朝。
早く起きてしまったので、テレビを点けた。
ショッピング番組や、音楽や、あんまり興味のない番組ばかりだ。
そのなかで、とある映像に目が止まった。
漆塗りをしてる若い女性。
(主役はそういう作家の作品を扱う雑貨店というかセレクトショップというか、の主人だったのだけど、
若い作家を励ましたり、時にはダメ出ししたり、そうして二人三脚でモノづくりを応援してるみたいな話。)
名前は売れてない若手の作家。
秋田に住んでいる。
丁寧な仕事で、素晴らしい作品を作っているらしい。
「都会に出てってまで売りたいとか思ってなくて」
「売るために作ってるんじゃないんです、
作り続けるために売る、みたいな。
順序の問題ですね。」
おお、と思った、言い得て妙だ。
私もそうだなー、
この仕事をして、好きなものを作り続けること、
作ったものに価値を与える(というか価値のあるものを作ること)ってことをやり続けること、
そのために売る、数字を出す、って感じだもの。
売れるものを作るのは楽しい、
でも、売れるものイコール好きなものでもない。
そうだったら毎日楽しいと思うけど。
あとは、モノやサービスの質に興味はなくて、数字が効率よくあげられる、そういうことが好きな人もいるし、それは人それぞれだ。
7年やってると、周りの人から「2店舗目はどうなの」って言われたりするけど、
単一店舗で完璧にできてないものを展開する気にはなれないし、あとは展開する気がないっていうのが一番にある。
このお店は、自分が仕事や好きなことをし続けるために作ったものだから
他人にやってもらってしまったら自分のやりたいことができなくなっちゃうし。
それに、人に任せるってことは
よりたくさんの、面倒な作業を引き受けるってことでもあるし。
ひとり、ふたりが好きに生きていくにはちょうどいい、そんなサイズ感。
(問題は、ふたりだった場合に長時間、長い月日、同じ空間で同じ仕事を、よいモチベーションを保ってやり続けられるかっていう人間関係でしかない。笑)
最初から、生活と、仕事と、好きなことができて、お店を維持できる、
その必要以上に稼ぐつもりはない、数字を追いかけないって決めていた。
だから6年目に営業時間を短くして、
7年目は休業日を増やしたのだった。
(それまでの5年間は土台をつくり、6年目以降につながるような店作りをしてきた)
営業時間を短くするっていうのはお店にとってとお客さんにとっても大きなことで、
それまで終わり間際に駆け込んでくる人も多くいたから、時間をかけてやった。
半年前から告知して、1年かけて認知してもらい、同時にその時間内で数字をつくれるようにしていった。
今年は昨年よりずっとよくない、って景況を耳にすることが多いけど、そのおかげもあって今年は着実に、イイ感じに、階段を登れてる気がする。
以前、土曜は波があったけど、時々土曜に休むようになってから、オープンしてる土曜やほかの曜日にお客さんが流れて、数字が落ちなくなった。テイクアウトもあるし.....
イイ感じ。
目の前の数字を追いかけなくても、後からついてくる。
そういうお店がつくれたらそれで充分だよね。