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いつも胸のなかにあること。

ジュースでこねるパンじゃなんか物足りない。
あ!そうだ!トマトソースがあるじゃない。

そーしてこねたやつ。

トマトブレッドっていったら、バジルとチーズでしょ!ローズマリーもいいね、ベーコンはどう?

ってなるのがいいのかもしれないけど、普通の配合にトマトソースだけ足してこねた。

トマトの味そのままで、生地の味もわかる。

足し算していけば間違いない味かもしれないけど、どこが大事なとこなのかわかんなくなるから、ひとつずつ足していくのがいい。

むかし、お浸しの地をつくるとき、
「これはひとまわし、これはふたまわし、この素材の時はこのくらい」ってざっくりしか教えてくれなくて、なかなかうまくできなかった。

何度も味見してもらって、でもどうしてもわからなくて、何度も何度も繰り返していた。

そのとき言われたこと。

「出汁が沸いたら、酒をいれるんだよ。
酒をいれていって、酒の味がわかるようになったら、味醂をいれるんだ。
味醂の味が感じられるようになったら、塩、最後に醤油をまわす。
最初はそれを、出汁じゃなくてお湯でやるんだ。
ひとつひとつの味を覚えろ」

休憩中にそれを繰り返して、そのうちできるようになった。

そういうのがあって、あれとこれとそれと、合うから全部いれてみよーっていうのはやらないことにしている。

例えばラーメンも、「トマトスープはチーズでしょ」っていわれてたけど、
あえてチーズをつかわないで楽しめる限定メニューを毎月考えていった。最初の頃。

くたくたに煮たブロッコリーをのせて、それがトマトスープに溶けるとおいしいよね!みたいなのとか、
牛蒡の刻んだのを炒めてラグー仕立てにして、根菜の旨みがスープに溶けるようにしたのとか、
きのこのペーストとか、蕪のクリーム煮とか。

いまは結構力をぬいて、「これはチーズほしいよねー」って感じで足したりするけど...

あれとこれと、しか入れないと、あれとこれのバランスをすごく考えるし、
あれもこれも、そのものの味をちゃんと仕立てておくようになる。
それがあって、その組み合わせがちゃんとできたら次の要素を足せばいい、って思っている。

サーモンのマリネも、スパイスもハーブもつかわない、塩と砂糖だけ。

それでおいしいなら、他のものを足してもおいしいだろうし 足さなくてもおいしいのならそれはそれでいいのである。

どこが大事なとこなのか、
そしてその大事なポイントだけで勝負できるかどうかっていうの、
いつも胸のなかに抱いてる。


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