事ができる支えになります。
そうすると、パフォーマンスが良くなったりしますから、結果的には、クビになる心配も減るだろうと思います。
今週末からお盆休みの方も多いでしょうか。
ご実家に帰られたり、帰省先で昔の友人に会ったり、仲間と一緒に旅行したりされる方もいるかもしれません。
ぜひ良い時間をお過ごしください。
それは、遊びのようでいて、全く無駄な時間ではなく。
むしろ、その時間が、将来の自分の安心をくれるかもしれません。
こちらのポッドキャストも併せてお楽しみください。
今日のテーマに関連するトピックです。
独立後のリアル
#219 人の家の冷蔵庫を開ける
#18 独立にあたって何が安心につながるのか?
※「独立後のリアル」は、先輩コーチと2人で、これからの時代を賢く面白く生きるヒントを愉快に無責任に話しているポッドキャスト番組です。
ちなみに、「つまらないから会社を辞めたい」と思った時は、会社に退職の意を伝える前にこちらの記事も読んでみてください。
「仕事が面白くないのは、誰のせいか」
では、今日もよい一日を!
◆今日のカバーアートは、父の焼いたパン。実家に帰る度にもらってきます。これも私のありがたい依存先の一つ。
この記事は、2024年8月7日配信のここみち便りをリライトしたものです。
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