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生きる気力は目標設定から

20年来の友人と食事をした。

彼とは同い年で、共に62歳になる。

彼の会社の業績は厳しく、先行きが不透明だという。
「来年には退職するかもしれない」
彼はそう語った。

私たちには定年まであと3年ある。しかし、彼は早期退職を考えていた。

彼は昭和の男であり、情熱的な性格だ。

還暦を過ぎた今、彼の重要な役割は若手の育成にある。

会社の未来は明るいとは言えない。

それでも、彼は若手にポータブル・スキルやエンプロイ・アビリティを身につけさせようと努力してきた。

しかし、それがかえって仇となった。

かつて「愛のムチ」と呼ばれていた指導法が、令和の時代には「パワーハラスメント」とみなされるのだ。

人事課から「厳しすぎる」と注意を受け、彼は自分の存在意義を見失ってしまった。

「もう生きる目標がなくなってしまった」と彼は寂しげに呟く。

彼はアパレル業界から転職してきた。

モデルのようなスタイルで、いつも若々しい彼だったが、

この日は少し老けたように見えた。

「仕事をしなくなったら、ボケてしまうよ」

私はそう言ったが、自分でも説得力がないと感じた。

老後を充実させるには、目標設定が不可欠だと改めて痛感する。

幸い、私はまだ生きる目標を持っている。

そのことが、何よりの幸せだと実感した。

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