高齢化が気になる住宅地で、まちの交流機会をつくるためのコミュニティガーデンワークショップー1
1.きっかけ
昨年春に、兵庫県宝塚市のある自治会から連絡をいただきました。
「とてもいい住宅街だが、もっと地域のコミュニティを活発にして、住みよいまち、住んでいてよかったと思えるまちに、これからもしていくために、コミュニティガーデンという手法を使えないだろうか?」というものでした。自治会のMさんとの、電話とメールでのやりとりが始まりました。
ちょうどリモートで開催するコミュニティガーデン講座がいくつかあったのでその講座に参加していただき、全体像をつかんでいただくところから始め、「やはり、やってみたい」という意向を確認できたため、資金獲得のために、地元社協が扱っている助成金に申請。大切にしたいこと、それを実現するためのプロセスと、それらの表現の仕方などをアドバイスさせていただき、無事に採択され、この自治会のコミュニティガーデンづくりは始まりました。
2.初期プロセスの提案
普段、行政などからの依頼で行う公園でのコミュニティガーデンづくりは、現地調査やヒヤリングなどをしたうえで、ワークショップ構成やチラシデザイン、PR方法を細かく計画していくのですが、今回の予算の中ではきめ細やかに行う余裕はありません。そのため、できるだけ地元の方に動いていただきながら、できない部分を補う自治会バージョンを組み立てる必要がありました。
しかし、どの程度地元で動ける方がいるのかも、自治会の窓口の方との電話などのやりとりだけではなかなか見えてきません。もう少しスムーズなコミュニケーションが取れないかなと、ZOOMなどが使えないか提案してみましたが、自治会は高齢の方が多く難しいとの返事。正直どう組み立てていいか、雲をつかむような感覚を持ちながら悩みました。とは言え、動き出さなければ何も始まりません。
まずは大きく「知る→考える→動いてみる」というプロセスを大切にしようと、今回はこんな感じの提案をし、始めることになりました。
1回目「コミュニティガーデンについて知る」
2回目「わたしたちのガーデンについて考える」
3回目「とりあえず何かやってみる」
とにもかくにもスタートして歩きながら、関係性を拡げたり深めたりしながら、「やってみよう!」とまちの人たちの何人かの心が動くところまで持って行こうと目標を決めました。
そんな中、近隣に住む若いママから、ただ講座をやっても子どもたちはつまらないから、何か持ち帰れるとかの楽しいアクティビティも考えてほしいというアドバイスがあり、そんなことも考慮して中身を作っていきました。
3.1回目「コミュニティガーデンを知る」を開催
●何から伝えるかで悩む…
実のところ、第1回目の参加者の予想がつきませんでした。
普段相手にしている花好きな人たちの講習会とは違い、花が好きとは限らない、自治会に動員されて来ただけかもしれない、たぶん年齢を重ねた方たちが中心の方たちの姿を想像し、そんな方たちにも届くようにスライドの組み立てをしました。
呼んでくだたったMさんや自治会のみなさんは、コミュニティガーデンそのものをを作りたいわけじゃない。少しでも、住みよくて「住んでいてよかった!」と思うまちをこれからも作っていくのに、「みんなで何ができるか?」を問いかけたいだけ。
とにかく、そこを意識しました。
どうしたら、「まちのことが自分に関係することになる」のか?
1回目からあまりに情報を出してしまうと、頭が拒否して嫌だなーと思われてしまうかもしれない。では1回目で最低限感じてもらいたいことは?
あれこれ考えて、「まちのみんなの庭づくりのプロセス」という、簡単なメモを作りました。
①花をきっかけにするといいかも
②やりたいことだけやればいい
のあたりは、何とか伝わるといい…そう思いながら。
●11月のはじめ。いよいよ迎えた1回目!
Mさんのお話では、出席の申込制は取っておらず、当日何人集まるか皆目わからない…とのことでした。当日は晴れ!「お天気もいいし、行事も色々ある秋だから、10人も集まってくれたらいいかな?」と、失礼なことを考えていましたが、予想に反して30人定員の部屋がほぼいっぱいになるくらい人が来てくださり、一生懸命声をかけてくださっだのだなと感激しました。
1時間20分、休憩なくお話しさせていただきましたが、伝えたいと思っていたことは伝わったようです。笑顔で感想などを伝えてくださり、ホッと一息。
その後、近くの公園に移動し、既にある植栽地を地域の方が耕しておいてくださり、とりあえず初めの一歩としてチューリップの球根を植える作業をしました。みなさん楽しそう。やっぱり現場はいいですね。
小学生6年生の女の子たちが、お母さんに言われてきた…と言って、話もしっかり聞いてくれた上、最後のチューリップの球根植えまで手伝ってくれました。それも配置や配色などにとても素敵な意見をしっかりと言ってくれて、ありがたかったです。若い人たちがいると、高齢の方たちも本当に嬉しそうです。
1回目ではワークショップなどをする時間を確保できなかったが取れなかったので、ワークシートの記入だけお願いし、回収してきました。その内容をまとめて、おたよりを作る予定です。
若い世代の何人かともお話をし、若い世代へどうアプローチすればいいかや、どんなことをお考えになっているかなどをお聞きすることもでき、つながりを作ることもできました。
特に主催側のMさんは「近所のママのSさんと木村さんをどうしても繋げたかった」と熱心に言われていて、お会いするまでは「???」だったのですが、お会いしたら「あ!この方、感覚似てるかも!」とピピっと来て、Mさんの慧眼に感服。おかげで今まで心配していたことの半分くらいが吹っ飛びました。おかげでワクワクが募る、つのる!!!
これが、まちのお手伝いをするときの醍醐味で、関係者の多様性が見えてくるごとに、イメージできることが増え、どんどんワクワクが増えていくのです。
また、Mさんご本人や、自治会の方たちの想いも、前回ちょっと立ち寄ってお話を聞いた時よりも、しっかりと感じることができました。1回目としては上々以上の手ごたえでした。
たった3回でできることは限られていますが、まずは知って気づくこと。それがとても大事。私にできることは、はじめの一歩のお手伝いを確実にすること。
宝塚のとある地区のまちづくりが次のパラダイムへシフトする瞬間に立ち会えたら素敵だなと思っています。
Mさん他自治会のみなさん、素敵な笑顔のSさん、社協のKさん、本当にありがとうございました。