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この頃、「飲食店の人」って紹介されることが増えたので、話題のひとつとして
「新しいメニューってどうやって考えるの?」
って、聞かれることが時々ある。
「うーん、そうですねぇ🤔」
「届いた野菜を見てそのイメージで決めたり、
肉屋さんや魚屋さんのおすすめをとってみて、それを処理しながら決めていったり、
あとは、季節でお客さんが頼みそうなものをピックアップしていったりとか」
うーん、
ぜんぜん楽しくない答え.....。笑
普通すぎて、自分が聞いたら「そうですかぁ」くらいしかコメントできないと思う。
や、楽しい答えである必要はないんだけど、なんか「へえー、実はそんな感じなんですね!」みたいな答えを出してみたかったような気も
する...
これが日常でリアルなのだから、それでいいんだけど。
まあ、日々のおすすめはそんな感じで
素材先行で作ってるというか、よく言えばライブ形式で作っていってる。
だけど、新しいメニューを出すときは違っていて、イメージ先行で作ってたりする。
「こういうの作ってみたいな!」っていうやつ....
たとえば、エンガディナー(くるみのキャラメルクッキー)とかはそう。
クッキー生地もキャラメルの仕上がりも、それぞれの割合も自分の趣味で決めてるやつ。
「クッキー生地はさっくりしてて〜、全粒粉のざくっと感もあって〜、しっとりしすぎてなくて〜、でもカットするとき崩れないくらいのまとまりもあって〜、
キャラメルは固すぎず、歯切れがよくて〜、胡桃よりキャラメルのほうが多いくらいで〜」
みたいなイメージをひとつ一つ組み立てて試作してった。
あとは見た目がうつくしくなれば最高なんだけど、そこが苦手なとこ、、、笑
もうひとつは、「これ、あの人に作ってあげたいな!」っていうやつ。
『その人』が好きなもの、おいしーのをつくって食べてもらいたい!
みたいなモチベーションで作ると、それは楽しく楽しく試作しつづけられる。笑
クラムタルトケーキもそうだし、
パンもそう。
いまは定番メニューにはいったポークチャップもそうだったし、
レーズンサンドも。
これはミルク感を強くしたミルククリームと、卵黄とホワイトチョコをいれたバタークリームと、二種類つくろうかな〜って思っている。
あと、ショコラバージョンも作りたい😍
「ラムレーズンはダークラムとゴールドラムを半分ずつかな、レーズン入れたら胡桃も入れないとな〜
きっとあの人はフィグも好きに違いない!
黒砂糖に黒胡椒をピリッときかせたらワインに最高だよね🍷」とか
「扱いやすくても卵白より卵黄入れた方がおいしいもんなぁ、ホワイトチョコは口どけと風味の面で外せない! きっとこれは喜んでもらえるはず!」とか
「低温でじっくり寝かせるからおいしいんだよね〜このしなやかな生地の引きはこうしないと出ないし、そうだ、明日来るんだからせっかくなら焼きたてだよね!」とか
それはもうワクワクしながら作っていって、
それを食べてもらうときのドキドキ感ったらなくて...
なにかひとつ、料理でもお菓子でも、それを好きと言ったとして、でもそれに対する好みって幅広いものだから
どこに足場を置くのかって悩むものだし、
悩まなかったとしても、自分のセンスで決めたものが受け入れられらなかった時ってがっかりする。
でも、誰かの顔を思い浮かべて作ったものは、
もし好みと違ったとしても
「そうかー違ったかー、じゃあつぎはここを修正してみよう!」って楽しくトライできる。
素材と向き合って真剣に対話する時もある、
こうして食べる誰かの顔を思い浮かべて談笑する時もある、
そうしていろんなテクニックを身につけていって、「こういうの好きかなーと思ってこう作ってみました」って、さらりと言えるようになれたらいいなぁ。
なんか、料理人っていうより、職人っていうより、「つくる人」って感じがするじゃない。