自然への入口はじめの一歩 子どもと一緒にガーデニング 第9回 生物多様性という言葉2
<東京都清瀬市、東久留米市、西東京市、新座市で配布中の地域情報誌「りあん lien」で連載中の「子どもと一緒のガーデニング」のweb版(16号)です。>
ガーデニングには自然と仲良く暮らすヒントがいっぱいです!自分も楽しみながら、子どもたちを自然の入口に連れて行ってみませんか?
りあん14号でも取り上げましたが、生物多様性は21世紀の重要なキーワード。子どもと一緒に知ってもらえたらなと思います。
1.生物多様性という言葉
生物多様性は、一言で言えば、地球の上で、色々な生きものが一緒に暮らすことが大切ということ。そして、生きものには、微生物も含めて上下はなくて、みんな関わり合っているからみんな大切ということ。
◎3つの多様性
生物多様性の視点として、3つの多様性があるということ、そのうち2つは「生態系の多様性」「種の多様性」ということをしました。今回は残りの「遺伝子の多様性」を紹介します。
2.遺伝子の多様性
家族を見てください。一卵性双生児などでない限り、似ていても、そっくり同じの顔、体系の人はいないですよね?「ヒト」という同じ生きものでも、それぞれが持っている遺伝子は違っています。だから顔が違うのです。
このように、同じ種類の生きものでも、多様な遺伝子を持っていることがとても大切ということ、それが「遺伝子の多様性」です。
自然は、自然の状態では遺伝子の多様性を、「より多様にしようと」しています。そのために、ヒトなら男女、動物はオスメス、植物なら雄しべ雌しべなどをつくり、違う遺伝子を掛け合わせて、新しい遺伝子の個体をつくろうとしてきました。
なぜかわかりますか?
3.生きものとしての保険
長い地球の歴史の中では、気候が厳しいときや、新しい病原菌等が発生して生きものの生存の危機が何度もやってきました。そんなとき、遺伝子が多様だと、たくさんいる中からその状態を乗り越えられる個体が出てきます。生きものの「種」としては、たくさんいる中からどれかが生き残ればいい。そうすれば命を後に繋いで行けます。つまり、遺伝子を多様にするのは、生きものとしての命を残していくための「保険」と言えるのです。
最近、コオロギなどをじかに見ることが少なくなりました。しかし、あのコオロギもひとつひとつを見ると顔にも体形にも個性があります。遺伝子が違うからです。ガーデンの中で出会う虫たち。同じ種類は、同じように見えますが、「実はそれぞれが違うんだよ」ということ、ぜひお子さんにお話ししてあげてください。
4.ガーデニングと遺伝子の多様性
ガーデニングで植物と向き合っていると色々な虫が育てている植物にいることがあります。「キャー、虫!!殺虫剤!!」と言う前に、「これは何て生き物なんだろうね?」「ここで何をしているんだろうね?」という会話をぜひお子さんとしてみてください。
そこには何匹ものイモムシがいるかもしれません。それらをぜひ比べてみてください。顔が違っているか?そこまでは私にはわかりませんが、そういう観察の機会になることは確かです。
小さな機会ですが、こういった体験、向き合った出来事について考えることが増えることで、子どもたちの観察したり、考えたりという力は育まれて行きます。ぜひ、声をかけてあげてくださいね。